企業のデータ活用とデータマネジメント|データドリブン経営への変革に向けて

企業のデータ活用とデータマネジメント|データドリブン経営への変革に向けて

 こんにちは、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)CDEC 事務局の瀬尾です。


しーでっく




 厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。



 CDEC 1.0 が好評でしたので、2019年8月6日に CDEC (CTC Datacenter Exchange Community) を開催いたしました。

 その名も「CDEC 2.0(にぃーてんぜろ)」・・・。

 今回は「データ活用とデータマネジメント~データドリブン経営への変革に向けて~」をテーマに、ご参加いただいた企業とCTC エンタープライズ事業グループ エンタープライズ第4本部 DX 推進部 岩瀬 裕樹を交え、唸る暑さにも負けずと劣らない熱い意見交換を行いました。本記事では、その模様を簡単にお伝えします。



▼ 目次
意見交換のテーマ
参加企業のご意見





1. 意見交換のテーマ

 日々、何気なく貯蓄しているデータが想定外のビジネスチャンスを生むことは、近年のビジネスにおいては珍しくなく、多くの企業では競争力を高めるためのデータの活用に注力しています。昨今は、データを取り扱う専門家のみならず、業務部門自らがデータを活用し、データの収集から解析、最適化、ロボティクスによる自動化などを駆使して、様々なイノベーションが生み出されています。

 之まで以上にデータの活用が進むなか、今後はデータのマネジメントが重要となります。

 データマネジメントとは、データをビジネスにおける「重要な資産」として位置付け、限られた人が、いつでも、どこでも、必要な時にデータを活用できよう、データを整備するための一連の活動を指します。

 そこで今回は「データ活用とデータマネジメント~データドリブン経営への変革に向けて~」をテーマに、データドリブン経営への変革に向けたデータ活用やデータマネジメントの現状について、CDEC にご参加いただいた企業と意見交換をしました。



CDEC2.0






2. 参加企業のご意見


CDEC2.0

岩瀬
 ビジネスの現場における AI の活用が現実味を帯びる昨今、企業は「人には人にしかできない仕事」に注力させたい考える傾向にあります。AI の活用を成功に導くためには、「データマネジメント」によるデータの品質維持が不可欠です。データの品質は、次の視点によって評価されます。

    • 一貫性
      • 誰がいつデータを利用しても、同じ意味で認識されているか?
    • ボリューム
      • データは、モデルの予測精度を担保するだけのボリュームか?
    • 経済性
      • 安価にデータ収集/補正できるか?
    • データ種類
      • データの構造化/非構造化…豊富なデータ種類に対応?
    • 完全性
      • データは欠落なく、全て揃っているか?
    • 正確性
      • データが実体を正しく表しているか?
    • 最新性
      • データは利用状況に応じた鮮度が保たれているか?
    • 可視性
      • 直感的にデータの意味/配置が把握できるか?
    • 可用性
      • 利用したいとき、データを活用することが可能か?
    • 権限
      • データに対して、適切なアクセス制御がなされているか?
    • 機密性
      • 外部流出が許されないデータは守れているか?





CDEC2.0





岩崎 そもそもデータマネジメントは何から始めるべきですか?



岩瀬
 データマネジメントの第一歩は、社内の資産であるデータが、どこに、どのようなかたち管理されているのかを可視化することから始めるべきです。データ資産を可視化するためには、データカタログソリューションが不可欠です。



岩崎
 データーカタログとは、目的のデータを探しやすくするためのソリューションですが、どのような要素から構成されていますか?



岩瀬
 データカタログソリューションは、大きく 4 つの要素で構成されていると説明します。

  • データ資産の自動スキャン
    • オンプレミスやクラウドにある全てのデータのメタデータを、構造化されているか否かに関わらず、スキャンできる
  • ビジネス用語との関連付け
    • 技術用語で定義されたデータをビジネス用語と紐付ける
  • エンタープライズのデータ検索
    • Google 検索エンジンの様に、簡単に使える検索機能
  • データの流れの可視化
    • データ項目レベルでデータ間の繋がりを可視化し、データの動きを完全に追跡できる





CDEC2.0





岩崎
 本日、ご参加された方々に伺います。ビジネスへのデータ活用、データマネジメントの課題、データの置き場所についてお伺いします。



システムコンサルティング(IoTプラットフォーム構築担当)
 データマネジメントに関しては、数多くの課題を抱えています。活用が進むようにルールや仕組みを見直そうとしていますが、当社は自前主義が根強く、パッケージも徹底的にカスタマイズする文化であり、システムが業務部門毎に導入されていることもあって、データがサイロ化しているのです。BIも複数導入されています。またアプリオーナーが、自分がデータオーナーだと勘違いしているという問題もあります。例えば財務のデータを人事部門が見たい場合でも、見せるべきか否かという議論が始まってしまうのです。
 問題の根本にあるのは、データに関する責任者が明確になっていないことです。これを解決するにはCDOが必要です。データの置き場所も、使い方に合わせて変えていくべきです。またどこにどのデータを配置すべきかも、CDOが一人で考え、判断すべきです。ここまで徹底しないと、データ活用は進まないと思います。



