VMware Cloud on AWSにVMware仮想マシンを移行してみた件

 彼女の名前は持上真移。部品メーカーの情報システム部門に勤務し、オンプレミス環境で動作する数百台のVMware仮想マシンの運用管理を担当している。



実践!クラウドリフト&シフト




 そのサーバーのリースアップを間近に控えたあるとき、彼女は次期システム基盤の導入プロジェクトを任された。

 そこで決断したのは「VMware Cloud on AWS」への移行だったという。


 本稿は、彼女が経験した VMware 仮想マシンの「リフト&シフト」回想録である。


 ※本稿はフィクションです。CTC と IT ソリューション以外、本編に登場する人物、会社はすべて架空のものです。 




▼ 目次
1. VMware仮想マシンが稼働するオンプレ環境がそろそろヤバイぞ
2. いっそのこと、システム基盤をクラウド環境へ引っ越してみようか
3. VMware Cloud on AWSとの「赤い糸で結ばれていた」的な出会い






1. VMware仮想マシンが稼働するオンプレ環境がそろそろヤバイぞ

 わたしはロケット部品を開発する中堅の部品メーカー「仮田製作所」の情報システム部で働いている。

 担当は社内システムのインフラ構築と運用管理だ。


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 普段の仕事は、社内のサーバールームに設置されているオンプレミス環境のハードウェアと、サーバー上で稼働する数百台のVMware仮想マシンを運用管理することだ。その作業はルーチンワークに近く、定期的に実施する業務時間外のメンテナンスを除けば、毎日が超多忙というわけではない。

 けれども、5年ごとにやってくるハードウェアリースアップに伴うシステム基盤の更改時期だけは違う。取引先ベンダーの協力がえられるとはいえ、日々の運用管理業務をこなしながら、次期システム基盤を選定・導入する作業はかなり大変だ。


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 とくに今回は、入社10年を超えて過去に2回のシステム更改を経験したわたしに、「次期システム基盤導入プロジェクト」のリーダーという大役が回ってきた。最初は過去の経験から、ハードウェアを単に新調すればいいと考えていた。そこでまず、取引先ベンダーに依頼して最新ハードウェアの見積りを取ってみることにした。

 すると、出てきた金額はどれも大きく予算オーバー。とても、会社の承認をもらえそうにない。取引先のベンダーを通じて値下げ交渉もしてみたが、予算内には収まらなかった。


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 となると、一部のハードウェアを延命させて、段階的に更新するしかないのだが、すでにシステム基盤のリソースは全体的に足りていない。このまま使い続けると突然業務が止まるというヤバイ事態が起きかねない。それに、延命させたハードウェアについても増強が必要で、トータルコストはさらに高くつくことになってしまう。

 もうお手上げか。そんなときに閃いたのが「クラウド」という選択肢だった。


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2. いっそのこと、システム基盤をクラウド環境へ引っ越してみようか

 これまでのシステム更改ではずっと、オンプレミス環境のハードウェアを入れ替えてきた。しかしすでに世の中は、クラウドの時代になっているじゃないか。それならば、いっそのことクラウド環境へ引っ越せばいい。プロジェクトでそれを提案すると、取引先ベンダーのメンバーも乗ってきた。


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 わたしは、クラウドへシフトするメリットを調べることにした。クラウドにすれば、ハードウェアを調達する必要がない。いつでも最新のシステム基盤を使い続けることができる。システムリソースが足りなくなっても、すぐに拡張・増強できる。何よりも、システム更改に必要な初期投資コストを大幅に抑えられる。

 オンプレミス環境のシステム基盤は、大半がVMware仮想マシン上にある。クラウドも基本的に仮想マシンなのだから、それほど苦労することなく簡単に引っ越しできるだろう。そう考えた上で、取引先ベンダーへ改めて提案を依頼した。


