VMware Cloud™ on AWSの構成|選択肢と注意すべきポイントとは

 2018年11月に東京リージョンでの利用が可能になり、オンプレミスの仮想マシンをクラウド化するための手段として注目されている「VMware Cloud on AWS」。

 まずは実証実験を行い、その可能性を見極めたいと考えている情報システム担当者も多いはずです。

 そこで、VMware Cloud on AWSを使う上でのシステム構成の選択肢を解説すると共に、注意すべきポイントについて解説します。



▼ 目次
1. VMware Cloud™ on AWSとは
2. 課金単位とサーバスペック
3. アベイラビリティゾーンと構成概要
4. シングルAZ構成




1. VMware Cloud™ on AWSとは

 VMware Cloud on AWSとは、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のベアメタル環境上で稼働するVMwareソフトウェアベースのクラウドサービスです。


 インフラ部分はAWSのグローバルインフラを使用し、そのホスト上にVMware vSphere®(以下、vSphere)を展開してリソースを提供します。

 VMware Cloud on AWSではvSphereだけではなく、VMware vCenter®やVMware vSAN™、VMware NSXまで含む、VMware社が提唱するSoftware-Defined Data Center(以下、SDDC)を具現化した構成で提供され、インフラ領域(HW/SW)の運用がVMware社、AWS社の管理のもとで運用されます。

 これまでオンプレミス環境で必要だったインフラHW/SWのメンテナンスやパッチの適用、バージョンアップ、数年サイクルで行われていた仮想基盤の更改や移行の様々な運用作業から解放されます。

 VMware Cloud on AWSには、L2延伸機能や拠点間vMotionを可能にするVMware HCXも含まれているため、オンプレミスとVMware Cloud on AWSとの間で、ダウンタイムなしに仮想マシンの移動を行えます。また同一リージョンのAWSとは25GbpsのVMware Cloud™ ENIで接続されるため、VMware Cloud on AWSの仮想マシンとAWSインスタンスとの高速な連携も可能になります。



VMC on AWS構成

図 1. VMware Cloud on AWS 概要



 このようなメリットを理由に、VMware Cloud on AWSの活用を検討する企業が増えています。
 それでは、本サービスを利用する場合、どのような構成を選択できるのでしょうか。また注意すべきポイントはどこにあるのでしょうか。





2. 課金単位とサーバスペック

 AWSとは課金体系が異なる点に注意する必要があります。AWSではインスタンス単位の課金となりますが、VMware Cloud on AWSはホスト単位での課金となります。


VMC on AWS構成

図 2. VMware Cloud™ on AWS と AWS の違い



 ホストとなるベアメタルサーバは、2種類(i3ホスト/R5ホスト)から選択可能です。それぞれの1ホストあたりのスペックは下記のとおりです。



    • i3ホスト
      • プロセッサ:36コア
      • メモリー:512GB RAM
      • ストレージ:内蔵 Disk NVMe Flash x 8
        • 10.2TBの容量+3.4TBキャッシュ
        • すべてのvSAN保護レベルに対応(RAID1,5&6)
      • ネットワーク:25GbpsのElastic Network Adapter(ENA)

    • R5ホスト
      • プロセッサ:48コア
      • メモリー:768GB RAM
      • ストレージ:EBS 15TB ~ 35TB
        • 5TB 区切り指定、容量拡張可能
        • 別途、オプション必須(EBS / Elastic vSAN)
      • ネットワーク:25GbpsのElastic Network Adapter(ENA)



 基本はi3ホストで検討を行い。システム要件に合わせストレージ容量を大きく、柔軟にしたい場合にはR5ホストを検討する形が一般的です。





3. アベイラビリティゾーンと構成概要

 AWSのリージョンは複数のアベイラビリティゾーン(AZ)で構成されています。AZは複数のデータセンターで構成され、高い耐障害性を提供しています。

 AWSではシステムをAZ障害に対応するか否かで構成を変える必要があり、VMware Cloud on AWSでも同様にシングルAZ(AZ障害対応不可)、マルチAZ(AZ障害対応可)を選択できる仕様となっています。




VMC on AWS構成

図 3. AWS リージョンとアベイラビリティゾーン



 シングルAZ構成の場合は最小構成で3ホストから、マルチAZでの6ホストから構成可能です。マルチAZを構成する為には、AZ間のホストを同数にする必要があるため、2ホスト単位での増減を行います。

