解析事例:シェアリングエコノミーの需要予測

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「シェアリングエコノミー」という言葉をご存じですか。ソーシャルネットワークの発達によって様々な人とつながれるようになり、最近では、個人が所有する様々なモノにまでつながるようになってきました。「シェアリングエコノミー」(共有型経済)とは、サービス・人材、プロダクトなど、有形無形のものを共有し、利用者が必要な時に利用してもらうサービスのことを言います。

今回は所有から共有へとシフトしているこの「シェアリングエコノミービジネス」に注目し、そのデータ解析やビジュアライゼーションをご紹介します。

シェアリングエコノミービジネスとは?

これらのワードをご存じの方は多いと思います。

  • 自動車を好きな時間に好きなだけ借りる「カーシェアリング」
  • 自転車を好きな時間に好きなだけ借りる「サイクルシェアリング」

 

その他のサービスですと、

  • 空き部屋を短期間貸し借りしたい人同士をマッチングするAirbnb
  • 遊休設備を生かして安価なオンライン印刷サービスを提供するラクスル
  • 駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングするakippa
  • 好きな洋服を借り放題のLicie
  • 傘シェアリングのシブカサ」 etc…

現在、様々なサービスが登場し、家(部屋)・駐車場・お金・乗り物・服・バッグ・アクセサリー・時間・ペット・食事に至るまで様々なものがシェアされる時代になってきています。

それでは「シェアリングエコノミービジネス」に注目した解析事例とビジュアライゼーションをご紹介します。

サイクルシェアリングとは?

「サイクルシェアリング」とは、自転車の共同利用サービスのことで、利用者は一定のエリア内に複数配置された拠点で自由に自転車の貸出・返却をすることができます。

自転車は排気ガスを出さない環境にやさしい都市内交通手段として、2000年頃から欧米で普及が進んできました。

地方公共団体や民間企業、またはその協業で運営されるケースが多く、利用料金・細かい仕組みは各サービスによって様々あるようです。日本では放置自転車の削減策としても注目され、社会実験や事業化などの動きが広がっています。

利用者のメリットとしては…

  • 便利で安い。いつでも好きな拠点から好きな時間だけ利用でき、使った分だけの料金で利用できること
  • 通勤などの定常利用に加え、拠点があれば旅行や出張先でも利用できること
  • イニシャルコストが不要。購入をしなくても自転車に乗れること
  • ランニングコストが不要。メンテナンス(修理・部品交換)や保管料(駐輪場)にかかる費用や手間の負担がないこと
  • 廃棄コストが不要。いらなくなったときに処分費用の負担がないこと

社会全体のメリットとしては…

  • 自転車が移動手段として普及すれば、排気ガスを出さないので環境にいいこと
  • 放置自転車問題の改善が期待されること
  • 利用者の運動量が増えて、メタボ対策や予防医学に貢献できる可能性があること
  • 使われていない土地をサイクルシェアリングの拠点として有効活用できること

事業者のメリットとしては…

  • 新しいビジネスの展開(収入源)ができること
  • 上記により、これまで接触できなかった新規顧客の獲得が期待できること
  • サービスの利用状況(データ)を使い、人流に関する新しいサービスの創出がでること

 

このように、サイクルシェアリングのメリットをいくつか並べてみましたが、自転車に限らず、シェアリングエコノミーには多くのメリットがあります。しかし、日本での普及を考えればもうお分かりかと思いますが、課題も多く残されています。

その課題とは…

  • 新しいサービスは一般的に知られていないので、いかに知ってもらい、利用してもらうかが難しいこと
  • どこに拠点を置くか、またその拠点に何台設置するかが予測しにくいこと

→ 利用者が利用したいと思ったときに、自転車が無ければ離脱してしまいます。
→ 逆に利用者が少ない場合は、設備費だけがかかり、初期コストを回収できません。

 

このように、どこに拠点を置くか、そこにどれくらいの規模の自転車を用意するかが非常に重要な要素になってきます。利用者も自宅や会社の近くに拠点があれば、利用したいと思うようになるでしょう。

また、自転車は雨の日に利用しづらいので、天候・天気にも左右されますし、平日や休日、利用時間帯によっても需要は常に変化していきます。

そのため、いろんな要素を踏まえて、需要を予測することが非常に重要なのです。このように、どこに拠点を、どれくらいの規模で用意するか(撤退するか)をデータ解析によって明らかにする「サイクルシェアリング需要予測の解析事例」をご紹介します。

