「攻め」のデータ分析で競争力を強化 多彩な視点からのデータ分析が顧客単価9%増を実現

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全国に500店舗以上を運営する外食産業運営企業「R社」は、売上に貢献する「攻めのIT」をより最適化するための「3カ年計画」に取り組んでいます。その重要テーマの1つがデータ分析システム(BI:ビジネス・インテリジェンス)の有効活用です。過去数年間にわたる曜日別の売れ筋商品や、複数店を束ねた日次の事業状況などを分析できるシステムの導入以降、店舗での顧客単価は前年同月比6~9%増で推移しています。

◎より効果的なデータ分析で売上に貢献する「攻めのIT」とは

経営管理グループ情報システムチームのK課長は、業務の効率化のみならず、売上にも貢献できる「攻めのIT」の実現に注力しています。スマートフォンを使ったキャンペーンやクーポン発行などの外食産業におけるプロモーションも多様化している中で、データ分析システムの活用は「攻め」の施策の1つです。店舗やエリア、曜日などによる売れ筋商品の違いなどをデータ分析により明確化し、新しい価格設定やメニュー構成などに活かします。

従来R社では、データ分析の環境が整備しきれていませんでした。データ分析システム自体は導入していたものの、分析用データは1日1回ホストから出力される前日の実績や当月の累計といった静的なレポートが主でした。このデータは時系列データを持っていなかったため、過去に遡って時系列で分析することがむずかしく、現場のブロック長(スーパーバイザー)や店長は自らExcelやAccessに入力し直して集計・加工や分析することに苦労していました。また、集計範囲も都道府県単位や沿線単位などに限られていたことから、どうしても分析を画一的に行いがちになり、データ分析による売上向上が見通しにくいものでした。佐藤課長は、現場スタッフには、それぞれが業務に応じて自発的に考えた切り口で分析を行い、戦略的に活かして判断する「攻め」のIT活用を促す環境の必要性を痛感していました。

また、データ分析環境の不十分さは、コスト面の負担増も引き起こしていました。ブロック長や店長が望む分析の帳票がホストからのレポートで取得できない際は、別に帳票の開発を外部に発注しなければならず、この分のコストもかかっていました。

 課題

1.分析可能なデータが少なく限定的である

2.集計や加工、分析に手間がかかる

3.情報システム部門のデータ加工の負担、外注費用の増加

◎新たなデータ分析環境の刷新をはかる

K課長はこれらの課題を解決するために、データ分析システムの刷新に着手しました。導入するシステムは、充実した機能はもちろんのこと、地図での表示、ダッシュボード、レポート作成やデータソース接続が誰でも容易に行える使い勝手のよさ、ユーザーインターフェースのビジュアルが優れていることを考慮し、複数の製品を比較検討して、新たなデータ分析システムの導入を決定しました。

◎多彩で効果的なデータ分析を今後の店舗戦略に活かす

新しい分析システム導入して早々に分析の効果が得られました。

新システムでは売り上げ、客数、顧客単価、原材料費といったKPI(重要業績評価指標)を店舗が日次で管理し、各店舗や複数の店を束ねた「ブロック」単位でも分析することができます。例えば、過去数年にわたって、曜日別の売れ筋商品がわかるようになったことにより、これまで勘や経験で判断していたしていたようなことも、数字をもとに判断できるようになりました。

新システムは大きく2種類のダッシュボードを用意し、1つはブロック長や店長向け、もう1つは経営層や管理者向けとし、現場の店舗から経営層まで幅広くデータ分析を根付かせる工夫をしています。

ブロック長や店長向けの画面では、今まではExcelに地図画像を張り付け、手作業でプロットした簡易的な分析が中心でしたが、店舗の売上や顧客数などを地図上に自動にプロットして視覚化することで、前年同日比や前年同月比という切り口で過去と比較することも可能になり、分析の精度も飛躍的に向上しています。さらに店舗でも各自で目的のレポートや帳票を使って容易に分析できるようになったことで、作業効率が高まり、店長が本来の業務に専念できるようになりました。

tableau01biz2店舗分析:店舗の時系列情報およびKPI表示 (tableauユーザーインターフェース)

 

一方、経営層や管理者向けの画面では、営業部や都道府県といったより大きなくくりで、KPIの動向や予算の達成度合いも見ることができます。例えば、マーケティングや営業管理部門の担当者が、新商品やテレビCMを投入した時の顧客単価の動きを見極めてすぐに改善策を講じたり、メールマガジンでのプロモーションを打つタイミングを見極めるなど販促に活かそうと考えています。

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予算進捗:今期、当月の予算達成状況と前年比推移 (tableauユーザーインターフェース)

 

また、新たな分析での帳票作成についても、目的の帳票類は今回導入した分析システムで全てカバーできるようになり、外注するコストも一切不要になりました。

K課長は、今後システムのパフォーマンスの高さを活かして、ビッグデータの分析にも取り組みたいと考えています。例えば、1店舗あたり100商品を選択し、その日々の販売データなどを全国500以上の店舗で横断的に分析することで、組み合わせて注文されやすい商品を見極めて新しいセットメニューの開発のヒントにしたり、手作業で集計している毎週6,000~10,000件の店舗アンケートの結果をシステムにより分析し、日々の改善に活かすことも考えています。

R社は今後もデータ分析システムの活用によって、競争力の強化を更に加速することになりそうです。

 

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