 ちなみにPoC(概念実証)用限定であれば1台のi3ホストでも構成を組む事が可能ですが30日を超えると自動的に削除されますので注意が必要です。

  • SDDCの作成上限数 : 2
  • SDDC内の最大クラスタ数 : 20
  • クラスタ内に構成できるホスト数 : 最少 3 ~ 最大 16
  • 1つのSDDC内に構成できるホスト数 : 最大 300


VMC on AWS構成

図 4. VMware Cloud on AWS 構成概要



 マルチAZでVMware Cloud on AWSを利用した場合には、ストレッチクラスタによって、データやワークロードを強力に保護することも可能です。

 これは、2つ以上のVMware Cloud™ on AWS クラスタが同じ論理クラスタの一部でありながらも、物理的には「異なるAZに配置されている」という構成です。複数AZ間でNSXによる論理ネットワークを構成し、vSphere HA/DRSによるワークロード保護/動的再配置や、vSANストレッチクラスタによる完全同期レプリケーションを行います。

 これによってゼロデータロスの可用性を実現でき、一方のAZに全面障害が生じた場合でも、迅速な復旧が可能になります。



VMC on AWS構成

図 5. ストレッチクラスタによるマルチAZ



 尚、マルチAZ構成の場合には、AZ間のホストを同数にする必要があるため、2ホスト単位での増減を行います。





4. シングルAZ構成

 VMware Cloud on AWSを本番環境で使用するには、高スペックで大規模な構成になります。そのため利用料金もそれなりにかかり、「ちょっと試してみたい」という企業にはハードルが高く感じられるかもしれません。

 ただし、AZ 障害に対する可用性の必要がなければ、シングルAZで構成するという選択肢も提供されています。この場合、最小構成は3ホストとなります。

 さらに、期間限定で実証実験を行いたい企業向けに、シングルAZ/シングルホスト構成も提供されています。これは文字通り、1台のi3ホストでVMware Cloud on AWSを試すためのものであり、30日間の期間限定で利用可能です。なお、このシングルホスト構成から、3ホストのシングルAZへと拡張することも可能です。この場合、利用期間の制限は解除されます。




VMC on AWS構成

図 6. VMware Cloud™ on AWS 構成概要



 ここで注意点があります。
それは「シングルAZ構成からマルチAZ構成への変更は不可能」であるいうことです。

 シングルAZ構成かマルチAZ構成かは、SDDC作成時に選択するする必要があり、その後は変更できません。

 ただし、シングルAZとマルチAZを段階的に構成し、これらの間で仮想マシンを移行させることも可能です。そのため、以下のようなステップで拡張シナリオを考えることができます。

    1. シングルホスト構成で SDDC 1 を作成し、VMware Cloud on AWSの実証実験を行う。
    2. これを 3 ホストのシングルAZ構成へと拡張し、AZ障害を考慮しなくて良いシステムを移行、本番稼働させていく。
    3. AZ障害を考慮する必要があるシステムが出てきた場合には、別途マルチAZ構成の SDDC 2 を作成する。ここに SDDC 1 やオンプレミスから仮想マシンを移行し、本番環境として利用する。その一方でシングルAZ環境も、DRやテスト環境用として継続して利用する。



 このようなステップを踏んでいくことで、低リスクでVMware Cloud on AWSへの移行を進めていくことが可能になるはずです。





まとめ

 ここで述べた内容をまとめると、以下のようになります。

    1. VMware Cloud on AWSは、VMware社、AWS社の管理のもとで運用され、システム管理者はこれまでオンプレミス環境で必要だったインフラHW/SWの運用管理作業から解放される。
    2. VMware Cloud on AWSは、AWSとは課金体系が異なる。可用性に関しては、AWSと同様にシングルAZ構成、マルチAZ構成を選択できる。
    3. AZ障害に対する可用性が不要であれば、シングルAZ構成(最小構成3ホスト)という選択肢もある。また期間限定で実証実験を行いたいのであれば、シングルホスト構成を30日間限定で使用することも可能。なおシングルホスト構成からシングルAZ構成(3ホスト)への拡張は可能だが、シングルAZ構成からマルチAZ構成への拡張はできないので、注意が必要である。
    4. シングルホスト構成でSDDC1を作成しシングルAZ構成(最小3ホスト)へと拡張、AZ障害を考慮しなければならないシステムの稼働が求められた場合、別途、SDDC2をマルチAZ構成で作成し、段階的な移行を進めていくというアプローチも考えられる。


 VMware Cloud on AWS の構成や利用料金に関しては、下記の記事においても解説しています。こちらもぜひご参照ください。



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