「IBM i(AS/400)」を使い続けてもいいのか、使い続けられるのか不安」ならどうする?

 国内のおおよそ7,000社にのぼる企業は「IBM i(AS/400)」を利用しており、その多くはIBM iを利用し続けることに不安を感じているという。

 そこで本記事では、IBM i(AS/400)の運用懸念を整理した上で解決方法について解説する。

転載元. TechTargetジャパン 20226月23日掲載記事より転載



▼ 目次
IBM i(AS/400)の運用懸念
「リモート運用サービス」が人材不足の課題を解決
IBM iの将来性は本当に大丈夫なのか?
モダナイズを見据えたクラウドへの移行も支援




1. IBM i(AS/400)の運用懸念

 IBM i(AS/400)の運用懸念は主に次の2点だ。



1-1. 運用業務の属人化と運用要因の高齢化

 必要最低限なリソースで回している中小企業の情報システム部では、IBM iの運用業務は属人化し、ドキュメント類も整備されていない場合が多い。

 そうした中で運用要員の高齢化が進み、既存要員が離職したり、定年退職で離脱したりすると、後継人材の確保が困難になる。そのため、システムを維持できなくなる恐れがある。




1-2. 将来に向けたロードマップが描けない

 ERP(Enterprise Resources Planning )などへの移行は、システムが複雑化、ブラックボックス化しているため困難を極める。

 だからといって、現行システムを延命させるにしろ、IBM iがいつまでサポートが継続されるのかサポートされるのか心配がある。

 そもそも、中長期のロードマップを描ける人材が確保できないという問題もある。



 IBM iを利用して、不安を抱えている中小企業は、何をどうすればよいのだろうか。

 いま、日本国内のIBM iユーザーが抱えている不安、課題は次の3点になる。

  • 運用要員の高齢化と後を引き継ぐ人材の不足
  • IBM i自体の将来性
  • クラウド化すべきではないのか、時代に取り残されているのではないかという不安


 これらの不安は「全て無理なく解決できる」と伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)はいう。

 では、どう解消できるのだろうか。





2. 「リモート運用サービス」が人材不足の課題を解決

 人材不足について、CTCシステムマネジメントの斉藤 翔氏(運用ビジネス本部 データセンター運用ビジネス第1部1課 課長)は、「運用要員の高齢化や人材不足は、IBM iを運用している多くの企業が抱えている課題。CTCでは、その解決のために、IBM i向けリモート運用サービスを提供している」と話す。

 CTCは国内に複数のデータセンター拠点を持ち、そのうち横浜の拠点内に各所のシステムを監視するオペレーションセンターがある。24時間365日のシフト勤務で、リモートからのシステム運用・監視を実施している。

 ここでは、CTCのデータセンター内にホスティングやコロケーションで設置されているシステムはもちろん、顧客企業の社内にあるIBM iについても、キャリア回線による接続経由でリモート監視・運用ができる。IBM iの運用にたけたメンバーが常駐しているので安心だ。

 このサービスを活用すれば、高いクオリティーの運用が可能になり、自社での運用にこだわる必要はなくなる。主なサービス内容は、以下の3つだ。

  • システム監視サービス
    • 顧客企業で運用されているIBM iシステムとCTCのデータセンターをネットワーク回線で接続し、システムを24時間365日有人監視する
  • システムオペレーションサービス
    • 障害一次切り分けや障害通知(障害連絡)、事前に取り決められた手順に従った定型オペレーションを実施する
  • システム運用サービス
    • サポートライン(QA対応)や障害時のリモート調査・復旧支援、月次レポート報告などを、担当システムエンジニア(SE)が対応する

 また、オプションで以下のサービスも提供している。

  • オンサイト駆け付けサービス
    • 計画停止支援
      • IBM iの置かれているビルが法定点検で停電するなど、システムを計画停止する際に、現地立ち会いや作業支援を行う
    • 保守支援
      • システム停止を伴う保守作業の立ち会いや作業支援を行う
    • 復旧支援
      • システムダウンなど、リモートからの復旧対応が困難な場合に、SEを派遣して、復旧作業などを支援する


 リモート運用サービスを利用するにしても、要員が高齢化して継続が困難というのは、やはり不安だろう。これについてCTCの長谷川 典男氏(ITサービス事業グループ エントラステッドクラウド技術事業部 DCサービス技術部 部長)は、次のように話す。

 「IBMの保守や運用の基本的なルールやコツのようなものが、先輩から後輩に途切れずに引き継がれているうちはよいのだが、技術者が不足している企業では、ノウハウがない状態で任される担当者がいる。そうした担当者が、直接IBMに問い合わせたり、IBMの保守ベンダーに稼働状況を説明しながら相談したりするのは負担が大きい。これを、CTCが代行する」(長谷川氏)

