データ分析は「攻め」の局面に入った! ~「攻め」のデータ分析活用例(4件)紹介~

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データ分析は「攻め」の局面に入った。バックオフィス向けのデータ分析から、企業の利益を増やすためのデータ活用へと投資の対象が変わってきている。アクセンチュア株式会社の調査によると、データ活用に積極的な企業は「新しい収益源を見い出した」「顧客を囲い込んで獲得した」「さらに新しい製品やサービスを開発している」という効果を得た。本記事では「攻め」のデータ分析活用の事例を4件紹介する。

1.小売業の活用例

小売店をチェーン展開するA社は、チェーン間の厳しい出店競争にさらされていた。競合チェーンの出店・閉店が頻繁に起こる市場環境では、変化への迅速な対応は必須である。競争を生き抜くためには、新規出店による商圏拡大は重要な経営課題の一つであり、最適な立地を見出す仕組みを構築することが求められた。

新規出店を行う際には現場担当者の勘や経験を頼りにしていたが、データ活用の仕組みを内製化し、立地評価の精度向上を図ることとした。世帯数や人口構成・就業者数などの統計指標に加えて、売り場面積や駐車場の数といった店舗の情報を入力することで、最も出店に適した立地がはじき出せるのだ。

この立地評価システムは、現場の担当者や管理層により利用されており、また、繰り返し使用する中で、システムの改善も図られていった。より細かい地域で分析を行ったり、人や交通量のバランスといった情報を分析データに追加したりすることで、集客力をより高度に予測できるようになった。

システムの試行錯誤を経た後、ベテラン担当者からは、現場の肌感覚とシステムの算出する売り上げ予測に大きな齟齬が見られなくなったとの声が上がっている。これは、ベテラン担当者の勘と経験がシステムに反映され、経験の少ない担当者でも同様の判断が下せるようになったことを意味する。個人に埋もれていたノウハウが会社全体で共有されるようになったことで、競争力の強化に寄与した好例と言えるだろう。

  2.製造業の活用例

事務機器メーカーであるB社は、各地域での販売力強化のため組織再編を行った。組織の変更を業績につなげるためには、個人の裁量で行っていた営業活動を組織的なプロセスへと変革することが課題となる。営業支援システム(SFA)を導入し、営業担当者の活動内容や工数を可視化することができたが、さらに営業活動の質を高めるために、営業戦略の高度化や顧客への最適な提案を行う必要に迫られていた。

B社は販売戦略本部の主導で、中堅・中小企業を担当するエリア営業を対象に、業種ごとの売り上げとその内訳、時系列での推移を分析するシステムを導入した。売り上げの構成を理解し、業種ごとの特性を比較し、時間を追っての変化を捉えることで、営業施策の優先順位や資源配分を最適化することが可能になった。

データ分析は新たな商機をもたらした。これまで開拓していなかった領域を特定したり、これまで重要視していなかった業界にいる上顧客を見出したりできるようになったため、営業活動の確度が向上したのである。

さらに、従来の仕組みでは3か月以上要していた分析レポートの作成が、毎月作成できるようになったことで、営業施策の柔軟な変更が可能になった。3カ月~半年程度で実施される営業施策に関して、施策を行っている最中に、その成果を確認できるようになったため、効果のでない施策については即時に改善を図ることができるのだ。

データが単なる数字にとどまらず、「行動につながる洞察」をもたらし、B社の営業部門を活性化させている。

 

攻めのデータ分析

3.金融業の活用例

個人向けサービスを経営の軸に据えるC銀行は、営業・マーケティング力の強化に余念がない。結婚や出産・住宅購入といったライフイベントを契機に最適な商品を提案するマーケティング手法は、個人向け戦略の柱だ。個人のライフイベントや時節に合ったキャンペーンを行うには、鮮度・精度の高いデータを瞬時に分析できる仕組みが必要になっていた。

C銀行は、顧客の「入出金」「残高情報」といったデータと、窓口やコールセンターでの「交渉履歴」といった情報を即時に閲覧できるようにした。複数のデータを組み合わせることで、キャンペーンを実施する際には、適切な対象者を容易に抽出できるようになったのだ。営業現場やコールセンターの担当者はもちろん、ATMやインターネットバンキングのシステムからも、キャンペーンの対象者を共有し、効果的な販売促進活動が行えるようになった。

データ活用の効果は、キャンペーンや提案活動の成約率向上として現れた。必要な情報が即時に得られることにより、マーケティング施策の企画立案から実施・効果測定までに至るPDCAサイクルが高速化され、より効果的な施策が打てるようになったことが寄与している。また、これまでとは異なる角度でデータを分析できるようになったため、より顧客満足度の高い新商品の開発にもつながった。

C銀行の目は「過去の理解」から「未来の予測」に向かっている。顧客の入出金履歴や投資損益から、顧客の隠れたニーズを予測し、先手を打った提案活動を目指すのだ。まさに「攻め」のデータ活用である。

 

顧客情報分析高度化のための3つのステップ

4.運輸業の活用例

公共交通機関の運営と、その地域での小売店や不動産販売などのグループ展開を行うD社は、グループ共通で利用できるポイントカードを発行した。電車の利用やデパートでの買い物のたびにポイントが貯まるため、D社には膨大な消費行動データが蓄積される。D社はグループ内での消費活動を活発化させるため、商品を購入しそうな顧客を予測し、ダイレクトメールなどの販売促進活動の改善に乗り出した。

様々な切り口で購買行動を分析し、ポイントカード保有者を複数のグループに分類し、グループごとに異なる販売促進のアプローチをとることになった。具体的には、ある店舗の「直近の利用日」と「通算の利用回数」を組み合わせることで、新規顧客や熱心な既存顧客を段階に分けて特定できる。通常、ダイレクトメールが来店につながる確率は2%程度と言われているが、ロイヤルティに合わせたダイレクトメールを送ることで20%もの成功率を上げている。

また、D社グループ内の複数の店舗を利用している層には、グループ内での買い回りを促進するよう、店舗をまたがったキャンペーンを行っている。店舗が相互に顧客を誘導することで、D社グループ全体での業績向上につながっている。

販売促進だけでなく、ポイントカードをクレジット機能付きのカードに切り替えるよう促すためにもデータの活用が期待されている。データ活用による商機の拡大はとどまるところを知らない。

 

データ活用への投資は、業績拡大に直接的な貢献を求められる時代になった。「攻め」のデータ活用は、新たな商圏の特定や、精度の高いマーケティング施策の立案、あるいは、顧客に最適な商品を提案するクロスセルによって、売り上げや利益の向上に寄与する。これまで埋もれていたデータを活用することで、勘や経験では見逃していた商機を発見することが期待されている。

 

参考 アクセンチュア株式会社
「アクセンチュア最新調査ー企業は、ビッグデータがもたらす効果……」
https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20140916.aspx

 

 

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