営業部門でのデータ活用事例:大手の進出で突然の危機を迎えた中堅リフォーム会社「A社」 規模と価格以外で勝つ秘策とは?

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大手の進出により、突然の危機を迎えた中堅リフォーム会社の「A社」。規模と価格では勝てないと判断した営業部門の山田部長は、以前からの懸案であった営業現場の課題を解決する計画を前倒しして実行に移しました。そこで導入されたBIシステムとは? はたして、山田部長は会社を救うことができるのか? 山田部長の活躍と導入されたシステムの真相に迫ります。

導入前の課題:大手が進出! 現場の情報をいち早く吸い上げる仕組みを構築し、営業力を底上げせよ

A社はキッチンやバスなどの水回りのリフォーム・修繕を手がける中堅企業です。けっして派手な広告宣伝は行っていませんが、地域に根ざした営業活動と顧客本位のきめ細やかな対応で、固定のお客様もたくさん抱えています。しかし、最近、大手リフォーム会社がA社の商圏に進出し、競争は激化。営業部門を束ねる山田部長は、これまでの丁寧な営業手法は堅持しつつも、新たな戦略がなければじり貧になる、と危機感を募らせています。

特に山田部長が問題だと感じているのが、営業現場の実態を本部でリアルタイムに把握できないことです。現場の営業担当者は、毎週、報告書を提出しますが、忙しさを理由に、なかなか詳細な情報までは上げません。けっきょく、数字を含めた詳細な情報は月末にまとめて報告する担当者が多く、本部が把握できる情報は、どうしても1ヶ月遅れになってしまうのです。

もう1つの課題が、成績のよい営業担当者が偏っていることです。経験の多寡によってある程度の差があるのは仕方ありませんが、やはり、一人一人の営業力を高めて、全体を底上げしないと大手には勝てません。そのためには、営業ノルマを担当者一人に押しつけるのではなく、本部側で一人一人の担当者をバックアップし、効果的な営業活動を支援することが必要だと考えたのです。

導入経緯:クラウドを活用して低コストでタブレット+BIツールを導入

そこで山田部長は、以前から検討していたBIツールとタブレットの組み合わせを社長に提案。大手の進出に、同じく危機感を募らせていた社長もすぐに決断し、新しいシステムが導入されることになりました。

これまでA社では、情報端末の使い方は各個人に任せていました。ノートPCを持ち歩く若手がいる一方、情報端末は持ち歩かないベテランも多かったのです。さらに、情報管理の中心はExcelで、個人によってExcelのスキルに差があるのも課題だったのです。

A社ではこれを改め、全員にタブレットを配布し、タッチ操作だけで日々の営業活動を報告できるアプリケーションを導入しました。さらに、BIツールを導入し、タブレットを通じて、毎日上がってくる担当者からの情報を蓄積・分析できる環境を整備しました。

ただし、クラウドを活用したため、それほど投資額は膨らんでいません。タブレット用のアプリケーションとBIツールともに、営業担当者の人数分のライセンスを投じただけで、大規模なシステム開発は必要ありませんでした。

導入効果:現場情報のリアルタイムの把握と担当者一人一人の営業活動の見える化を実現

新しいシステムの導入効果は、すぐに現れました。現場の状況がリアルタイムに把握できるようになったのです。タブレットにはGPS機能と通信機能が搭載されているため、担当者が訪問先でチェックイン/チェックアウトすると、自動的に場所が記録されます。さらに、業務内容はタッチ操作で入力できるので、情報機器が苦手なベテランも問題なく利用できます。これにより、誰が、いつ、どのような活動をしているのかを、本社側でリアルタイムに把握できるようになりました。

新システム稼働から半年が経過し、徐々にデータも蓄積されて、BIツールによる分析も可能になってきました。その結果、さまざまなことがわかってきました。

 

たとえば、成績のよい営業担当者とそうでない担当者では、同じお客様を訪問する回数、一回あdata-analysis-eye20150909たりの滞在時間に違いのあることがわかってきました。そこで、現在、山田部長は、成績のよい担当者にヒアリングし、訪問時に実行していることを細かく調査・分析しています。もちろん、結果は公開し営業部門で対策を検討しています。

また、案件ごとの進捗状況、担当者、地域、製品ごとの成約率と売上も、ほぼリアルタイムでわかるようになりました。こうした情報は、すべてグラフ表示され、全員に共有されます。営業担当者は、自分のデータはもちろん、他のメンバーのデータも閲覧できるので、これまでより競争意識も高まっているようです。

今後の展望:一人一人の営業支援体制を整備し、ピンチをチャンスに変えたA社の躍進がいまはじまる!

 案件の進捗、担当者や地域、製品ごとの成約率・売上が把握できるようになったことは、経営層にも大きな変化をもたらしました。これまで月1回だった経営会議が週1回に変更され、より短いサイクルでさまざまな施策が打ち出されるようになったのです。

さらに、山田部長の発案で、営業現場を支援する専門チームが作られました。全体の進捗を確認しながら、パンフレットや資料などの営業用の販促材・プレゼン用資料などを準備し、適切なタイミングで担当者に配布したりする体制を整えました。現場の状況がリアルタイムに分かるので、「ここぞ」というタイミングを見極められるようになったのです。

新しいシステムの効果は、数字にも現れつつあります。今後、さらにデータが蓄積されれば、地域や製品ごとに営業手法を変えるといった、さらにきめ細かな戦略を立てることも可能になるでしょう。

また、山田部長は、BIツールの分析から得られた知見をベースに、新人の教育プログラムの開発も検討しています。今回導入したシステムで最も効果が得られたのが、じつは若手の担当者だったからです。今後、事業を拡大していくうえで、若手の育成は大きな課題だっただけに、これは思わぬ副次的効果といえそうです。

いま山田部長は「これなら、価格と画一的な営業に頼りがちな大手にも十分対抗できる」と強い手応えを感じています。ピンチをチャンスに変えたA社。その躍進は、これからが本番です。

 

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