VMware vSANとは| 今、注目される理由を徹底解説!

 経済のデジタル化が進み、データ量が爆発的に増大する中で、ハイパーコンパージドインフラストラクチャ(以降HCI)市場が大きな成長を遂げています。

 HCIはSDS(Software Defined Storage―ソフトウェアでまとめて記憶装置として定義することで、ストレージリソースを効率的に管理)技術で各サーバに分散したローカルストレージをひとつの共有ストレージのようにみせるものです。

 本記事では、その核となるSDS技術でリーダーの位置に立つのがVMwareのVMware vSAN。HCI製品とVMware vSANの概要について解説してまいります。

▼ 目次
VMware vSANとは?
求められる効率的なストレージソリューション
大きく成長するハイパーコンバージドインフラ(HCI)
数あるSDS技術の中から、なぜVMware vSANが選ばれるのか





1. VMware vSANとは?

 今、VMware vSANが大きな注目を集めています。VMware vSANとは、複数台のESXiホストの内蔵ディスク(HDD/SSD)をネットワーク越しに束ね、1つの共有データストアを構成するVMカーネルのひとつの機能です。VMware ESXiサーバに内蔵ディスクを増設したり、ESXiサーバ自体を追加することで、簡単にデータストアを拡張することが可能です。


VMware vSAN

図 1. VMware vSANのイメージ図



 カーネルに組み込まれている機能なので、vSANを有効にする場合は、その他の事前設定が必要な部分はありますが、クラスタ設定画面で「vSAN をオンにする」にチェックを入れるだけで簡単に構成することができます。


VMware vSAN

図 2. VMware vSANを有効にする 
※構成やバージョンにより、手順や表示内容が異なる場合があります



 vSAN共有データストア自体はディスクの集合体で、 RAIDは構成されていません。そのため、RAIDレベルやストライプ構成など仮想マシンの可用性や性能は、vSAN ストレージポリシーを仮想マシンごとに適用するという手法で管理します。





2. 求められる効率的なストレージソリューション

 VMware vSANが注目されている背景には、経済のデジタル化によるデジタルデータの爆発的な増大があります。

 世界のデータ量は2013年には4.4ゼタ(10の21乗)バイトほどだったものが、2020年にはその10倍の程にまでにまで拡大するといわれています。増大するデータの大半は非構造化データで、例えばメールやオフィスドキュメント、写真、書籍、音楽などといった多くの人が日々利用するものから、システム管理に重要なシステムログやアクセスログなど自動生成されるものまで多岐に渡ります。これらのデータは増加が著しい一方で、更新頻度が低いという特徴もあります。そのため、データを蓄積するストレージシステムはスケーラビリティが極めて重要になります。

 ではストレージ市場はどのように変化しているのでしょうか。

 従来、ストレージの中心はSAN、NAS、DASの外付けストレージアレイで、市場の大半を占めていました。しかし、外付けストレージアレイの出荷台数は右肩下がりの傾向が見られ、2015年には前年比で初のマイナス成長を記録しています。それに変わって伸びているのがAmazonなどが展開しているクラウドストレージ、そして、ハイパーコンバージドインフラ(以下HCI)です。クラウドストレージの成長率は大きいのですが、HCIはそれをさらに上回ると見込まれています。

 このように、外付けストレージだけでなく、クラウドストレージ、HCIとストレージシステムが多様化する中で、データ量の増大に対処するために、今まで以上にデータを上手にハンドリングする効率的なストレージソリューションが求められています。





3. 大きく成長するハイパーコンバージドインフラ(HCI)

 最近注目を集めるようになっているHCIとは何なのでしょうか。

 従来の仮想化基盤では、サーバにハイパーバイザーを導入してサーバリソースの抽象化まではできましたが、ストレージは初期導入時から物理の共有ストレージを用意する必要がありました。そのためスモールスタートや、導入後の柔軟な構成変更ができませんでした。
 一方、HCIはx86サーバの内蔵ディスクを使って、SDS(Software Defined Storage) 技術で共有ストレージが構成された仮想化基盤です。各サーバに分散したローカルストレージをあたかもひとつの共有ストレージであるかのように見せます。そのため、サーバを用意するだけで、機能的には従来の仮想化基盤と同等、その上で、従来の仮想化基盤でできなかったスペースの削減やスモールスタートを実現します。


VMware vSAN

図 3. ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の概念図




 HCIはSDS技術を利用した、シンプルで小規模からスタート可能なスケールアウト型およびスケールアップ型のいずれも簡単に行えるプライベートクラウドソリューションです。その特長は以下の3つにまとめることができます。


