タブレットの業務活用:定着の秘訣  ~ 机の引き出しにiPadやアンドロイドタブレットをしまったままにしていませんか? ~

タブレット定着の秘訣

タブレットを導入してもインターネット閲覧にしか使われないケースはないだろうか。机の引き出しにしまったままではタブレット導入の意味がない。組織にタブレットを定着させる秘訣を紹介する。

■自由なタブレット使用を促す「COPE」

タブレットの業務利用は、端末を配布して完了するわけではない。業務部門でタブレットが活用され、実務に効果をもたらしてこそ、タブレットの価値が発揮される。タブレットが業務に定着するには、いくつかの難関がある。「何に使ってよいのか分からず、ブラウザしか開いていない」「セキュリティ・ポリシーが厳しすぎて、使いたい時に使えない」といった導入後の課題が情報システム部に届くケースもあるだろう。タブレットの業務利用を定着させるには、どのような検討や工夫を行えばよいのだろうか。

タブレットの活用を進めるには、とにかく“使ってもらう”のが大切だ。社員が自由にタブレットを触れるようにして、様々な機能に接触する機会を増やせば、タブレットをどのように業務に活用すればよいか、自ずと見えてくる。“部署に一台”タブレットを配布する方針が機能しない理由がここにある。社員がタブレットに接触する機会が少ないため、タブレットの強みに気付くチャンスがないのだ。

会社が所有する端末を社員が自由に使用できる方針は「COPE(Company Owned, Personally Enabled)」と呼ばれる。従来は、個人所有の端末を業務使用することを認める「BYOD(Bring Your Own Device)」が注目されていたが、セキュリティ管理の煩雑さなどから敬遠されるケースも見受けられた。COPEであれば、セキュリティ設定や必須アプリのインストールなどは会社が一律で行えるため、BYODで見られたリスクを軽減できる。会社が定めた初期設定に加えて、個人が必要なアプリを適宜導入する方法をとるため、利用者にとっての利便性が高いのが特徴だ。

タブレットのセキュリティ設定には、PCと同じ水準を求めてはならない場合がある。例えば、PCにおいては、ロック画面になるまでの待機時間やパスワードの複雑さに対して厳しい要件を設定している企業が多いだろう。タブレットで同様の設定をすると、起動時の手間が増えてしまい、タブレットの強みである起動時間の早さが活かせなくなる。情報漏えいが怖いからといってデータ保存を完全に禁止してしまうと、オフライン時に役に立たないタブレットになってしまう。紛失時の運用など、絶対に守るべき運用は明らかにした上で、タブレット固有のセキュリティ・ポリシーを選択するのが、タブレット利用を促進する秘訣と言える。

タブレット定着の秘訣

タブレット定着の秘訣

 

■タブレット利用を啓蒙する“エバンジェリスト”

タブレット活用を定着させるには継続的な取り組みが求められる。社員の認識を改めさせ、タブレットを利用するのが良いことであると理解させなければならない。新しい技術や文化を根付かせる手法としては「エバンジェリスト」の任命が有効だ。エバンジェリストとは“伝道師”を意味し、布教の役割を担ったキリスト教徒に由来する。同様に、タブレットの使い方や活用方法を普及させるため「社内エバンジェリスト」を選び、社員同士でのノウハウの共有に一役買ってもらうのだ。

タブレットを導入した小売や金融業界の企業では、実際に社内エバンジェリストを導入している。タブレットに興味のある社員に自薦で応募させて、エバンジェリストを選定する。積極的に活動するエバンジェリストは社内で評判になるため、周囲の社員が触発され、タブレット利用が活発化される。また、社員同士のカジュアルな情報交換によって、ITリテラシーの低い社員に利用が拡がる期待も高まる。タブレットが定着しない理由として、“電源を入れる”や“パスワードを変える”といった初歩的な使用方法が理解されないケースが報告されている。エバンジェリストが彼らを支援すると、組織としてのタブレット利用が広まっていくだろう。

エバンジェリスト自身を支援する取り組みも必要になる。エバンジェリストからの自発的な情報発信を促すために、社内ブログを整備する等の方法が考えられる。その業界や企業に特有の要件に合致したアプリや設定方法を紹介するようエバンジェリストに促せば、「どのように使ったらよいか分からない」という社員の声も少なくなるだろう。優秀なエバンジェリストには社内表彰を行うと、社内でのブランド認知向上だけでなく、啓蒙活動のモチベーション向上につながる。

■効果の見える化を促すPDCA分析

PDCA (Plan、Do、Check、Action) 分析は、状況を可視化し改善を促す手段として広く利用されており、タブレット活用においても例外ではない。まず、計画(Plan)の段階ではタブレット利用による効果を測定する指標を選定する。タブレットを使って顧客と対話した時間・回数や、タブレットによって短縮できた会議の準備時間などが指標として考えられるだろう。次に、実行(Do)においては、あらかじめ設定したポリシーに従い、タブレットの運用を行う。そして、測定(Check)時には、システムのログ収集などで分析を実施する。最後に、改善(Action)に向けた取り組みとして、何が上手く運用されていないのか、そもそも測定指標が現状に合っているのかといった検討を行う。PDCAはサイクルになっているため、測定や改善を繰り返すことになる。継続的なタブレット利用状況の監視により、定着に向けた施策をタイムリーに打ち出すことが期待できる。

最後に

タブレットの定着には社員の自由な利用を促進するのが秘訣だ。社内エバンジェリストの任命やPDCAサイクルの確立を行い、タブレット導入を通した業務改革を実現したい。

著:ビジネス on IT運営事務局、タブレット班

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