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 一週間後、取引先ベンダーから受け取った提案書を見て、わたしは驚いた。なんと、クラウドへ移行するには、VMware仮想マシン上の業務システムにも手を加える必要があるというのだ。聞くと、オンプレミス環境のVMwareもクラウドも、動いているのは仮想サーバーだが、ハイパーバイザーや仮想ディスクイメージの方式はそれぞれ違う。ツールを使えば移行できるが、細かい調整や設定変更も必要になり、一部はアプリケーションもいじらなくてはいけないそうなのだ。この時期に、業務システムをいっしょに改修するのは、かなりリスキーな話だ。


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 わたしの考えは甘かった。本当に手詰まりなのか。

 そう悩んでいると、よく相談にのってくれるパートナーの伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)から「いい提案がある」という話が来た。藁にもすがる思いで話を聞いてみることにした。


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3. VMware Cloud on AWSとの「赤い糸で結ばれていた」的な出会い

 CTCから聞いたのは、「VMware Cloud on AWS」を導入するという提案だった。なんでもクラウドベンダーのアマゾン ウェブ サービス(AWS)と仮想化インフラベンダーのVMwareが協力して開発した新しいサービスが始まったというのだ。

 早い話がAWS上でVMware仮想マシンをそのまま動かせるらしい。



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図 1. VMware Cloud on AWS 移行イメージ(詳しくは下記を参照)


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(VMware Cloud on AWS とは)




 オンプレミス環境のハードウェア更改を選択すると予算オーバー、クラウド環境への移行を選択するとシステム改修のリスク・・・そんな切羽詰まった状況の中、救世主が現れたのだ。もしかしてわたしとVMware Cloud on AWSは、赤い糸で結ばれていたのではないかと思うほど、それは運命的な出会いだった。


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 さっそくその提案に飛びついたわたしは、CTCのアドバイスにしたがって、比較的影響範囲が小さい、小規模なVMware仮想マシンを使ってトライアルを試してみた。移行ツールも問題ない。移行後の動作も問題ない。実にあっけなくクラウドシフトができてしまった。


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 これならば初期導入コストを予算内に収めながら、システム更改を実現できる。クラウドへ移行すれば、今後はハードウェアのリースアップに伴うシステム更改という5年ごとの仕事からも解放されることになる。取引先ベンダーからも、従来と同様のオペレーションでシステム監視業務をサポートできるというお墨付きをもらった。

 わたしは、この結果を会社に報告し、無事承認をもらうことができた。


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 尚、CTCからいただいた資料「VMware Cloud on AWSの紹介資料」には、本サービスのユースケースや構成概要、価格等がわかりやすく掲載されていた。下記からご覧いただけるので、参考としてほしい。


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3. あっという間に移行が終わった! 体験してわかった将来的なメリット

 会社から正式に次期システム基盤のクラウド利用が認められたあと、実際の移行作業は非常に早かった。取引先ベンダーとCTCが協力してくれたお陰もあり、わずか2カ月程度の作業期間で数百台ものVMware仮想マシンをクラウド環境へ移行することができた。


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 今回の次期システム基盤導入プロジェクトの役割は、これでお仕舞いだ。

 しかしわたしにはもっと重要な仕事が残っている。これから時間をかけて、システム基盤をクラウド環境へ本格的に移行を果たすという仕事だ。


 オンプレミス環境のVMware仮想マシンを、そのままクラウド環境へ移行できるVMware Cloud on AWSは、確かに素晴らしいサービスだ。とは言え、業務システムそのものはいずれ老朽化を迎え、全面的に改修しなくてはいけない時期が必ずやってくる。そのときには従来のようなモノリシックな業務システムではなく、小さい単位のモジュールに分割したマイクロサービスのクラウドネイティブな業務システムを構築することになるだろう。

 この取り組みは、オンプレミス環境から一足飛びにやれることではない。今回、既存のVMware仮想マシンをVMware Cloud on AWSへ持っていったことで、予算的にも時間的にも無理なく段階を踏みながら推進できるようになった。


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 VMware Cloud on AWSを利用するメリットは、単なる既存システムを“そのまま”クラウドに移行できることだけではないのだ。

 将来を見据えた新しいシステム基盤をデザインするための「初めの一歩」になったことこそが、わたしが感じた一番のメリットなのだ。

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