 さらに、CTCの衣目 純氏(ITサービス事業グループ エントラステッドクラウド技術事業部 DCサービス技術部 DCプラットフォーム課 課長)は、「IBM以外のシステムの運用サービスも広く展開している。システムはIBM iだけで構成されているわけではないので、IBM i以外の部分も含めて、同じメンバーが顧客のシステムを一貫して運用できることが強み」と話す。

 もちろん、コストメリットもある。「24時間365日の監視を自社で行うには、かなりコストがかかる。だが、複数社に対してサービス提供している当社のような専門家に依頼するなら、自社で個別に監視体制を構築するよりも割安になる」と長谷川氏は説明する。





3. IBM iの将来性は本当に大丈夫なのか?

 IBM iの将来性について懸念を持つ企業もあるが、これについてはどうだろうか。

 斉藤氏は、「現時点で、IBMからは2035年までのIBM iのロードマップが示されているので、将来性に不安はない」と話す。また、「IBM iは古いアーキテクチャを継承しつつ、最新のアーキテクチャにも対応し、後継互換も保証している。ハードウェアのリプレースが容易なので、安心して末永く、継続的に利用できる。当社では、リプレース実績も多数ある」と言う。

 また、CTCシステムマネジメントの吉田晴信氏(運用ビジネス本部 データセンター運用ビジネス第1部1課)は、「ミッドレンジ向けのIBM iやIBMメインフレームについては、構築・設計サービスを提供しており、設計・構築から移行、運用までをワンストップで提供し、多くの実績がある。優れた技術者がたくさん在籍しているので、安心して任せていただける」と話す。

 運用サービスについての衣目氏の話でも出たが、そもそもIBM iだけでシステム全体を構築できるわけではない。CTCではプライベートクラウド型の「TechnoCUVIC(テクノキュービック)」やSAP特化型「CUVICmc2(キュービックエムシーツー)」といったオリジナルの高品質なホステッドプライベートクラウドを提供しているが、この上に構築したシステムとIBM iを含めた、トータルでの構築・運用が可能だ。「IBM iも含めたワンストップのサポート」は、人的リソースが限られる中小企業の情シスにとって朗報だろう。

 さらに吉田氏は、「運用の際に、性能評価をしっかりやるのが当社の大きな特徴だ。これを行うことで、顧客のシステムのどのジョブ、あるいはどういうアプリケーション処理にボトルネックがあるのかが見え、パフォーマンスの改善をアドバイスできる」と話す。





4. モダナイズを見据えたクラウドへの移行も支援

 とはいえ、やはりモダナイズやクラウド化は必須なのではないかと、不安に思う方もいるだろう。これについて、斉藤氏は「IBM iで稼働するシステムを他のプラットフォームに移行するのは、非常にハードルが高いと思っている」と話す。

 「変化を急ぎすぎて、うまくいかなかったケースが多い。当社の顧客でも、IBM iからの移行を試したが、最終的には失敗したというケースがあった」(斉藤氏)

 将来的にIBM iのシステムをモダナイズしたいとしても、まずはそのままクラウドに移行するという手がある。IBM iをシステムリソースとして提供するサービスを活用するのだ。

 CTCは日本情報通信と協業関係にあり、同社の「NI+C Cloud Power」上へIBM iの環境を移行した実績もある。NI+C Cloud Powerのようなサービスを使えば、障害復旧やBCP(災害対策)の点でも有利だ。取りあえずIBM iを利用したままでこうしたサービスに移行し、システムのモダナイズは、経験豊富なエンジニアに相談しながら計画できる。

 また、IBM社が提供するIBM Cloudでも、IBM iを従量課金で利用できる「IBM Power Systems Virtual Server(Power VS)」というサービスを提供している。こちらは新しいサービスだが、CTCではIBM Cloudへのネットワーク接続検証なども行っており、「今後、お客様のご要望をお聞きしながら、支援できる範囲を広げていく」(長谷川氏)とのことだ。

 クラウドへの移行が容易なシステムについては、CTCのTechnoCUVIC/CUVICmc2や「IBM Cloud」「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」などのクラウドを使う。一方、IBM iはNI+C Cloud PowerやPower VSに移行する。そして相互を連携させ、統合的に運用する。CTCは、これら全てに対応できる。

 このように、CTCでは「運用要員の高齢化と人材不足」「IBM i自体の将来性」「クラウド化の波に取り残されている」という3つの不安の解消を、強力に支援することができる。無理な取り組みをして失敗するリスクを避けるためにも、まずはCTCに相談してみてはいかがだろうか。



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