製造業の営業部門におけるタブレット導入事例4選

タブレット活用のビジネスモデル・キャンバス分析

タブレットを使うと営業力が上がるのか?商品紹介が欠かせない製造業の商談にタブレットは効果があるのか?膨大なカタログを電子化し、マルチメディアを活用した営業活動を開始した複数企業の事例から、タブレット導入によって得られた効果や今後の展望を読み解く。

はじめに

タブレットは営業部門からの期待が大きい。社外からのアクセス、高い携帯性、短い起動時間、魅力的なプレゼンテーションといったタブレットの価値を発揮しやすいからだ。さらに製造業においてはタブレット導入が進んでいるという。製造業は取り扱う商品が多いため、紙のカタログを電子化できるメリットが大きい。また、実物を持ち運ぶことが難しい場合には、画像や動画を組み合わせて営業活動を行うと提案力が増す。本記事では、実際にタブレットを導入して効果を上げた企業を紹介する。

■マルチメディアを使って提案力を向上

A社はシャッターやドアで業界を牽引する建材メーカーだ。同社は「取扱品目の多品種化」を営業戦略として掲げ、取り扱う建築用建材商品は200を超える。主力製品のシャッターで訴求するべき要素は動作速度や動作音であるが、従来の紙のカタログで伝えるのは困難であった。そこで、提案力の向上を目指し、全国1400名の営業担当者にiPadを配布した。同時に、全製品カタログや図面・動画を社内システムに集約し、短い商談の間であっても、タブレットからマルチメディア再生を行って、商品の魅力を最大限に伝えられるようになった。200を超える商品について紙のカタログを持ち運ぶことは物理的に難しかったが、タブレットと電子カタログの整備によって、いつでもどの商品でも提案できるようになったのだ。営業部門の提案力強化で成功体験を得たA社は、設計・施工といった他部門へのタブレット展開も検討している。導入の効果が出やすい営業部門は、タブレットによる全社的な業務改革の試金石となるのだ。

タブレット活用のビジネスモデル・キャンバス分析

タブレット活用のビジネスモデル・キャンバス分析

■生産性向上に貢献

B社は業務用の冷蔵庫・冷凍庫やショーケースを製造する企業で、ITを用いた業務効率化を積極的に進めている。出張の多い営業員と客先で作業を行うサービススタッフの課題として、モバイル通信を行う手段がないために社内業務にタイムリーに対応できなかったり、重いノートパソコンの持ち運びに不便を感じたりする状況が認識されていた。そこで、B社はタブレットと共にモバイル通信環境の導入を決定した。社内システムがWindowsを前提にしていたため、端末としてWindowsを採用し、200台弱のWindowsタブレットを営業部門の管理職を中心に配布している。タブレットの生産性への貢献は大きく、承認や決裁がすぐに行われるようになったという。現場で修理作業が発生した際にも、タブレットを携帯した営業員とサービススタッフが連携し、修理対応から付加価値の高い新製品の提案へつなげた成功例もあった。今後は営業員とサービススタッフに限らず、外出の機会が多い社員全てでPCからWindowsタブレットへの置き換えを計画している。タブレットの適材適所の活用が生産性の向上を可能にしたのだ。

■1万点の商材について最新カタログを搭載

C社は計測機器や医療機器の製造を行う精密機器メーカーであり、世界的に販売・サービス拠点を拡げてきた。消耗品の直販や販売代理店のサポートを行う中国の販売会社では、営業活動でiPadを使用している。先進的なプレゼンによる顧客の興味を惹くのはもちろん、最新データでの営業活動がタブレットの導入の決め手になった。新製品導入だけではなく、食品衛生法の改定などの外的要因でもカタログを最新化しなければならない状況が多々あるが、約1万点の商材を掲載する営業用カタログを最新に保ち、それを各営業員に配布するのは困難を極める。タブレットとコンテンツの集中管理によって、更新漏れが発生しなくなったのだ。タブレット導入に際しては、その見栄えだけではなく、その端末で表示されるコンテンツにも目を向けると、導入効果がより大きくなる。

■プレゼン専用デバイスとして活用

D社は自動車・家電・スマートフォン等で使用される先進素材の研究・開発・製造で業界をリードする企業である。テクニカルサービスと呼ばれる手法を取り入れ、顧客企業となるメーカーとの対話を重視しながら新規材料や加工法を提案していく。専門性の高いエンジニア同士の商談になるため、技術データの分析や素材加工の手順を提示するのは必須の要件になっていた。そこで、営業員のパソコン置き換えではなく、技術資料や動画を表示する専用デバイスとしてiPadを導入することを決定した。iPadが選択された理由としては、世界12か国21か所に営業所を持つD社において、同じスペックの製品を揃えてセキュリティ対策を徹底するという要件をよく満たした点が挙げられている。タブレット導入によって、写真や動画によって顧客への提案力が高まり、また、営業資料の準備時間が平均10分以上短縮されたという成果が得られた。また、いつ・誰が・何を表示したかというログを取得し、提案に使用されていないコンテンツを特定し、その原因を分析するという取り組みを進めており、タブレットによる提案活動の高度化が期待されている。個人任せではなく、定量的なアプローチで組織的にタブレットを活用する試みは他社にも参考にできる部分が大きいだろう。

まとめ

タブレットの導入は、マルチメディアの活用やリアルタイムの情報共有によって、生産性や営業力の向上に寄与する。集中的なコンテンツ管理と、ログを用いたコンテンツ効果測定を活用し、タブレットの組織的な展開が期待されている。

 著:ビジネス on IT運営事務局、タブレット班

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