自動運転車の現在と2030年の未来とは?

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自動運転車の開発が進み、2030年への目標や予測が語られている。自動運転の現在はどのような水準にあり、2030年までには社会がどのように変化していくのだろうか。

 

■レベル2からレベル4への発展が期待される自動運転

自動運転車の開発競争は激しさを増している。トヨタ、日産、Ford、Mercedesといった既存の自動車業界はもとより、Google、Tesla、Uberなどの新興企業からの参入が続く。自動運転の開発によって、新たなビジネスモデルの確立や交通事故の減少などのメリットが見込まれている。

自動運転は国土交通省や米国の運輸省道路交通安全局によって、4段階のレベルが定義されている。レベル1は加速・操舵・制御のいずれかを自動車が行う運転支援システム。レベル2は加速・操舵・制御のうち、複数の操作を自動車が行う状態だ。そして、レベル3には加速・操舵・制御を全て自動車が行い、緊急時のみ運転者が対応する準自動走行システムとなる。最後に、レベル4では運転者が全く関与しない完全自動運転システムとなる。

現在、実用化されているのはレベル2の自動運転車だ。テスラや日産が販売している自動運転車は、高速道路や渋滞時に運転を任せられる。一方、実証実験が行われている自動運転車はレベル4を目指している。Googleやトヨタ、日産は2020年までの完全自動運転車の導入を目標とした。

 自動運転の水準自動運転の水準

■判断やセキュリティに改善の余地がある

自動運転車の開発には様々な要素技術の改善が求められる。まず、周囲の状況を監視するためのセンサー技術がある。急に視界に飛び込んでくる物体を把握するためフレームレートの非常に高い画像センサーが必要とされている。他にも、自動ブレーキに用いる近赤外線レーザーや夜間の視野を確保するための遠赤外線センサーなど、性能向上と共に量産化のための価格低下が期待される。

また、自動運転車の「判断」についても開発が続く。公道などでの実験を通し、膨大な状況においてのセンサーデータを蓄積しながら、より良い運転の判断が行えるよう改良が行われている。自動運転における有名な課題として、トロッコ問題が上げられる。「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるのか」という倫理学の思考実験であり、自動運転においても運転手と歩行者のどちらかを危険にさらす場面で自動運転車はどのような判断をなすべきかを問われている。実際の自動運転では、トロッコ問題の検討は続きつつも、複数の人間が犠牲になるような状況を作らないよう、事前に危険を予測し、回避するような走行を目指している。

自動運転車はネットワークによってつながり、ソフトウェアの更新などを行えるというメリットがある一方、セキュリティ面に不安があると言われる。悪意のある攻撃者によって安全に関わる機能が使えなくなる恐れがあるため、セキュリティは重要な課題となっている。そこで、セキュリティに関する考慮点として米国運輸省は15の評価ポイントを発表した。イベントの検出と反応、検証方法、登録と証明、データの記録と共有、事故後の振る舞い、プライバシー、サイバーセキュリティ、ユーザー教育、倫理的考慮などが含まれる。

自動運転の要素技術と課題

自動運転の要素技術と課題

■2030年、自動運転は普及し、人間による運転は違法になる?

遠くない将来、2030年には自動運転車はどのようになっているだろうか。ある調査では2030年までに世界全体で自動車7台に1台は自動運転車になるとの予測がある。他の調査では2020年から2030年まで自動運転市場は年率62%という高成長を記録し、2400万台が生産されるようになるとされる。市場規模としては2.6兆ドルという一大産業となると考えられている。

自動車業界の分析を行うIHS社は2030年に向けたロードマップを示した。まず、2020年までにレベル2の運転支援が普及し、レベル3の実用化が始まる。2025年には交通渋滞・高速道路・駐車などの特定した状況でのレベル3自動運転が実現される。そして、2030年にはレベル4の完全自動運転が実現すると予測した。さらに、特定地域では完全自動運転車のみが運行されるレベル5の登場も示唆されている。

自動運転が普及すると利用者の生活習慣も変わってくる。自分で運転するために自動車を購入するのは郊外に限られ、都市部では乗りたい時だけ乗る「サービス」としての使い方が主流となるだろう。Uberのような企業が中心となり、ユーザーは行きたい場所をアプリ内でクリックするだけで自動運転車が送迎してくれる。自動運転車の稼働率は極めて高くなり、遊休時間は圧倒的に少なくなる。稼働率が高くなるため、市場で必要とされる自動車の数が少なくなり、自動車の販売台数自体は減少すると見られる。

自動車メーカーの役割も変容していく。スマートフォンが普及しアプリが中心となった現在、携帯電話会社がビジネスモデルの再構築に悩まされているのと同様、自動車会社も付加価値創出が課題となる。自動運転車は利用者にとっては単なるインフラとなり、その車の中で何ができるかが問われるようになるからだ。移動中であっても仕事や娯楽の時間が過ごせるよう、それを支援するためのアプリやコンテンツが発展していく。

都市計画や法制度にも影響がある。渋滞を減らすためには自動運転車と歩行者を分けた方が望ましい、信号や標識と自動運転車が連携できるようにする、といった議論は既に始まっている。また、どこからでも自動運転車を呼び出せるため、都市部に駐車場を設ける必要がなくなるだろう。

大胆な予測では、2030年の時点で既に、人間による運転は違法になるとも言われる。現在の乗馬が特定の会場でのみ行われているのと同様、人間による運転はサーキット内に限られた個人的な趣味へと変化するのだ。

さいごに

運転支援を主とする現在の自動運転であるが、2030年までには完全自動運転の普及が見込まれている。判断やセキュリティを向上させ、完全自動運転車を中心としたビジネスモデルや都市計画の整備に期待が高まる。

 

著:ビジネス on IT運営事務局、データ活用班

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