センスと勘に頼ったアナログ的なECサイト運営をデータ分析で変革!その方法とは?

20151007_センスと勘に頼ったアナログ的なECサイト運営をデータ分析で変革!その方法とは?

若者向けの衣料通販のECサイトを運営しているS社。商品の仕入れやWebサイトのデザインは、担当者の感覚・センスに依存した運営が行われていました。そこに危機感を抱いた社長が、自ら経営企画室に招いたのが、以前から懇意にしていたITエンジニアの加藤氏です。加藤氏のおこなったS社のビジネス変革についてご紹介します。

導入前の課題:データに基づいた安定的な経営を実現したい

若者向けの衣料通販サイトを運営しているS社。中規模ながら、業界では知られた存在で、若者のあいだでのブランド力もけっして小さくはありません。

ただし、経営企画部の加藤氏は、その運営に危うさを感じていました。もともとIT関連企業でエンジニアとして活躍していた加藤氏ですが、社長に請われて半年前に入社したばかりです。

入社した加藤氏が驚いたのは、予想以上にアナログ的な運営が行われていたこと。商品の仕入れはもちろん、キャンペーンの実施、Webサイトのデザインなども、担当者の感覚・センスに頼っているのが実態です。若い優秀な社員が多いので問題なさそうですが、担当者が病気やケガで抜けてしまったら、その影響は非常に大きいと感じています。

じつは、社長が加藤氏を経営企画部に招いたのも、こうした問題意識があったからです。若い担当者の感覚・センスは活かしながらも、ITの力でデータに基づいた安定的な経営を実現したいというのが、社長の考えでした。

導入経緯:分析結果を共有する仕組みの必要性

約半年間、加藤氏は各部門の業務をじっくり観察して計画を立てました。そこで導入を決めたのが、大量のWebアクセスログを蓄積する場所と、データを分析するシステムを環境構築するということでした。

加藤氏にとって幸いだったのは、過去3年間のアクセスログが残っていたことでした。アナログ的とはいっても、アクセス数や受注率など、一般的なECサイトが実施している解析はS社でも行われていました。その際に使われるアクセスログが、「何かあったときのために」という社長の指示で残されていたのです。

そこで、加藤氏は3年分のデータをすべてクラウドのデータベースを用意し、そこに保存、最新ログと合わせてつねにアクセスできるようにしました。さらに、分析するためにBIツールを導入し、さまざまな角度から分析できる環境を整備しました。

もう1つ加藤氏が力を注いだのが、分析結果を社内ポータルサイトで誰でも見られるようにしたことです。BIツールが生成するさまざまなグラフを駆使してレポートを作成し、わかりやすい文章をつけてポータルサイトに掲載するようにしました。

導入効果:これまでの分析ではわからなかった事実が判明し、データをわかりやすく可視化。業務にデータを活用する気運が高まる

新しいシステムに対し、当初、社員の反応は冷ややかでした。これまでのやり方に自信とプライドを持つ社員が多いだけに、これは加藤氏も予想していました。

しかし、加藤氏は自信を深めていました。なぜなら、データを分析した結果、加藤氏自身も驚くようなさまざまな事実が分かってきたからです。加藤氏はこうした分析結果をまとめ、社内のポータルサイトに公開しました。以下は、公開されたレポートの一部です。

  •  社内でターゲット層と考えていた10代の次に購入率が高い層は30代
  •  意外と多い40代のお客様
  •  男性は昼間、女性は夜間の購入が多い
  •  商品Aが売れた1週間後にお客様の購入が多い商品
  •  キャンペーンの効果は開始7時間までが高い           等々

 

魅力的なタイトルとわかりやすい文章、データをBIツールによってビジュアル化した・グラフ、図や表で構成されたレポートはたちまち噂になり、詳しい話を聞きに来る社員も出てきました。昨日も、仕入担当の若い女性社員が「仕入れに活かしたいので、もっと詳しいデータを見せてほしい」とやってきたばかりです。

今後の展望:全社員が自分で分析できるセルフBIを目指す

加藤氏は、今後もBIツールを使ってさまざまな分析を行い、結果をポータルサイトに公開していく予定です。ただし、自分一人では限界も感じています。

現場の担当者は「なぜこの商品が売れたのか」「なぜアクセスが増えたのか」…といった意識を持ちながら業務に当たっています。ところが、多くの場合、忙しい業務に追われてこうした意識は忘れ去られ、新しい知見を得るチャンスを逸していると加藤氏は考えています。

実行したキャンペーンの効果や、問題をみつけたりしたとき、すぐに確認や問題解決のヒントとなる環境があればどうでしょうか。そして、社員全員がこうした環境が利用できれば、自分1人が分析するよりも、ECサイト上でも、仕入れにももっと多くの発見があるはずです。

加藤氏はいま、全社員がBIツールを使えるよう計画を立てています。ユーザーインターフェイスの改善や、もっと色々な分析をするためのデータを用意するなどの課題は多いのですが、「ぜひ進めてほしい」という社長の後押しもあり、今年度中には実現予定です。それが実現したとき、S社のビジネスは確実に変革するはずです。

 

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