正しいクラウド選定の3ステップ
~難航するIaaS選定のちょっとした工夫と考え方~

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クラウド・コンピューティングにおける事業者間の競争が激しくなるにつれ、機能面での差異が少なくなり、契約や料金体系の比較も複雑になってきている。ユーザー企業が事業者を選定する際には、どのような順序で検討し、何に着目すればよいのだろうか。

 

■最適なクラウド事業者選定は難しい

クラウド・コンピューティングに対する過度な期待が落ち着き、確実なビジネス貢献が求められるようになった。それに伴い、基幹系システムのような業務要求の厳しいシステムをクラウド環境で稼働させ、柔軟性とコスト最適化を図るという活用が増えてきている。そして、その厳しい業務要求に応えられるよう、クラウド・サービスも発展してきた。

業界リーダーであるAmazon Web Services(AWS)が市場を牽引する一方、マイクロソフト(Azure)、IBM(Softlayer)、Google(Google Computing Engine)がAWSを追従する構図が続いている。国内に目を向けると、多数のクラウド事業者がしのぎを削ってきた。NTTコミュニケーションズ、富士通、NEC、IIJ、IDCフロンティア、GMOクラウド、そしてCTCといった企業が競争を繰り広げている。ユーザー企業から見れば、競争激化による性能向上や価格低減は歓迎すべきことであるが、一方で、クラウド事業者選定がより困難に感じるケースもあるだろう。クラウド化はどのように検討を進めればよいのだろうか。

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■ステップ1:MustとWantを明確にし、要求事項の優先順位を決定する

企業のIT担当者は比較表を作成し、クラウド事業者の選定を進める場合が多い。しかし、項目が多くなり過ぎると、どこに着目してよいか分からなくなり、決め手に欠ける結果に陥る。自社にとって最も重要な要素は何であるか、あらかじめ優先順位を決めてから比較表を作成すると、効率的に事業者選定が進む。

クラウド事業者同士で機能を比較すると、絶対的な差が少なく、優劣がつけにくい場合が多い。自社にとって絶対に必須なMustの項目と、ある程度満たされていれば問題ないと言えるWantの項目を明確にするのが重要だ。また、要求事項が明確になってからコスト比較を行う手順が推奨される。クラウド・サービスの料金体系は複雑であり、見積もりが難しいため、自社の要求に合致する事業者に絞ってから、コストの詳細調査を行うのが効率的だ。

クラウド化を検討するにあたり、絶対に必要なMust項目になりやすいのは、クラウド事業者でなければ対応できない部分だ。例えば、自社に以下のような要件があれば、真っ先にサービスの絞り込みが行える。

  • 海外拠点を設け、グローバルにシステムを展開したい。
  • 国内で災害復旧(ディザスターリカバリ―)対策をとりたい。
  • 現地実査を伴う認証・監査に対応したい。
  • 複数のクラウド環境を連携させたい。
  • キャンペーンによる時間単位でのアクセス増加に合わせた柔軟性を確保したい。

また、ある程度の要件を満足できればよいWantの項目は、主にクラウド環境の契約後や構築後にも対応できる要素が入ってくる。

  • ミドルウェア
  • データウェアハウス
  • 移行ツール
  • セキュリティ
  • バックアップ
  • 監視
  • テンプレート

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