Bike-Sharing-Demand

©DataScineceLab

サイクルシェアリングの解析事例

ご紹介するのは、「Kaggle*」の解析コンペ「Bike Sharing Demand」です。
これは、天候や曜日などの要素を踏まえて、サイクルシェアリングの需要予測を行う解析コンペです。
※ Kaggle:データ解析コンペティションのプラットフォーム

利用したデータは…

  • ある拠点における2年間の利用状況データ

データの形式は…

  • 日付/時間(1時間毎
  • 季節春、夏、秋、冬
  • 曜日平日、休日
  • 天気晴れ、晴れ時々曇り、曇り、小雨、雨、豪雨、霧、雪…etc.)
  • 風速
  • 気温
  • 体感温度
  • 湿度
  • 非会員の利用数
  • 会員の利用数
  • 利用総数

各月の19日までのデータで学習しモデルを構築し、各月の20日~月末までの利用総数を予測します。
この解析事例では、拠点のデータを対象にしていますが、複数拠点のデータを解析することでより効率的な運用ができるようになります。

例えば… 季節や時間帯、曜日による

  • 料金の変動
  • 設置台数の変動(他エリアから当該拠点に移動、またはその逆)
  • 販促の実施(キャンペーン・広告)

などです。

※ ご紹介したの詳細をご覧になりたい方はこちら開催期間は終了しているものの、内容やデータは公開されています。

全世界のサイクルシェアリングが可視化!?

「サイクルシェアリング」―。世界では、どれくらい普及しているのでしょうか。

そんな世界中のサイクルシェアリングを可視化したBIKE SHARE MAPをご紹介します。世界で150都市以上の、15000拠点に関するサイクルシェアリングの稼働状況が可視化されています。


このサイトは、なんと2分毎にデータが更新されているそうです。拠点規模の大きさは、円の大きさで表され、稼働の割合は色で表現されています。20157111:52時点で最も稼働している割合が高いエリアは「サンディエゴ」で、最も稼働している台数が高いエリアは「台北」のようです。

 

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©DataScineceLab

都市にどれくらいの拠点があるのか一目瞭然ですし、その稼働割合も分かるので便利です。上段部には見たい都市をフィルタやタブもありますので、すぐにジャンプします。

global-view-london

©DataScineceLab

※ ご紹介した実際のサイトをご覧になりたい方はこちら

 ニューヨークのサイクルシェアリングを可視化

続いては、ある地域に特化したサイクルシェアリングを可視化したビジュアライゼーションをご紹介します。

それは、言わずと知れた大都会ニューヨークです。おしゃれニューヨーカーにとって自転車は人気の移動手段となっています。

そんなニューヨーク(300拠点)に特化したサイクルシェアリングを可視化したものがCityBikeです。

 

city-bike-map1

©DataScineceLab

ストリート名や駅の名前を入力すると、その周辺拠点の状況を把握できますし、カーソルを合わせると、自転車の稼働台数、駐輪場の空きスペース数なども表示してくれます。右上側に貸し出し自転車数、駐輪場スペース数、その両方のタブもあるので、自分の確認したい数がすぐに表示されて便利です。

city-bike-map2

©DataScineceLab

今回は、サービス・人材、プロダクトといった様々なものを共有して、利用者が必要な時に利用してもらうエコノミーシェアリングについて焦点を当て「サイクルシェアリング」をご紹介しました。

日本で最も普及している「カーシェアリング」は、ここ最近急速に利用者数を増加させているようです。

公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査(2015年3月)によると、

  • 車両拠点数:9,451カ所
  • 車両台数 :16,418台
  • 会員数  :681,147人  にまで増加してきているようです。

家、車、服など、これまで私たちが所有することが当たり前だったモノがすべてシェアすることが当たり前になる…そんな時代もそう遠くないのかもしれません。

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サイクルシェアリングの解析事例「Bike Sharing Demand」 詳細はこちらへ。
世界中のサイクルシェアリングを可視化「BIKE SHARE MAP」 詳細はこちらへ。
ニューヨークのサイクルシェアリングを可視化 「CityBike」 詳細はこちらへ。

 

みなさま、いかがでしたでしょうか。

データをビジュアライズして眺めているだけでも興味深いですが、それに加え、活用する人の情報やさまざまなデータを組み合わせることで、価値が生まれ、環境や社会にやさしい行動を生み出すのに役立つことがよくわかります。

 

※ 本記事は「OPT DataScienceLab」の記事を元に、ビジネスon ITにて一部編集してご紹介しました。

 

 

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