AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloud、IBM Cloud、GCP等、主要なクラウドサービスの特徴とは

AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloud、IBM Cloud、GCP等、主要なクラウドサービスの特徴とは

 企業システムでも一般的になってきたパブリッククラウドの活用。

 しかしいざ使うクラウドサービスを選定するとなると、どれがいいのか悩んでしまうのではないでしょうか。

 そこで今回は、主要なメガクラウドを取り上げ、それぞれの歴史や特徴について簡単に紹介します。

 クラウドサービスの内容は時間の経過とともにどんどん変化していきますが、ひとつの目安としてご活用いただければ幸いです。




▼ 目次
AWSの特徴とは
Microsoft Azureの特徴とは
Oracle Cloudの特徴とは
IBM Cloudの特徴とは
GCPの特徴とは
パブリッククラウドとオンプレミスの閉域接続





1. AWSの特徴とは

 Amazon Web Services (以下、AWS)は Amazon.comの子会社であるAmazon Web Services LLCが提供するパブリッククラウドサービスです。

 最初は2004年に「Amazon Simple Queue Service」としてスタートし、2006年にAWSとしてのサービスが開始されました。主要なパブリッククラウドサービスの中では、最も歴史が古いものだと言えます。

 当初は、XenとKVMの技術をベースにした仮想サーバーを提供するサービス「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」をメインに提供しており、IaaSを提供するクラウドサービスとしてユーザー層を広げてきました。現在でも手軽に使える仮想マシンとして、Amazon EC2を選択するユーザーは少なくありません。しかし現在までにサービス内容を急速な勢いで拡充しており、PaaS機能も充実しています。

 AWSが提供するPaaSとしてはオンラインストレージサービスの「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」がよく知られていますが、提供サービス数は現時点で200を超えていると言われており、その全てを把握するのは決して簡単ではありません。しかし逆の観点から見れば「AWSの中を探せばだいたい必要なサービスは見つかる」と言っても過言ではない状況だと言えます。

 このような数多くのサービスをラインアップするAWSですが、最大の特徴はそのインフラストラクチャの構造にあると言えます。

 AWSのインフラストラクチャは、大きく3つのレイヤで構成されています。

  • データセンター
    • データセンターは最も小さな単位となるレイヤ
    • サービス提供に必要なサーバーなどが格納された施設
  • アベイラビリティゾーン
    • データセンターを複数組み合わせた「アベイラビリティゾーン」を構成
    • アベイラビリティゾーンに組み込まれたデータセンター間は低レイテンシーなネットワークで接続され、これらの間でレプリケーションを行うことで、単一データセンターに障害が発生してもサービスを継続できる、極めて高い可用性を実現
  • リージョン
    • 複数のアベイラビリティゾーンを組み合わせたものであり、さらに高い可用性を実現
    • ユーザーはこれらのうちリージョンを指定して、AWSのサービスを利用


 米国発祥のサービスであることや、当初からセルフサービス型での利用を想定して設計されていたこともあり、以前は日本国内におけるサポートは、必ずしも充実しているとは言えない状況でした。しかし最近では日本国内のAWSチームが増強され、サポートも充実しつつあります。例えばAWSは2018年に「Migration Acceleration Program(MAP)」と呼ばれるクラウド移行支援プログラム作っており、2020年には日本国内での提供が本格化しています。

 これに加え、最も歴史が古いだけあって、使いこなせる技術者の数が多い点も、大きな特徴だといえるでしょう。AWSを得意とするSIerも数多く存在します。


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2. Microsoft Azureの特徴とは

 Microsoftが提供するパブリッククラウドサービスです。

 2008年の「Professional Developer Conference」で発表され、2010年1月に「Windows Azure」として、世界21か国でサービスを開始しました。2014年には現在の「Microsoft Azure」へと名称を変更しています。

