Microsoft 365などのクラウドが遅い理由とは|クラウド化が招くネットワーク問題を解決する

Microsoft 365などのクラウドが遅い理由とは|クラウド化が招くネットワーク問題を解決する

 Microsoft 365をはじめとするクラウドサービスの利用やテレワークが一般化した近年では、インターネットゲートウェイへのトラフィックが集中し、企業ネットワークの帯域不足や遅延の問題が深刻化している。

 このネットワークの問題を解決する対策として注目が高まるソリューションがSD-WAN だ。

 そこで本記事では、クラウドトラフィックの増大に伴うネットワークの課題に悩まれている情報システム担当者に向けて、クラウドの普及が招くネットワークの課題とSD-WANによる解決方法、及び、SD-WANの導入や運用課題を解決する方法について解説する。




▼ 目次
クラウドの普及によってネットワークの課題が顕在化
課題の原因は「ハブ&スポーク型のWAN 構成」
ネットワークの課題を解消するSD-WANの主要技術
SD-WANの導入・運用課題を解決する方法





1. クラウドの普及によってネットワークの課題が顕在化

 総務省の「情報通信白書(令和2年版)」によると、クラウドを利用する企業は64.7%に達している。


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図 1. クラウドサービスの利用状況
(出典. 総務省「通信利用動向調査」)




 さらにクラウド導入で「効果があった」という回答も85.5%に上る。


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図 2. クラウドサービスの効果
(出典. 総務省「通信利用動向調査」)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html




 企業におけるクラウドの利用が一般化した今、クラウドは業務に欠かせない重要なインフラといえるだろう。日本政府もIT 調達において「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げるなど、クラウドを前提としたシステム構築やサービスの展開が加速している状況だ。

 クラウドはファイル保管やデータ共有などをはじめ、さまざまな業務で利用されている。「Microsoft 365(旧Office365)」や「Google Workspaces( 旧G Suite)」などの SaaS を中心に利用が進み、さらに複数のクラウドを適材適所で使い分けるユーザーも増えてきた。

 だが、クラウドが普及する中で新しい課題も出てきた。

 特に近年は、テレワークが一般化したことでネットワークに起因するユーザークレームが顕著に目立つようになってきた。

  • Microsoft 365やGoogle Workspaceがネットワークの障害によって利用できない
  • OneDriveやGoogle Driveからのファイルのダウンロードが遅い
  • VPN 接続で利用している業務システムのレスポンスが遅い




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2. 課題の原因は「ハブ&スポーク型のWAN 構成」

 ネットワークの遅延や障害はなぜ起こるのか。

 その要因の主は、多くの企業が採用している「ハブ&スポーク型」のWAN 構成にある。

 つまり、ハブとなるデータセンターから各拠点にスポークを伸ばすようにネットワークを構成し、拠点からのインターネット通信は、データセンター内のプロキシサーバーを経由させて行うというものだ。

 この場合、すべてのインターネットトラフィックが閉域網を経由してデータセンターに流れるため、通信量が大きくなると閉域網の回線が逼迫し、通信速度の低下を招いてしまう。


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図 3. 多くの企業が採用している「ハブ&スポーク型」のWAN 構成




 近年はSaaSをはじめとするクラウドの利用が広がったことで、特にトラフィックは急増している。

 テレワークによってVDI、Web 会議、ファイル転送、チャットなどの利用が増えることでネットワークの遅延や障害が頻発するようになったわけだ。

 こうした課題を解消する技術としてSD-WAN(Software Defined WAN)の注目度が高まっている。

 SD-WANとは、インターネット上で仮想的なWAN を構築してルーター(エッジ)を一元管理し、WANトラフィックを制御する技術だ。


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図 4. SD-WANによってSaaS向け通信を制御






3. ネットワークの課題を解消するSD-WANのメリット

 なぜ、SD-WAN はネットワークの課題を解消できるのか。その訳は SD-WANの主要技術のメリットにある。




3-1. インターネット(ローカル)ブレイクアウト

 インターネット(ローカル)ブレイクアウトとは、特定のアプリケーションのみを各拠点から直接インターネットへ接続させる技術だ。

 メリットはデータセンターのトラフィック集中を回避し、ボトルネックの発生を防止できる。



3-2. リンクステアリング

 リンクステアリングとは、異なる通信キャリア、異なる通信帯域のインターネット回線を束ねて、1 つの大容量WAN 回線のように扱う技術だ。

 メリットは安価なベストエフォート回線を束ねて利用することにより、年々増加する回線コストを軽減できる。



3-3. 通信の最適化

 通信の最適化とは、WAN 回線をチェックして品質劣化を検知した際に、通信エラーを補正したりパケットが流れる回線を切り替えたりする技術だ。

 メリットは、この技術によって安価なインターネット回線でも十分な品質を確保できる。



3-4. 通信の可視化

 SD-WANにはアプリケーションごとのトラフィックを識別して視覚化する「通信の可視化」機能が備わっている。

 このため、社内で許可していないアプリケーションの利用を検知するなど、IT ガバナンス強化といったセキュリティ面にも活用できるメリットがある。


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図 5. SD-WANの主要技術






4. SD-WANの導入・運用課題を解決する方法

 魅力的な SD-WAN ではあるが、実のところ課題もある。


 SD-WANは新しい技術であるために情報が少なく、導入から運用をまわすには相応のスキルが必要となるのだ。

  • SD-WANの導入面の課題
    • SD-WANの導入は、各拠点においてSD-WANルータの設置と設定作業が発生する
  • SD-WANの運用面の課題
    • 拠点SD-WANルーターの運用管理とメンテナンス(設定変更、バージョンアップ対応)
    • 稼働監視




 SD-WANを導入した企業が直面している具体的な運用課題については以下よりご覧いただくことができる。



CTCマネージドSD-WANサービス





 そこで、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)はSD-WANの導入や運用の課題を解消する手段として「CTC マネージドSD-WAN サービス」を提供している。

 同サービスは、SD-WANの導入から運用までをワンストップで支援するもので、以下の特徴がある。

  • CTCマネージドSD-WANサービスによる、SD-WANの導入の特徴
    • CTCが拠点SD-WANルーターを用意
    • お客様自身で新規に資産を購入する必要がない
  • CTCマネージドSD-WANサービスの運用面の特徴
    • CTCが拠点SD-WANルーターの設定変更やバージョンアップ、パッチ適用、バージョンアップ作業を対応する
    • 拠点SD-WANルーターが故障した際は、CTCが24時間365日体制でオンサイトでの筐体交換を行う
    • ユーザーが利用するアプリケーションに応じて最適な通信を実現し、快適なネットワーク環境をユーザーに提供できるようになる



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 本サービスは、SD-WANのマネージドサービスとして提供されるため、繁忙な管理者にとっても利便性が高く、クラウドやテレワークの普及で顕著になるネットワークの課題への有効な解決策になるだろう。

 クラウドのトラフィックやリモートアクセスのトラフィックの増加に伴うネットワークの課題に悩まれている方は、ビジネスが遅延する前に以下より「CTCマネージドSD-WANサービス」をご覧いただきたい。


CTCマネージドSD-WANサービス



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