3-1. スケールアウト

 最小2~3台からスタート可能で、最大32~64台まで拡張することができます。サーバを増やせばよいだけというスケールアウトアーキテクチャを採用しています。そのため、複雑な設計は不要で、現在の段階で必要な容量から導入し、足りなくなったら増設するという運用により、ムダな投資を防ぐことができます。



3-2. シンプル構成

 それぞれのサーバに搭載された内蔵ディスクをシステム全体で利用するため、これまで必要だった専用の外部ストレージが不要です。物理の共有ストレージが要らなくなったため、物理コンポーネント数を削減できます。これによって、スペースと消費電力を削減できます。また、故障個所が限定されるという点において、運用負荷の軽減につながります。


3-3. 簡易運用

 統合ユーザーインターフェイスからサーバだけでなくストレージも一元的に管理ができるようになるため、導入時や増設時の設定項目を削減することができます。
また、各サーバを順に停止/起動して更新を行うローリングアップデートに対応しているため、ハイパーバイザーや BIOS、ファームウェアのアップデート時にシステムを停止する必要はありません。同様に、サーバのメーカー保守終了(EOSL)に伴うサーバ入替時にも、削除・追加を繰り返すことでシステムを停止せずに入替を完了させることができます。





4. 数あるSDS技術の中から、なぜVMware vSANが選ばれるのか

 このように大きく盛り上がっているHCI市場ですが、ベンダーの動向はどうなっているのでしょうか。

 まずSDS技術を提供するベンダーは表1のようになりますが、その中で、VMware vSANだけが、Dell EMC、富士通、日立、Lenovoといった複数社においてそれぞれのハードウェアと組み合わせたアプライアンスとして提供されています。


表 1. SDS 技術提供ベンダーと HCI 提供ベンダー

VMware vSAN



 VMware vSANの利用モデルには、前述のvSANアプライアンスの他に、シスコ、Dell EMC、富士通、日立、HPE、HUAWEI、NEC、Lenovo、Supermicroなど主要大手サーバベンダー15社から提供されるvSAN ReadyNodeがあります。これは、VMware vSAN を各ハードウェアベンダーが構成を考えて検証を実施し、VMwareがリリースしているvSAN ReadyNodeプロファイルの定義を満たすことをハードウェアベンダーが保証しているvSAN構成です。このように、多数のハードウェアベンダーがvSANアプライアンスやvSAN ReadyNode を提供していることから、VMwareはSDS技術のリーダーの位置にいるといえるでしょう。

 いくつものSDS技術がありますが、なぜ VMwareがリーダーポジションに選ばれ、多くの企業に採用されるのでしょうか。

 VMware vSANはVMware vSphere向けに設計・最適化された非常にシンプルなハイパーバイザー統合型ストレージで、その理由は次の3つにまとめることができます。




4-1. カーネルに組み込まれた機能であること

 VMware vSAN はカーネルに組み込まれた機能であるため、一般的なHCI製品のようにSDS用のコントローラVMを必要としません。一般的なHCI製品では、各ノード上に配置されたコントローラVMが I/Oを制御しますが、VMware vSANは VMware ESXiが認識するデバイスに直接アクセスするため、より物理に近いところで、I/O に影響を与えないようになっています。また、コントローラVM用の仮想マシンのリソースを確保する必要がないため、SDSによるサーバリソースの消費を最小限に抑えることができます。



4-2. 管理ツールが一体化していること

 サーバもストレージもVMware vCenter Serverという使い慣れたツールから一元管理するため、運用コストを削減することができます。



4-3. 豊富なシステム構成が選択可能なこと

 ハードウェアの自由度が高く、柔軟に構成を組むことができます。VMware vSAN認定構成を提供しているハードウェアベンダーは多数あるため、使い慣れたベンダーのサーバを利用することができます。また、サーバだけでなく、各種コンポーネントも VMware vSAN認定および VMware vSphere認定を受けているものから自由に組み上げることができます。新たに知識を習得しなくても、使い慣れたサーバとVMware vCenter Serverからストレージを構成できるというのは、VMware vSphereを利用されているお客様にとって非常に大きなポイントであると言えます。


VMware vSAN

図 4. vSANの3つの特長



 VMware vSANの構成パターンには手組み構成(フルカスタマイズ構成)からHCIアプライアンスまで豊富な選択肢があります。


VMware vSAN

図 5. VMware vSANの構成パターン




 vSANの導入手順や、最近増えてきているvSAN構成についての詳細については、下記よりご覧いただけます。

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