メーカー系情報システム子会社
 当社では今もホストシステムがあり、その周りで数多くのJavaアプリが動いています。このような環境でデータ連携を推進しようとしていますが、インフラとアプリのどちらから手を付けるべきなのか、社内の調整が難しいという状況です。
 データの置き場所は、まだほとんどオンプレミスです。最近になってようやくクラウドファーストの議論が始まりつつありますが、実際にどうすべきかはセキュリティ等を含めて検討する必要があります。そのためにCDOが必要だというのは、私も同感です。また現場で何を整理すべきかも考えなければならないと思っています。



ソフトウェアベンダー(プリセールス担当)
 最近お客さまからDWHに関するご相談が多くなっています。情報系システムのデータ連携の先には基幹系システムがありますが、この間をつなぐツールをどうするかで、悩まれているケースが多いようです。その一方で自社では、お客さまに販売するツールは自社でも使うべきというトップの方針から、情報システム部門を中心にデータ連携ツールの活用が進んでいます。その一例が、会議資料の作成でのツール活用です。以前はExcelでしたが、現在はTableauを使用しています。これによって会議中に指摘されたことを、その場で反映できるようになりました。まだ規模は小さいと言えますが、データ活用は着実に進んでいると感じています。実際のツール活用の形態ですが、1つのツールで全てをカバーするのではなく、複数のツールを組み合わせるのが現実的です。お客さまに対しても、ポイント毎に最適な製品を紹介し、これらを組み合わせて使っていただく、という提案をしています。



メーカー(情報通信システム部門)
 当社のデータ連携や活用は、目的が明確なものはうまく進んでいます。例えばサービスマンを早くお客さまの現場に送るための予測システムなどは、すでに実現しています。その一方で、新しい価値を見出すためのデータ連携は、まだあまり行われていません。当社は既存ビジネス主導でデータ連携が行われており、そのアプローチもアプリ駆動型だと言えそうです。



岩崎
 今後 CTC としては、お客様のデータカタログの導入やデータの活用について、どの様に支援していきたいと考えていますか?



岩瀬
 CTCはこれまでにデータカタログの導入や活用を支援して参りました。しかし、データカタログの導入にあたって最も重要なことは、「目指したい姿」を策定することです。今後は、お客様が「目指したい姿」を明確にする支援も積極的に進めていきたいです。



CDEC2.0







まとめ

 CDEC 2.0 前編では「データドリブン経営への変革に向けたデータ活用とデータマネジメント」をテーマに意見交換を行いました。ご参加いただいた企業様の業態や業務内容によって違いはあるものの、データの活用に向けて組織的な課題への取り組みが重要事項となり、その上でデータの取り扱いをどうするかといった議論が展開されました。他にも、興味深い議論が展開されたが、各社の機微に触れる内容も多く、本レポートでは割愛します。

 また、私自身も今回を機に多くの気づきを得られました。

  • データ活用は進んでいるのか
    • データの活用は、まだまだ課題が多く進んでいない企業が多い
    • 「データのオーナは誰か」という点を明確にし、各データの取り扱いを考える必要がある

  • データの置き場所は意識している
    • ご参加いただいた企業は、オンプレでデータを管理している
    • クラウド化になって外に出たデータを自社のデータ資産と考えるか境界も重要



 CTC は、今後も CDEC を主催して企業間の情報交換を活性化させ、得られた知見をお客様に積極的すると共に、CTCのサービスや他のクラウド事業者との連携などにフィードバックしていきます。

 本コミュニティにご興味を抱かれた方は、ぜひともCDECにご参加ください



 尚、「CDEC」の開催案内メルマガの登録方法のご説明及び、CDEC 2.0 の後編は下記よりご覧いただけます。


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ご意見・ご要望・ご感想をお聞かせくださいお寄せいただいたご意見を参考に、Webサイトの改善や情報発信に努めて参ります。





著者プロフィール

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瀬尾和徳
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社在籍中 | 1. 現在の担当業務 : データセンターサービス全般のマーケティング、販促活動、次世代データセンターサービスのビジネスモデル開発、CDEC事務局員 | 2. これまでの担当業務 : データセンターにおけるカスタマーサポートエンジニア、データセンターにおけるサービス推進企画業務 | 3. 趣味 : 映画鑑賞、子育て(双子育児奮闘中) | 4. 好物 : 肉(牛、豚、鶏)

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