VMware Cloud on AWSとは|の3つのメリットとユースケース

 2017年7月に米国オレゴンリージョンで提供が開始され、2018年11月にはいよいよ東京リージョンでも利用可能となった「VMware Cloud on AWS」。その可能性に注目し、利用を検討している情報システム担当者も少なくありません。そこで、VMware Cloud on AWS登場の背景、これがもたらすメリット、想定されるユースケースについて解説します。



▼ 目次
1. エンタープライズにおけるAWS活用の3つの課題
2. VMware Cloud on AWSの概要と3つのメリット
3. VMware Cloud on AWSのユースケース





1. エンタープライズにおけるAWS活用の3つの課題

 ここ数年で、エンタープライズでもAWS(Amazon Web Services)の活用が進んできました。その背景としては、デジタル変革の推進が重要な経営戦略になっている、ということが挙げられます。

 これまでのAWSの活用は、事業部門主導で進められるケースが多かったのではないでしょうか。具体的には、「攻めのITサービス」のために事業部門がAWSの利用を開始し、図 1 のように情報システム部門が管理するオンプレミスシステムとAWSを接続するという構成です。



VMware Cloud on AWSとは

図 1. Direct Connectによるオンプレミス環境とAWSの接続




 この状況は、2018年に入ってから徐々に変わりつつあります。情報システム部門でも、AWSの活用を真剣に検討するケースが増えてきているのです。しかしそのスピードは、事業部門によるAWS活用に比べると「ゆっくりしている」という印象です。情報システム部門が管理するオンプレミスシステムをAWSへと移行するには、大きく3つの課題が存在するからです。





VMware Cloud on AWSとは

図 2. AWS の本格利用が進まなかった課題



課題 1. 仮想マシンを作り直す必要がある

 エンタープライズにおける社内システムの多くは、VMware vSphere上の仮想マシンとして稼働しています。しかしこれをそのまま、AWS上で動かすことはできません。ハイパーバイザーや提供されるサービス、アーキテクチャが異なっているからです。



課題 2. ネットワークレイテンシや帯域の制約

 オンプレミスで動く各システムは、それぞれ単独で動いているわけではなく、相互に連携しています。そのうち一部をAWSへと移行すれば、オンプレミスとAWSとの間のネットワークが、ボトルネックになる危険性があります。かといって、すべてのオンプレミスシステムを一気にAWSへと移行するのは、大きな作業負担とリスクを覚悟する必要があり、簡単には決断できません。



課題 3. ポータビリティの低下

 いったんAWSへと移行したシステムを、再びオンプレミスへと戻すのも容易ではありません。再度仮想マシンを作り直す必要があるからです。

 しかしこれらの課題も解決可能になりました。「VMware Cloud on AWS」がリリースされ、2018年11月には日本国内のリージョンでも利用可能になったからです。





2. VMware Cloud on AWSの概要と3つのメリット

 VMware Cloud on AWSとは、VMware社がAWSのインフラ上で提供する、ベアメタル型のIaaSサービスです。東京リージョン内のグローバルインフラを利用することができ、そのインフラ上でvSphereが動く、ベアメタル型のIaaSサービスを提供します。またvSphereだけではなく、vCenterやvSAN、NSXまで含んだ形で提供され、インフラ全体の運用すべてがVMware社の管理のもとで代行されます。なおAWSはインスタンス単位での課金ですが、VMware Cloud on AWSはホスト単位での課金となりますので、この違いには留意する必要があります。



VMware Cloud on AWSとは

図 3. VMware Cloud on AWSの構成概要図



 VMware Cloud on AWSを利用することで、以下の3つのメリットを享受できるようになります。




メリット 1. オンプレミスの仮想マシンをそのままリフト&シフト可能

 VMware Cloud on AWSはVMware vSphereをベアメタル上で動かしているため、オンプレミスの仮想マシンをそのまま動かせます。またオンプレミスとの連携を容易にするため、VMware HCXという新しいソリューションも内包されています。

 VMware HCXとは、L2延伸機能や拠点間vMotionを可能にする技術です。これによってIPアドレス構成を保持したままダウンタイムなしに、オンプレミスとVMware Cloud on AWSとの間で仮想マシンの移動が行なえます。またvSphereのバージョン間の差異も吸収できるため、vSphere5.5以上であれば旧バージョンのvSphereからでも、仮想マシンを移行できます。



メリット 2. 同一リージョンのAWSインスタンスと高速通信が可能

 ENI(Elastic Network Interface)という機能によって、同一リージョンのAWSと25Gbpsの高速通信が行えます。そのため、オンプレミスにある仮想マシンよりもはるかに高速に、AWS上のインスタンスとの連携が可能になります。これはVMware Cloud on AWSの大きな優位性です。


メリット 3. 仮想マシンをオンプレミスに戻すことも容易

 メリット1と同じ理由で、VMware Cloud on AWSからオンプレミスへと、仮想マシンを戻すことも容易です。この時も仮想マシンの作り直しは必要ありません。VMware HCXによって、IPアドレス構成を保持したままダウンタイムなしで、オンプレミスへと戻すことができます。


 VMware HCX による無停止移行の検証結果サマリーについては、下記よりご覧いただけます。



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3. VMware Cloud on AWSのユースケース

 VMware Cloud on AWSは具体的にどのような用途で活用できるのでしょうか。代表的なユースケースについて紹介しましょう。




VMware Cloud on AWSとは

図 4. VMware Cloud on AWSのユースケース




ユースケース 1. クラウドDR

 オンプレミスと同様の環境をVMware Cloud on AWS上に構築し、データを同期させます。これによってオンプレミス環境が自然災害等でダウンした場合でも、VMware Cloud on AWS上で業務を継続できるようになります。


ユースケース 2. クラウドバースト

 オンプレミスのリソースが不足した際に、一部の仮想マシンをVMware Cloud on AWSへと移動させ、クラウドのリソースを活用します。これによってリソース調達の柔軟性を高められます。


ユースケース 3. クラウドシフト

 オンプレミスにある仮想マシンを、段階的にVMware Cloud on AWSへと移行していきます。これによって業務を停止することなく、スムーズにクラウドへとシフトできます。クラウドシフトによってシステムの柔軟性や即応性が高まり、運用負担も軽減できるようになります。



 このようにVMware Cloud on AWSには、さまざまなユースケースが考えられます。これを活用することで、エンタープライズシステムの自由度は飛躍的に高まるはずです。なお利用料金については、以下のホワイトペーパーで解説しています。



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まとめ

 ここで述べた内容をまとめると、以下のようになります。

  1. 最近では情報システム部門でもAWSの活用が真剣に検討されるようになっているが、3つの課題があったため、検討スピードは速くなかった。
  2. これらの課題を解決できるのが「VMware Cloud on AWS」。2018年11月には東京リージョンでも利用可能となり、これを活用することで3つのメリットが享受できる。
  3. 具体的なユースケースとしては、「クラウドDR」「クラウドバースト」「クラウドシフト」「オンデマンド」が考えられる。これによってエンタープライズシステムの自由度を飛躍的に高められる。



 なお VMware Cloud on AWS とマネージドサービスのサービス紹介については、下記よりご覧いただけます。こちらもぜひご参照ください。



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