マーケティング部門でのデータ活用事例:“爆買い”で業績好調なドラッグチェーンストア 大量の在庫&欠品でていませんか?

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九州を中心にドラッグストアをチェーン展開しているD社。中国人観光客の爆買いの影響もあり、業績は絶好調です。しかし、1人だけ、この状況に不安を抱き、新しいITシステムの導入を急いでいる人物がいました。マーケティング部門の井上部長です。井上部長の不安の原因と、検討しているシステムとはなにか。井上部長に伺ってみました。

導入前の課題:大量の在庫と大量の欠品を防ぐためには?

D社は、九州地方を拠点に約100店舗のドラッグストアをチェーン展開している企業です。最近は中国人観光客のいわゆる”爆買い”の影響もあり、業績は絶好調です。しかし、マーケティング部門の井上部長は楽観していません。売上の推移・内訳を詳細に見ると、売れると見込んで仕入れた商品がほとんど売れず、大量の在庫を抱えてしまうこともあり、依然として経験と勘に頼った仕入れが行われているからです。

さらに井上部長が問題視しているのが、各店舗のPOSデータが、翌日にならないとわからないことでした。店舗のPOSデータは店舗内の専用サーバに蓄積され、夜間バッチで本部に送られるため、全店舗の売上は、翌日の確認となっていました。これでは、データに基づいた機動的な対応は不可能です。つい先日も、急きょ来店した中国人観光客に対応できず、翌日になって、はじめて大量の欠品が出ていることに気づきました。

これには経営陣も慌て、早急の対策が指示されました。具体的には、店舗の売上げをリアルタイムに把握し、蓄積した売上データを分析して、仕入れに活かす仕組みを構築することです。それを怠れば、いずれ成長は止まり、競合との競争に敗れかねない。売上が伸びている今こそ、そのための投資をすべきだというのが、井上部長の意見でした。

導入経緯:リアルタイムの売上集計とデータ分析

さっそく井上部長は、対策の検討を開始しました。そして、リアルタイムの売上集計にはクラウド型のPOSシステムデータ分析にはビッグデータにも対応できるBIツールの導入を考え、製品を選定し、経営陣に提案をしました。早急の対策を求めていた経営陣は、すぐに井上部長の案を受け入れ、新しいシステムの導入が決定しました。

システム構築期間は約3ヶ月です。すべての店舗に新しいレジ端末が設置され、店舗スタッフが打ち込んだデータは、インターネットを通じてクラウドに送られ、リアルタイム集計されるシステムの構築をおこないました。もちろん、マーケティング部門では各店舗で今何が売れているのかがリアルタイムで分かります。

また、マーケティング部門にはBIツールが導入され、いつでもクラウドからPOSデータをダウンロードし、分析できる環境を整備しました。

なお、レジ端末のリプレースには相応のコストがかかりましたが、クラウドサービスは月額数万円であり、BIツールはマーケティング部門が利用するだけなので、全体では当初の予算を大幅に下回りました。

導入効果:全店舗の売上がリアルタイムでわかるようになったことで商品の仕入れに活用

新システム導入の効果は、なんといっても全店舗の売上がリアルタイムでわかるようになったことです。各店舗でいま売れている商品、全店舗の現時点の売上や在庫状況が刻々と表示されます。これなら、以前のように観光客が急きょ来店しても、迅速に対応をすることが可能です。

蓄積されたPOSデータを分析するBIツールの効果にも期待が集まっています。すでに、過去のデータを分析した結果、曜日別の売れ筋商品や、店舗ごとの人気商品の違いも確認できました。マーケティング部門では、さっそくこの分析結果を商品部に提供し、商品の仕入れに活用してもっています。

また、中国人観光客が購入する商品の傾向もわかってきました。これまでは、ネットの情報をもとに、売れ筋商品を推測して仕入れていたのですが、こうした情報は必ずしも正しくないことはわかっていました。。現在マーケティング部門では、分析結果をもとに、中国観人光客向けの商品リストを作成しています。

今後の展望:時間ごとの高精度の売上分析や外部データと組み合わせた分析にも期待

新システムの導入を主導した井上部長自身、システムの予想以上の効果に驚いています。実際に導入して分かったのは、「リアルタイムのPOSデータ集計+BIツール」という組み合わせは、使えば使うほど価値が高まるシステムであるということです。

すでに曜日別や店舗別の売れ筋商品が分かってきましたが、さらにデータが蓄積されれば、月別や四半期別、年度別でも分析が可能になります。また、井上部長は、分析単位をさらに細かくし、時間別で分析することも計画しています。各店舗の時間ごとの売上傾向がわかれば、より効果的なキャンペーンを打てるはずだと考えています。

さらに、井上部長は外部データの活用も検討しています。天気や気温のデータや為替や株価データなどを組み合わせて分析すれば、新しい知見が得られるかもしれません。新しい発見があれば、それは競合との大きな差別化要因になるはずです。

また、中国人観光客の分析については、海外ソーシャルの分析も考えています。情報の深堀はできないかもしれませんが、実際に話題になっている商品などの情報をリアルタイムに分析し、商品の購入と照らし合わせることで、経験と勘に頼った仕入れにより、大量の在庫を抱えてしまうことや、大量な欠品をだすことは少なくなり、自社で注目していなかった次に注目されそうな商品の予測ができるかもしれなません。

BIツールの導入によって、経験と勘に頼っていたD社のビジネスは大きく変わりつつあります。次の一手を打ったD社の成果は、確実に数字として現れるでしょうと井上部長は展望を語ってくれました。

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