データとAIのフル活用の実現。どこから始めるべきか?

データとAIのフル活用の実現。どこから始めるべきか?

 データとAIをフル活用するための取り組みは米国中心に活発化しており、いわゆる伝統的な企業においても成功事例が増え始めています。この背景には技術革新が進み、専門的な知識がなくても社内の誰もが簡単にデータとAIをフル活用できることが容易となってきていることがあげられます。

 この時代の潮流はData Democratization(データの民主化)やAI Democratization(AIの民主化)と呼ばれ、ビジネス変革を推進する原動力として大きな期待を寄せているようです。

 連載コラム「データとAIの民主化シリーズ」第1回では、データとAIのフル活用でデータドリブン経営を実現した海外事例をご紹介し、第2回では国内企業がデータとAIの利活用を進める上で課題となりやすいポイントとそれを踏まえた進め方を明らかにしてまいりました。

 シリーズ第3回では、米国スターバックス社での取り組みを例として取り上げながら「まずはどこから始めるか」その具体的なイメージをデータブリックス・ジャパン株式会社パートナー・ソリューション・アーキテクトの竹下 俊一郎氏がわかりやすく読み解いてまいります。

 

データとAIのフル活用の実現。どこから始めるべきか?



▼ 目次
1.米国スターバックスが需要予測の精緻化において直面していた課題
2.米国スターバックス社が目指したこと
3.きめ細やかな分析でビジネス効果を上げる
4.まずは基盤のモダン化そしてAI Readyに
5.マイグレーションプログラムとその成果



1.米国スターバックスが需要予測の精緻化において直面していた課題

 前回(連載コラム「データとAIの民主化シリーズ」第2回)では、シンプルな基盤と人材育成の重要性についてお話ししました。第3回目となる今回は、今でこそ様々なシーンでデータとAIをフル活用している米国スターバックス社の辿ってきた道をご紹介したいと思います。



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図1:米国スターバックス社では今では様々なシーンでデータとAIをフル活用
引用:データブリックス・ジャパン株式会社



 米国スターバックス社は本国に3万店舗を展開しています。従来は地域ごとに大雑把な需要予測を月次で行っていました。一方で販売チャネルの多様化や顧客ニーズの多様化に伴い一層、需要予測と実際の需要との乖離が大きくなり無視できない状況になってきました。これは単にお客様に良い物を、良い時に、良い場所でお届けできないのみならず、背後にあるサプライチェーンの最適化もできず、在庫余りや食品ロスも大きくなっていました。



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図2:顧客消費体験・サプライチェーン・食品ロスに悪影響



 この背景により、需要予測を精緻化するプロジェクトが始まりました。しかし、直面した課題は山積みでした。その課題の幾つかを紹介します。

まずは、データ・ツール・管理でのサイロ化が大きな課題でした。従来はオンプレミスのデータウェアハウス(DWH)やHadoopを利用しており、需要予測に必要なデータを集約することに一苦労。そもそも土俵に立てない状態ですね。そして、緻密な需要予測を行うには、ピーク時には大きな計算リソースが必要です。オンプレミスでは簡単に計算リソースを増やすこともできません。そこでクラウド基盤にデータを集約することに決めました。



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図3:精緻な予測にはデータのサイロ化やオンプレ基盤の弾力性の無さが足かせに



 次に、直面した課題はより高度なものです。

 1つ目はリアルタイム性です。週次、日次での予測では折角分析した結果を今すぐに業務対応できないということです。例えば、天気やSNSなどのデータ、競合の動きを含めよりニアリアルでのデータ収集と予測が必要となりました。

 2つ目が高速な処理です。上記のあらたなデータを含めてデータ量は増え続けるばかりです。集計データではなく、店舗単位・SKU単位(Stock Keeping Unit:受発注や在庫管理を行う時の、最小の管理単位)のデータを処理する必要があります。その計算リソースを確保する上でもクラウド移行は必須となりました。

 3つ目は精緻な予測です。従前は非常に大雑把にいうと全米予測で機械学習モデルを1個つくれば良かったとのことです。しかし、精緻に見積もるには、3万店舗 × 4千SKU分の機械学習モデルの作成が必要となりました。同じくそれだけのモデルを作り、予測を実行する計算量も必要です。また、機械学習モデルは予測精度も落ちていくため、その精度の監視も必要です。(今回は説明を省きますが、MLFLOWという機械学習(Machine Learning)モデルのライフサイクル管理のためのOSSが機能として利用できます(こちらをクリック))



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図4:精緻な予測にはリアル性・高速な処理・機械学習モデルの管理が必要



 このように、いわゆるデータサイロのようなプラットフォームとしての課題から、リアルタイム性・機械学習の管理などの応用的な課題を一気に課題を解決しなくてはならなかったのが米国スターバックス社が抱えていた課題です。

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2.米国スターバックス社が目指したこと

 とはいえ、これらの課題を解決せずに、どんぶり勘定で進めて良いかというと、そうではありません。勘・経験・度胸(KKD)から脱却するステップは幾つかあります。その一例を下記に記します。

  • Step 0:勘・経験・度胸(KKD)に基づき業務を行う
  • Step 1:現況データを可視化しKPIを観測する
  • Step 2:統計的な手法を用いて因果関係を探る
  • Step 3:機械学習を利用して意思決定の自動化へ



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図5:勘・経験・度胸(KKD)からの脱却



 さて、米国スターバックス社はどこを目指したのでしょうか?

