市場は30%以上の急成長!ビッグデータ利活用が注目される背景

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ビッグデータ市場は30%以上の急成長を遂げており、実ビジネスでの成果が期待されるようになった。ビッグデータが注目される背景には、様々なデータの取得が可能になったことと大量データを蓄積・分析する技術が発展してきたことが挙げられる。データはその企業固有のノウハウを表すので、ビッグデータの利活用により、他社との差別化を図ることができる。

「わが社にビッグデータなんて関係ない」の誤り

ビッグデータ市場が拡大している。IDC Japanによると2014年の国内ビッグデータソフトウェア市場規模は110億9,100万円に到達し、さらに、市場は高成長を継続し、2014年~2019年の年間平均成長率は33.5%になると予測された。そして、同社はビッグデータ技術を採用する企業がインターネット関連企業などから一般企業に拡大していることを指摘している。ビッグデータの利活用は先行企業による実証実験のフェーズを過ぎ、実ビジネスへの適用が期待される段階に入ったのだ。コンサルティング会社のマッキンゼーはビッグデータが適用可能な5つの領域を予見している。

  • 製造業におけるコンカレントエンジニアリング(複数の工程を同時並行で進めて開発効率を向上させる方法)のように、複数部署にまたがってタイムリーな情報を共有するだけで、開発期間の短縮や品質の向上が可能になる
  • 製品在庫から従業員の病欠に至る無数の管理項目について、より正確で詳細な業績管理やパフォーマンス検証を行い、問題の把握や柔軟性・生産性の向上を図る
  • 位置情報やリアルタイム分析を用いて、これまでにない程、顧客の状態や属性を細かく分析できるようになり、ニーズに合致した製品・サービスのカスタマイズ提供が行える
  • Excel表で把握できる程度の情報から行っていた判断を、多種多量のデータに基づく分析によって補完・代替し、意思決定の精度を向上させる
  • 新たに取得できるようになったデータを利活用し、新しい製品・サービスの開発、既存商品の改良、全く新しいビジネスモデルの発案などにつなげる

勘・経験・度胸に頼っていた業務のやり方に、定量的な評価の手法を組み合わせることで、意思決定の精緻化や作業効率化などにつなげるのが、ビッグデータ利活用の実態といえよう。そして、ビッグデータ利活用は「今」だからこそ実現可能になった技術でもある。ガートナーのリサーチ部門最高責任者であるピーター・ソンダーガードは2013年にこう語っている。「5年前には出来なかったことが、今は実現している」

多種多量なデータが取得可能になった

世界はデータで溢れている。2014年における世界のデータ量は1986年の約150倍に匹敵すると言われており、今後は毎年40%ずつ増加すると予測されている。このような劇的な情報量の増加の背景には、スマートフォンの普及やFacebookなどのソーシャルメディアの発達が関連している。「60秒間に発生する世界中のオンライン活動」の調査から、以下のように大量のデータが日々生まれていることが実感できる。

Qmee Online in 60 Seconds Infographic
Online in 60 Seconds [Infographic] is an infographic that was produced by Qmee

60秒間に発生する世界中のオンライン活動  出展:Qmee 

加えて、センサー技術の普及もデータの増加に貢献している。工場では部品ごとにセンサーを取り付けて状態監視を行ったり、監視カメラやロボットによって遠隔地から操作したりするなど、高度な利活用が進んでいる。また、IoT(Internet of Things)の概念が提唱されているように、あらゆる物体に通信機器を取り付けて、位置情報などの物体の情報をリアルタイムに取得して、意思決定の補完・代替を図るのだ。具体的には、以下のようなセンサー技術が挙げられる。

  • RFID(無線ICタグ)
  • NFC  (近距離無線通信)
  • GPS  (全地球測位システム)
  • 速度センサー
  • 電子コンパス(地磁気センサー)
  • 画像センサー