 Microsoft Azureの最大の特徴は、当初からPaaSを中心にサービスをラインナップしていたことです。これは、Microsoft Azureが発表された時期にすでにAWSが登場していたことから、IaaS中心でサービスを開始したAWSとの差別化を意識したからだと考えられます。現在(2021年3月)提供されているサービス数は、Microsoft Azureサイトの「Azure製品」のページ (https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/) によれば、合計で274に上ります。AWSに勝るとも劣らない充実ぶりだと言えるでしょう。

 Microsoft Azureで注目すべき点はなんと言っても、多くの企業が使い慣れているマイクロソフトテクノロジーとの親和性が高いことだと言えます。例えばユーザー認証であればAzure Active Directoryが用意されており、企業ネットワーク内の認証とMicrosoft Azureの認証を容易に統合できます。またWindows Virtual Desktopのように、クラウドで仮想デスクトップを動かせるサービスも存在します。もちろんMicrosoft 365との連携も容易です。

 その一方で、Windowsテクノロジーの枠を超えた活用を意識した機能拡張を進めてきたことも見逃せません。いわゆる「LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHPを組み合わせた環境)」の稼働基盤として採用されるケースも少なくないのです。

 さらに、当初から国内サポートがしっかりしていたことも、特筆すべきポイントだと言えます。これはユーザー企業へのサポートはもちろんのこと、パートナー企業へのサポートや、スタートアップ支援なども含まれています。なお東日本リージョンに加え、いち早く西日本リージョンを設置し、日本国内だけでリージョン間のバックアップ体制を敷けるようにしたことや、準拠法を日本法、裁判所を東京地裁としている点も、注目すべきポイントだと言えます。つまり日本国内で比較的安心して使えるサービスなのです。

 このような取り組みが評価され、日本でも着実にユーザー企業を増やしています。


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3. Oracle Cloudの特徴とは

 Oracleが提供するパブリッククラウドサービスです。サービス開始は2010年と、AWSやMicrosoft Azureに比べると後発です。日本では2014年にサービス提供が始まっています。

 サービスラインアップとしては、IaaSを提供する「Oracle Cloud Infrastructure」、インテリジェントなコンテンツ管理を可能にする「Content and Experience Cloud」、簡単かつ迅速なデータ分析を可能にする「Analytics Cloud」、さらに複数のPaaS機能が用意されています。サービス数はAWSやMicrosoft Azureに比べれば少ないという印象ですが、必要にして十分なサービスが用意されていると言えます。

 Oracle Cloudで特に注目したいのは、以下の2点です。

  • アグレッシブな価格設定
  • ベアメタルを用意しており、オンプレミスからの移行が容易


 なお、Oracle Databaseの移行先とした場合にも、料金面などでの優位性があります。そのためデータベースをクラウド化する際に採用されることも多いようです。

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4. IBM Cloudの特徴とは

 IBMが提供するパブリッククラウドサービスです。

 それまでIBMが提供していたクラウドブランドである「Bluemix」が「Watson」と合流し、2017年に「IBM Cloud」となりました。Bluemixは2014年にサービス開始していますが、2016年にSoftLayerと統合されています。なおIBM Cloudには他にも、複数のサービスブランドを源流としており、これまでの3サービスに比べて複雑な生い立ちとなっています。

 SoftLayerは2005年に創業しIaaSサービスを提供していたため、ここから数えれば最も歴史があるクラウドサービスだと言えます。しかし現在の形になったのは2017年なので、比較的若いサービスだと言うこともできます。提供サービスとしては、SoftLayerが得意としていたIaaSの他、一般的なPaaS機能がラインアップされています。

 IBM Cloudの最大の特徴は、実用レベルで高い実績があるAIサービス(IBMでは「コグニティブサービス」と呼んでいます)であるWatsonを活用したアプリケーション開発ができる点だと言えます。またベアメタルサーバーを提供する数少ないパブリッククラウドであり、オンプレミスからの移行やハイブリッド環境の構築が容易な点も、見逃せないポイントだと言えます。





