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SAP BASIS (SAP NetWeaver) 運用はアウトソーシングすべきか?
国内でもっとも多くのシェアを誇る定番のERPパッケージSAP ERP システム。SAP ERP システムの運用を検討する際、BASIS(SAP NetWeaver)の運用が議題にあがります。そもそも、BASISとは何か。BASISの運用業務の内容と、運用を任せる人財に求められるスキルセットについて簡単に解説します。
■ 目次
1. SAP BASIS とは?
2. SAP BASIS(ベーシス)の運用業務とは?
3. SAP BASIS 運用をアウトソーシングできるのか?
4. SAP BASIS 運用の委託先事業者の選び方
1. SAP BASISとは?
BASIS (ベーシス) とは、SAP R/3やSAP S/4HANAを稼働させる上で必要なミドルウェアコンポーネントです。・・・と端的に説明しても判り難いので、下図で説明します。

図 1. SAP ERP における BASIS の位置付け
SAP ERP システムの場合、一般的なアプリケーションとは異なり、OS上に「SAP BASIS」というミドルウェアコンポーネントをインストールします。SAP ERP は BASIS の上で稼働する構造になっています。BASIS は、SAP独自のプログラミング言語であるABAP(アバップ)やJava、Webサービスを実行・利用するためのランタイム機能を担います。
2. BASIS(ベーシス)の運用業務とは?
SAP ERP システムにおいては BASIS 層の運用業務が重要です。SAP BASIS の運用業務を大別すると下図の様な業務があります。

図 2. SAP BASIS 運用
2-1. 稼働管理
SAP アプリケーションの稼働監視業務、パフォーマンス監視やチューニング業務、リソースの監視業務
2-2. 運用管理
定常(日次・週次・年次)報告業務、バックアップ運用業務、ユーザー管理業務、SAPシステム管理業務、マイグレーション、アップグレード
2-3. 障害管理
障害切り分けから対応、予防保守業務
2-4. 変更管理
構成管理、リソース管理
上記に加え、SAP ERP システムに関するお問い合わせ対応や調査対応が含まれます。SAP ERP システムの運用管理者の負荷と運用コストを配慮すると、上記は大きな負担になります。また、BASIS 運用者に求められるスキルとしては、サーバや OS、データベースの経験が必要で、運用体制を整備は困難な場合があります。では、SAP BASIS 運用をアウトソーシングできないものでしょうか?
3. BASIS 運用はアウトソーシングできるのか?
結論、BASIS の運用はアウトソーシングが可能であると言えます。理由は、BASISの運用はアプリケーション層ではなく、OSやデータベースなどプラットフォーム層に依存し、BASISの運用は業種に左右されません。実際、多くの企業では、BASIS 運用をアウトソーシングする傾向にあります。では、SAP BASIS の運用をアウトソーシングした場合、運用コストの削減の他に得られるメリットには、どのようなことが挙げられるのでしょうか?
簡単に列挙すると、下記のようなメリットを期待できます。
- SAP 専門家による安心の BASIS 運用
- OSやデータベースのスキルを有する人財育成コストの削減
- 定型作業のアウトソーシングによる運用負荷の軽減
- 障害発生時における迅速な対応
- 運用・保守業務の属人化への解消
- 他
上記より BASIS はプラットフォーム層と密接な関係にあるため、SAP ERP に特化したクラウド (IaaS) サービスを提供する事業者が、SAP BASIS の運用サービスを提供できると理想的です。では、クラウド (IaaS) サービス提供事業者に BASIS 運用を委託する上で、事業者選定の際にどのような点に注意すべきなのでしょうか?
4. BASIS 運用の委託先事業者の選び方
BASIS 運用の委託先事業者を選定に失敗しないためには、BASIS の運用ができ SAP ERP に特化したクラウド (IaaS) を提供できるサービス事業者を選定すること望ましいといえます。加えて、クラウド (IaaS) 事業者が BASIS の運用サービスを提供しているか否かの確認だけでなく、以下の点を確認すべきです。
- 運用実績
- 運用体制 (要員数)、経験年数、利用企業の規模など、十分な実績があるか?
- 運用範囲
- SAP ERP システムの周辺システムの運用・保守にも対応できるか?
- 料金設定
- 運用業務がメニュー化されており、料金設定が明確であるか?