 ここまで、読んで頂いた方は想像できると思いますが、クラウドDWHで実現可能なのは Step1 までです。しかし現状可視化を行なっているだけですのでビジネス的なリターンは非常に限定的です。

 そうです、米国スターバックス社はデータブリックス レイクハウスを採用することで一気に Step 4 まで駆け上がりました。

  • 現状のデータを集約し、現在を可視化する
  • 米国全体から店舗単位・SKU単位にデータを解析する
  • リアルタイムに天気やSNSのデータも連携しデータを解析する
  • 店舗単位・SKU単位の緻密な機械学習モデルを作成し精緻な予測を行う
  • 自動発注など機械学習モデル予測に従い業務を精緻化する
  • 機械学習モデルの精度を監視し必要に応じて改善する



3.きめ細やかな分析でビジネス効果を上げる

 このような背景を基に、米国スターバックス社は、従前のアーキテクチャから、データブリックス レイクハウスに移行を行い、きめ細やかな分析を実行できるように舵を切りました。現在ではきめ細やかな需要予測のみならず、在庫管理の最適化レコメンデーションエンジンなど多様なユースケースを実現しております。短期的には「生産性30%向上」「数十億円コスト減」を実現できたと聞いております。その効果は更に大きくなっていると容易に想像可能です。



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図6:モダンなアーキテクチャでビジネス効果を上げる
引用:データブリックス・ジャパン株式会社



 店舗毎、SKU毎の詳細な需要予測モデルを作成や、地域特性、季節性(天候)、イベント、消費者動向などのデータをリアルタイムに取り込み、AI分析を行えるようになったことが成功のポイントでした。それを実現できたのがレイクハウスです。



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図7:精緻な予測のため従来の1700倍の計算が必要だった



4.まずは基盤のモダン化そしてAI Readyに

 その結果、どのようなビジネス成果が実現されたのか幾つかご紹介したいと思います。
今後データとAIのプロジェクトを進める上で少しでもご参考になれば幸いです。



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図8:データとAIプロジェクトのビジネス的な成果



  1.  データとAIの民主化  分析者が約10名から数百名に拡大:データの統合、全社員がベースラインとする予測データ参照を含め分析者が大きく増えた
    ○ タイムリーにデータを利用、チーム間でコラボ
    ○ 機械学習ライフサイクルの標準化
    ○ 分析者の生産性が30%向上(十数億円相当)
    ○ ユースケース実装が6ヶ月から4週間に

  2.  デジタル化促進  精緻な需要予測と自動発注:日次でSKU単位の予測、3万店舗の個別予測により売上げ向上とコスト削減で成果が出た
    ○ 予測高度化により、二桁%精度向上(十数億円相当)

  3.  リスク回避  従来はDWHやデータレイク構築に失敗していた:データブリックス専門家の支援によりDX遅延リスクを回避
    ○ 競合よりDX遅延リスクを回避(数億円/年相当)
    ○ データレイク構築の失敗リスクを回避(数億円/年相当)

  4.  コスト削減  基盤のモダン化でコスト削減:データブリックス レイクハウスはストレージとコンピューティングを分離した自動スケールアウト/ダウン基盤を提供
    ○ 既存レガシーシステムのダウンサイジング(数億円/年相当)
    ○ マネージドサービス化で 30名の運用管理体制を縮小(数億円/年相当)

  5.  モダンな基盤  従来の基盤では不可能であったユースケースも実現
    ○ SLAに準拠したクリーンで信頼できるデータへの迅速なアクセス
    ○ リアルタイム対応
    ○ 非構造化データ対応

 レイクハウスこそが次世代のベストなデータウェアハウスと言われる所以がここにあります。BI+AIの世界をすぐに実現する AI Ready の状態になるだけでなく、「データとAIの民主化」「デジタル化促進」「リスク回避」「コスト削減」「モダンな基盤」への対応が進むということです。



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図9:次世代における最良のデータウェアハウスはレイクハウス



 無料トライアルもありますので、是非お試しください。また、完全な従量課金であり初期構築費用もゼロということも頭の片隅にいれて頂けますと幸甚です。



5.マイグレーションプログラムとその成果

 最後にレイクハウスへのマイグレーションプログラムについてご紹介させてください。
米国スターバックス社と同様に、各種データウェアハウスやデータレイクからデータブリックス レイクハウスにモダン化マイグレーションを行なった事例は枚挙にいとまがございません。



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図10:レイクハウスに移行して成功した事例
引用:データブリックス・ジャパン株式会社



 そして、データブリックス社ではその移行を支援するサービスを作成しております。ご興味ある方は是非お問い合わせ(本記事の最下部に記載)ください。



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図11:レイクハウスへの移行サービス



 3回にわたる連載コラム「データとAIの民主化シリーズ」は以上となります。

 ここまで読んで頂いた方に感謝申し上げます。

 みなさまのデータとAIにおける成功を切に願っています。

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