ERP基幹システムは「作る」から「組み合わせる」時代へ|Fit to StandardでDX推進を加速

ERP基幹システムは「作る」から「組み合わせる」時代へ|Fit to StandardでDX推進を加速

 刻々と変わる不確実な社会と市場に追従するように、デジタル化の波が企業のさまざまな領域に押し寄せています。

 経営もデジタル化しつつあり、急速に進化するERP基幹システムによって、企業内に散在した経営データがリアルタイムに集約、機械学習によって分析/可視化され、ビジネスやサービスの拡張だけでなく、業務やワークスタイルが改善されるようになってきています。

 ERP 製品 の最大手である SAP 社の ERP は、S/4HANA という最新の ERP を発表して以降、ビジネスを支える強力な機能が頻繁に追加されるようになりました。市場の変化に即応する SAP ERP ユーザー企業は、この恩恵を受けるため、追加開発を行わず標準機能やベストプラクティスを最大限に活用し、ビジネス要件を短期間・低コストで実現して競争力を高めるという戦略を選択し始めています。

 これは近年多く見られる「Fit to Standard」と呼ばれる ERP の導入手法です。

 Fit to Standardとは、ERPのパッケージに備わっている標準機能をフル活用する手法です。従来の導入の際は、業務要件にERPの機能が合致するか否かを評価する「Fit & Gap」という考え方が主流でしたが、市場への即応スピードを追求する企業では、提供機能に業務が合わせられるかを評価する「Fit to Standard」へと考えがシフトしようとしています。

 標準で提供されている業務範囲は標準の機能で実現する。標準で提供されていない業務範囲は SaaS や他のパッケージをジグソーパズルのように組み合わせて実現する。このスタンスを基本として、発生する課題や不都合も、なるべく開発に頼らずにノーコード /ローコードの技術を取り入れて、いち早く ERP 基幹システムの活用を開始することこそが、市場や顧客ニーズに追従して競争力を高める上で重要であると考えられているのです。

 とはいえ、Fit to Standardだけでうまくいくのか疑問を抱いている企業も少なくありません。

 そこで本連載では「ERP基幹システムは「作る」から「組み合わせる」時代へ。Fit to StandardでDXを加速」と題し、今後のERP基幹系システムはどうあるべきかについて解説します。


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▼ 目次
・第1回. Fit to Standardを実現させるために必要となる考え方
・第2回. DX時代の基幹システム(SoR)に求められるアーキテクチャとは|SaaS・PaaS・iPaaSの活用
・第3回. Fit to Standardのデメリットを排除|定着化と保守運用まで考えた導入の実践
・第4回. 企業のDX化成功のポイント|なぜいま標準導入(Fit to Standard)なのか?
・第5回.「DX時代の基幹システム」は経営の道具ではなく経営の基盤に|ERP基幹システム構成の全体像
・第6回. マルチクラウド・ハイブリッドクラウド時代に求められる基幹システムの監視運用
・第7回. SAP ERPのDXとABAPモダナイズ|レガシーシステムの最大問題点は、レガシーコード
・第8回. ABAPでSAP ERPシステムを構築する際の考慮点とは
・第9回. DX時代のERPシステムは、Fit to Standardによる導入が成功の要!









1. Fit to Standardを実現させるために必要となる考え方

 本題への導入とし、市場の変化に迅速に追従できるERP基幹システムをデザインするうえで、必要となる考え方について解説します。


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2. DX時代の基幹システム(SoR)に求められるアーキテクチャとは|SaaS・PaaS・iPaaSの活用

 DX時代の基幹システム(SoR)を支える技術要素の全体像、アーキテクチャに焦点を当てます。非常に多岐にわたる要素に触れる必要があるため、今回のブログでは、基礎的な用語整理とポイントとなる3つの要素の確認、そしてポイントの1つ目としてSaaS・PaaS・iPaaSの活用について解説します。


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3. Fit to Standardのデメリットを排除|定着化と保守運用まで考えた導入の実践

 DX時代の基幹システム(SoR)を支えるアーキテクチャのポイントとなる3つの要素の内の2つ、「定着化」と「運用の負荷低減」について解説します。



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4. 企業のDX化成功のポイント|なぜいま標準導入(Fit to Standard)なのか?

 ERPパッケージの標準導入に関する「きれいな理想」と「窮屈な現実」について、ERPパッケージ世界最大の利用者数であるSAP社のERP導入支援経験を豊富にもち、SAP社での勤務経験、コンサルティング会社での豊富な導入経験を有する専門家に解説いただきます。



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5. 「DX時代の基幹システム」は経営の道具ではなく経営の基盤に|ERP基幹システム構成の全体像

 DX時代の基幹システムを様々な製品・サービスの組み合わせで実現する際のポイントの総括として、具体的なシステムアーキテクチャを示しながら、アーキテクチャが何を実現するのかについて解説します。



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6. マルチクラウド・ハイブリッドクラウド時代に求められる基幹システムの監視運用

 基幹システムにおいて切っても切れない「監視運用」。時代に変化に伴い、監視運用の考え方についても刷新する必要があります。本記事では、DX時代の監視運用について解説します。



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7. SAP ERPのDXとABAPモダナイズ|レガシーシステムの最大問題点はレガシーコード

 SAPを中心としたシステムを構築する際、避けて通れない技術要素である「ABAP」ですが、この扱いは時に難しくもあります。標準導入(=Fit to Standard)の文脈からは、ない方が望ましく、一方、既存資産(システム&人的)の利活用の観点からは魅力的であるだけでなく、しっかり理解したうえで使った方が良い場面も存在します。

 そこで、ABAPが「アリかナシか」ではなく、下記について解説します。

  • DXに向けて必要となるABAPをめぐる検討事項
  • その際、役立つ技術的ナレッジ について



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8. ABAPでSAP ERPシステムを構築する際の考慮点とは

 Fit to Standard(標準導入)の観点からは「ない方が好ましいABAP」ですが、実際には活用が必要になる場面も生じます。

 そこで、ABAP が「アリかナシか」ではなく、「ABAP」の技術的要素に踏み込み、システム構築をする中でABAPを活用する際、DXに向けて必要となる検討事項と、その際に役立つナレッジを解説します。



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9. DX時代のERPシステムは、Fit to Standardによる導入が成功の要!

 ERP導入もFit to Standardのアプローチにより、足りない部分の追加開発をどう実現するかが、重要なポイントとなります。

 また、こうした「足りない、足らない機能」をクラウドネイティブ技術や、ローコード・ノーコード開発で対応してくれるサービスがあるのかも一緒にみていきたいと思います。



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