しかし、多種多様な情報が集まっても、そこから意味のある洞察が得られなければ意味がない。Twitterに集まった数十万件の玉石混淆なツイートを人手で調べることはできない。ビッグデータの利活用にはコンピュータの力が必須になる。特に、近年注目されるのは、データから知見を見つける人工知能技術の発展がある。

大量データの蓄積と高度な分析が可能になった

大量データを蓄積し処理する要求に応えるインフラが提供できるようになったのは最近のことである。複数のコンピュータを同時並行に動作させることで処理を高速化する「分散処理技術」や、データを保存せずに予め定めたルールに従ってリアルタイム処理を行う「ストリーム処理」などが一般的になってきた。これらの高速処理に適したデータ保存手法として、ハードディスクへの書き込みを行わずメモリ内で高速処理を完結させる「インメモリデータベース」や、柔軟な構造を持つデータを高速に読み出す「NOSQL」が提案されている。これらの技術がビッグデータの利活用を可能にした。

人工知能技術の発展も見逃せない。人工知能によって膨大なデータの中から、規則性や構造を見出したり、異常値の検出や予測を行ったりすることが可能になる。「おむつとビールが一緒に買われる」というようなパターンを検出するバスケット分析が代表例だろう。東京大学の松尾豊准教授は人工知能技術の発展を「アルバイト・一般社員・課長・マネージャー」と例えた。言われたことだけこなす「アルバイト」、ルールを理解し判断する「一般社員」、マニュアルに従いながら改善を図る「課長」、マニュアルを自分で作る「マネージャー」という具合だ。検索エンジンのような、これまで普及してきた技術は「課長」レベルであり、検索結果の精度向上などに用いられてきた。近年はディープラーニング(深層学習)という手法により、「マネージャー」レベルの解析が可能になり、人間の顔を認識するなどの高度な発見ができるようになってきた。人工知能技術への投資は国内外で盛んになっており、リクルートやドワンゴが人工知能研究所を開設したように、データをいかにうまく解析できるかが、今後の差別化につながると見られている。

今動かなければ未来はない

ビッグデータへの投資は差別化につながりやすい。パソコンのようなコモディティは、お金を払えば誰でも手に入れられるので差別化にはならないが、自社で獲得したデータは、その会社に固有の知識である。顧客の声、在庫の数、従業員の業績といったあらゆる情報がノウハウとして蓄積される。そして、ビッグデータの時代では、データは貨幣と同様の価値がある。人工知能は大量のデータから洞察を得る仕組みなので、データを持っている企業ほど優位に立つことができるからだ。Facebookなど多くのWeb企業がユーザーに無料でサービス提供するのは、データが取得できることと関連がある。

また、ファーストリテイリングはアクセンチュアとの提携によりビッグデータの利活用を強化し、「顧客の顔」がよく見えるようにすると共に、現在の小売業の定義にとらわれない組織の構築を目指すと発表した。柳井正社長がこれからの競合企業としてCoca-Cola、P&G、Disneyを挙げたように、顧客の属性や購買情報といったデータを継続的に収集できる企業こそが競争力のある企業である続けられるのだ。データを保有する企業は新たな知見をもとに発展し、さらに重要なデータを収集できる一方で、持たざる者はその後追いをするしかない。ビッグデータの利活用は「Winner takes all (勝者が全てを手にする)」の世界なのだ。

ビッグデータの利活用は実ビジネスへの適用段階に入り、あらゆる業界・部署において意思決定の高度化や作業の自動化・効率化に利用することが期待されている。近年見られる、この普及の背景には、人工知能を始めとする多種多量なデータを蓄積・分析する技術の発展がある。データ分析から得られる洞察はその会社固有の知識なので、利活用を進めることで他社との差別化が図りやすい。ビッグデータ利活用の仕組みをいち早く構築し、先行者利益を享受するのは、どのような企業だろうか。

 

※ 本記事は「ビッグデータマガジン」の記事を参考にビジネス on ITにて編集してご紹介しました。

 

 

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