オンラインストレージベンダーの見分け方

魅力的な機能と当たり前の機能

 

オンラインストレージ市場の競争激化により提供されるサービスが進化してきたが、一方で、ベンダーを選定する段階になると、多数存在するベンダー間でどのように違いを見出せばよいか困ることもあるだろう。本記事ではベンダーの差別化要因となる機能について考察する。

どうやってベンダー間の違いを見出すか

オンラインストレージ市場の成長が止まらない。IDC Japanによると2014年の国内オンラインストレージ並びにクラウドストレージ市場規模は前年比37.8%増の274億円に達し、年間平均22%の成長により2019年には741億円を超えると見られている。オンラインストレージベンダーが、データを預けるだけではなく、ファイルの共有・転送、バックアップなどの付加価値を持ったサービスを提供するようになり、多くの企業に評価されるようになってきたのが、市場拡大の理由だろう。

企業においてオンラインストレージを使用する際には、個人利用とは異なる要件が求められる。情報共有が進み業務が円滑に進むことはもちろん、情報システム部にとっては管理機能やセキュリティ機能が気になるところだ。認証やアクセス管理をどのように行うか、盗聴や端末の盗難にどのように対応するかといった課題は避けては通れない。ベンダーによって提供している機能と提供していない機能があるので、要件への合致度でオンラインストレージベンダーの選定が進められる。

ベンダー選定のコツとしては“当たり前の機能”と“魅力的な機能”を見分ける点が上げられる。サービスが成熟化してきたオンラインストレージ市場では、どのベンダーでも“当たり前”のように提供している機能が存在する。どのベンダーでも提供している機能に目を向けていては、ベンダーごとの違いを見出し、選定することができない。“当たり前の機能”ではなく、ベンダーが固有に提供する“魅力的な機能”、つまりあったら嬉しい機能に注目すれば、ベンダーの選定が可能になる。では、具体的に何が“当たり前”で何が“魅力的”な機能になっているのだろうか。

どのオンラインストレージベンダーも提供する“当たり前”の機能

「データの盗聴・改ざんは避けたいので、オンラインストレージの通信暗号化は欠かせない」と考える企業は多いだろう。しかし、ほとんど全てのオンラインストレージベンダーが暗号化通信の機能を提供しているため、この要件によってベンダーが絞り込めるわけではない。同様に、ファイルごとにアクセス権限を管理する機能も、個人向けサービスを含めた多くのベンダーが一様に提供している。さらに、スマートフォンやタブレット、あるいはWebブラウザへの対応についても、多少の使用感の違いこそあれ、いずれのベンダーも提供している機能と言えるだろう。それでは、“当たり前”に提供される機能ではなく、ベンダーの差別化をもたらす“魅力的”な機能はどのようなものがあるだろうか。

差別化要因となる“魅力的”な機能

法人向けサービスに力を入れているベンダーの特徴として、管理機能の充実がある。管理機能に着目すると、ベンダー間の違いが見出しやすいため、ベンダー選定の決め手になりやすい。

  • グループ管理:ユーザーのグループを作成し、フォルダーに対して一括で権限設定する
  • アカウント管理:緊急ロックなどユーザーの認証・認可情報を柔軟に管理する
  • ログ管理:セキュリティ違反の疑いがある場合にアクセスログが必要になるケースがあるため、ログの取得や監査レポートの出力ができる
  • 端末認証:スマートフォンやタブレットからオンラインストレージに接続する場合、不正な接続を防ぐために端末やIPアドレスの制限を行う
  • サービス連携:マイクロソフトのOneDriveはOffice onlineを活用しクラウド上で文書編集ができる。同様に、ActiveDirectoryなどの他アプリケーションとの連携ができる
  • データセンターの所在:海外パブリッククラウドは国外にデータセンターを構えている。法令順守の観点で、データが海外か国内かの違いは大きい

上記のような観点でベンダーの比較を行うと、特定の企業しか要件を満たせない機能があるため、自社に合ったベンダーが選定できることになる。

 

魅力的な機能と当たり前の機能

魅力的な機能と当たり前の機能

オンラインストレージベンダーごとの特徴

Dropboxのように、個人向けサービスから法人向けに参入してきたオンラインストレージベンダーは一般的に管理機能が簡素になっている。OneDrive for Business、Google Drive for Workや業務に合わせた最適化ができるBoxなどのベンダーは、管理機能よりも外部サービス連携に強みがある。ログ管理や端末認証といった、きめ細かいセキュリティへの要件は国内大手に一日の長があるだろう。ソフトバンクのプライムドライブ、NTTコミュニケーションズのBizストレージファイルシェア、セキュアSAMBAといったサービスが主要プレイヤーとなっている。

 

まとめ

オンラインストレージ市場の競争激化と共に、どのベンダーも共通して提供する機能と差別化要因となる機能が明らかになってきた。差別化をもたらす“魅力的”な機能に着目すると、自社の要件に合致したベンダーを選定しやすくなるだろう。

 

 著:ビジネス on IT運営事務局、タブレット班

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