5. Google Cloud Platformの特徴とは

 Googleが提供するパブリッククラウドサービスです。

 Googleは2008年に、Googleが提供するデータセンター内でWebアプリケーションを開発・実行できる「Google App Engine(GAE)」の提供を発表、これが2011年に一般公開され、2013年にGoogle Cloud Platform(以下、GCP)になりました。

 GCPの最大の特徴は、Google検索やYouTubeが使っているのと同様の、Googleの大規模インフラストラクチャを利用できる点にあります。Googleのインフラストラクチャは並列処理を前提としたアーキテクチャと、Googleが独自開発した高速ネットワークで構成された極めて強靭なものとなっており、テクノロジー面での先進性が際立っています。並列処理による大規模なデータ処理を得意としており、AIや機械学習サービスにおいても業界をリードしている観があります。またコンテナ技術でも先進性を発揮しており、2014年には「Google Container Engine(現在のGoogle Kubernetes Engine:GKE)」をリリースしています。

 提供しているサービスはPaaSが中心ですが、IaaSもラインアップされています。その構成は比較的シンプルです。AWSやAzureで提供されているサービス内容が、GCPでは提供されていない、といったことも少なくありません。しかし一般的なサービスは網羅されているという印象です。

 Googleが持つ独自テクノロジーの優位性を活用したい場合に、大きなメリットを発揮できるサービスだと言えそうです。


 CTCはGCPの利用に関する企画・立案から、システム設計、構築、運用まで、エンジニアによる手厚いプロジェクト サポートを提供いたします。詳しくは以下よりご欄いただけます。



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6. パブリッククラウドとオンプレミスの閉域接続

 企業によるパブリッククラウドの活用は活況といえます。

 しかし、全てのオンプレミスシステムをクラウドに移行する企業は少なく、一部のシステムをオンプレミスで動かしながら、複数のクラウドを使い分けていくという「マルチクラウド」のシステムが、当面は主流になります。

 そこでパブリッククラウドとオンプレミスシステムの接続が必要になります。この接続はセキュアであることを大前提に、クラウドアプリケーションによっては低遅延であることが要求されるため、インターネットVPNのような通信品質が安定しない接続手法ではなく、専用線による閉域接続が求められることがあります。

 CTC はAWS、Microsoft Azure、GCP、Oracle Cloud等のパブリッククラウドサービスと企業を、最短 5 営業日でセキュア且つ低遅延で接続するサービス「CTC Cloud Connect」を提供しています

 CTC Cloud Connect の料金等や構成等の詳細については、以下よりご欄いただけます。



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まとめ

 最近ではこれら複数のクラウドサービスを組み合わせて活用する「マルチクラウド」も増えています。それでは実際に、日本国内ではどのクラウドサービスの利用が多いのでしょうか。

 伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)がこれまで実施してきた「マルチクラウド意識調査」では、国内ではAWSとMicrosoft Azureを活用する企業が圧倒的に多く、3位以下を3倍程度引き離す結果となっています。これら2つのサービスが、メガクラウドの「二強」だといってもいいでしょう。


メガクラウド

図 1. マルチクラウド意識調査

(現在ご利用中のクラウド基盤の中で、主にご利用になっているものをお選びください」への回答のグラフ)




 しかし今後、基幹システムのクラウド化やAI活用が進んでくれば、この勢力図も変化していくかも知れません。また各クラウドサービスの強みも、時間の経過とともに変わっていくことが予想されます。このような変化を継続的にキャッチアップしながら、適材適所でクラウドサービスを採用していくことが、マルチクラウド時代を勝ち抜く上で重要な要件になると言えます。

 さらに、柔軟性を担保した形でマルチクラウド環境を構築・運用していくには、コアとなるクラウドサービスを決め、そこと連携させる形にすることも考えるべきです。


 CTCではこのような使い方ができるクラウドサービスを「CUVIC」ブランドで展開しておりますので、その活用もぜひ検討されることをお勧めします。

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