2015年 法人向けタブレット市場国内動向
~ 拡大が続く法人向けタブレット市場 ~

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タブレットの個人向け需要が鈍化する一方で、法人向け利用が拡大している。日本郵政グループが導入を進めているように、タブレットに対する期待は大きい。市場動向と共に、タブレットを導入した企業における賛否の入り混じった利用者の声を分析する。

■拡大が続く法人向けタブレット市場

タブレットは個人向けと法人向けによって全く異なる顔を見せている。国内の家庭市場向けタブレット出荷台数は横ばいが続いており、2015年第1四半期では前年同期比1.9%増の141万台となった。回線付きモデルのiPadが僅かな出荷台数の増加を牽引したものの、Wi-Fiモデルは既に需要の減少が明らかだ。今後は市場を革新するようなアプリケーションの登場が待たれるのみで、個人向け市場は買い替え需要に頼る方向に進んでいる。一方で、ビジネス向け市場は好調が続く。前年同期比39.2%増の88万台の出荷台数を記録し、教育市場での活用や、ビジネス向けソリューションの普及が広がっている。例えば、日本郵政グループがApple及びIBMと提携し、高齢者向けにタブレットを配布するなど、タブレットに対する期待は大きい。2019年には2013年と契約数ベースで比較して、4.5倍の端末が導入されると見込まれている。

インフォテリアの調査によると2014年の段階で、85%の企業がタブレットの導入あるいはトライアル導入を行っているという結果が出た。前年から16%の増加となり、特に、大企業での導入が顕著になっている。端末シェアに関しては、8割の企業がiOSを使用しており、Appleの競争力は圧倒的だ。iOSに続くのはAndroidであるが、Windowsタブレットについても前年比89%増加と勢いがある。利用用途としてはメール閲覧やカタログ・デモの表示が主要なものとなっている。続いて、スケジュール管理や営業支援システムへの接続といった目的が並んでおり、外出業務のある営業員がタブレットを携帯している様子が窺える。営業部門での活用が進んでいるため、タブレットに期待する効果として、社内業務の迅速化、ペーパーレス化の進展、顧客への迅速な対応、社内情報共有の向上といった項目が上がっているのも頷ける。

■肯定・否定が入り混じる利用者の声

タブレット導入した企業は、どのような感想を抱いているのだろうか。現場のユーザーとIT部門の管理者で見方は異なるが、どちらの立場にも肯定論と否定論が共存している。肯定的な声としては、サービス・売り上げ・コミュニケーションの向上に寄与するという点が上がっている。パソコンとは異なる特性を利用し、端末や働く場所に縛られない使い方ができるため、業務生産性の向上が進んでいるのだろう。また、タブレットの活用方法が個人任せになっている向きもあるため、組織としての利用を推進し、経営に貢献できる水準を目指す流れもある。

一方で、否定的な声として、タブレットの効果に疑問が呈されている。ノートパソコンの代替品として位置づけられてしまうと、入力機能で見劣りしてしまうため、タブレットが不便なものとして認識されるようだ。また、社内システムがタブレットに対応しておらず、結果としてパソコンとタブレットを2台携帯しなければならないという状況も報告されている。業務によってタブレット活用の向き・不向きがあるため、タブレット導入の目的や業務利用イメージをあらかじめ明確にしておく必要があるだろう。

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■クラウドサービスに機会あり

タブレットで使用するアプリを見るとクラウドサービスの活用が進んでいる傾向が分かる。DropboxやEvernoteといったファイル共有サービスが企業向けアカウントを拡充させている背景もあり、多くの企業が採用へ動いている。また、メール・グループウェア・スケジュール管理・Web会議といった情報系システムもよく利用されるアプリの代表例だ。さらに、リモートアクセスや仮想環境を利用し、高いセキュリティを担保しながらタブレットの導入を進めようという動きもある。

■拭い切れないセキュリティへの不安

タブレット導入の障害になるのはセキュリティへの不安である。個人の端末に業務利用を許可するBYODの導入を含めて、盗難・紛失時の情報漏洩リスクの最小化は長らく企業の課題になっている。セキュリティポリシーを厳しくするあまりに、タブレットの利便性を失うことになっては本末転倒である。また、タブレットを利用した経験の少ない経営幹部にとっては、セキュリティ上のリスクばかりが気になり、タブレット導入の価値を説得するのが困難になるケースもあるだろう。安全性と利便性を両立できるようなポリシーの策定や利用者のスキル向上・意識改革が求められている。

おわりに

タブレットの国内法人向け市場は大きく拡大している。営業員の生産性向上に強みを発揮する一方で、タブレットが業務に適するかどうかの見極めに課題が見られた。セキュリティ上の懸念があるものの、クラウドサービスの活用など新たなタブレット活用の展開が期待される。

 著:ビジネス on IT運営事務局、タブレット班

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