BIシステムの特徴とメリット(第3回)
BIシステムで全員が情報武装せよ!新佐藤レポートでA社の反転攻勢がはじまる

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BIシステムの特徴とメリット

B社躍進の原因が自分にあったことを知った佐藤氏は、B社が導入したBIシステムについて調査を開始しました。その過程で、佐藤氏は、BIシステムの詳細を知るとともに、自分の新しい役割も発見することになります。はたして、A社は反転攻勢に出られるのでしょうか? 佐藤氏の運命は?

※第1回 Excelによるデータ活用の課題・限界への気づき
それは、ある日、突然訪れた! Excelによるビジネスデータ分析の限界

※第2回 Excelの限界とデータ分析ツール(BIツール)への気づき
Excelマスターが会社のビジネスデータ分析の邪魔になる! 佐藤課長を襲った衝撃の事実とは? 

BIとはデータを企業の意思決定に役立てること

B社躍進の原因は自分にあった! 衝撃の事実を知った佐藤氏は、まず、BI(ビジネス・インテリジェンスについて、詳しく調べることにしました。その結果、BIは次のように定義できることがわかりました。

企業のデータを収集・蓄積・分析・加工して、企業の意思決定に役立てる手法や技術のこと

ただ、それはExcelを使って佐藤氏がこれまでやってきたことそのものであり、とりたてて新しい考え方ではありません。佐藤氏は、期せずしてビジネス・インテリジェンスを実践してきたことになります。

次に佐藤氏は、BIシステムの最新動向を調査しました。そして、技術の進歩によって、BIシステムがここ数年で大きく革新されたことを知りました。特に重要なテクノロジーが「インメモリ」です。

インメモリ技術により実現された「セルフBI」の世界

BIシステムは、ビジネスデータを分析して見える化するシステムです。Excelと比較するとグラフの種類が豊富で、作成手順もずっとシンプルかつ洗練されています。特定の場所をクリックすると詳細なグラフが表示されるインタラクティブなグラフも作成できます。Excelだとどうしても関数やマクロなどのスキルが必要になりますが、BIシステムならそれも必要ありません。

ただし、そのための下準備は面倒でした。基幹システムのデータベースからBIシステムのサーバにデータを抽出し、「店舗別」「担当者別」などの軸を追加した分析用データを作る必要があったのです。この処理には時間がかかり、かつ現場から「こんな角度から分析したい」という新しい要望が上がってきたら、分析用データを作り直す必要があったのです。

こうした状況を変えたのが「インメモリ」です。インメモリとは、すべての処理をメモリ上で実行する技術です。従来のディスクと比較すると、処理によっては数万倍も高速になります。このため、分析用データの作成が劇的に短縮され、現場の担当者自身がデータを直接分析できるようになったのです。

こうした状況を「セルフBI」と呼びます。ビジネスの現場担当者が、思いついたことをその場ですぐに分析できることを指す言葉です。ライバル企業のB社が実現したのも、まさにセルフBIだったのです。

ビッグデータの活用とクラウド・タブレットによるBIシステムの広がり

BIシステムの革新は「インメモリ」だけではありません。もう1つのキーワードが「ビッグデータ」です。技術の進歩により、従来は考えられなかった大量のデータを高速に処理することが可能となったのです。

企業には、基幹システムのデータ以外にもさまざまなデータが蓄積されています。たとえば、営業担当者の日報や月報のデータ、報告書や企画書のデータなど、これまで分析対象にならなかったデータを分析することで、新たな知見を得ることが可能になっています。

さらに、外部のデータを組み合わせることで新しい可能性が開けます。たとえば、商品の売上げと外部の天候データを組み合わせて分析すれば、天候と売れる商品の関係がわかるかもしれません。

そして、BIシステムの普及を後押ししたのが、クラウドとタブレットです。クラウドにより、高額なサーバを用意しなくても低コストでBIシステムを導入可能になり、タブレットの普及で、現場の担当者がBIシステムを手軽に利用できる環境が整備されたのです。

Excelマスターは死なず! BIシステムが生み出す新しいデータ分析の可能性

佐藤氏は、ここまでの内容を報告書にまとめ、「BIシステムの導入は不可欠である」と結論づけました。そして、「これからは特定の人物だけがデータ分析する時代ではない。現場の担当者一人一人がデータ分析の主役になるべきである」と記しました。それは、C社のセミナーで語られた内容そのものです。

しかし、それは佐藤氏のようなExcelマスターの退場を意味するものではありません。BIシステムを調査している過程で、佐藤氏は、自らの新しい役割を見いだしていたのです。それは次の2つです。

 

  1. 現場担当者のデータ分析を支援し、自らのスキル・ノウハウを伝承する。
  2. ビッグデータ分析など、現場では不可能なより上流の分析を担当する。

 

確かにBIシステムにより、現場はさまざまな分析が可能になります。しかし、効果的な分析には経験・ノウハウが不可欠です。「得たデータでどんな分析をするか」「どういう軸でデータを見ればよいか」……といったノウハウは、さまざまなデータを分析してはじめて身につくものなのです。

さらに、ビッグデータを活用した分析は、現場では不可能です。企業内に眠っている大量のデータ、自治体が公開している「オープンデータ」と呼ばれる自由に利用できるデータなどを組み合わせると、企業の中長期的な戦略に役立つ、重要な知見が得られる可能性があります。佐藤氏がExcelで培った分析能力は、けっして無駄にはなりません。

はじまったA社の反転攻勢! 新佐藤レポートが反攻の狼煙

佐藤氏がまとめた報告書は経営層に提出され、すぐにBIシステムの導入プロジェクトが発足しました。いま、その報告書は社内で「新佐藤レポート」と呼ばれています。そこには、BIシステムの導入はもちろん、現場の分析能力向上、ビックデータ活用など、組織全体の改革につながるいくつかのプロジェクトが含まれています。いま、こうしたプロジェクトが、経営トップのリーダーシップのもと動き始めています。

改革の道のりは、けっして平坦ではありません。しかし、現場の士気は上がっています。あの佐藤さんが言っていることだから! それが、現場の担当者全員の声なのです。佐藤氏が築いてきたものは、けっして小さくはなかったのです。

A社の反転攻勢がはじまります。

 

※第1回 Excelによるデータ活用の課題・限界への気づき
それは、ある日、突然訪れた! Excelによるビジネスデータ分析の限界

※第2回 Excelの限界とデータ分析ツール(BIツール)への気づき
Excelマスターが会社のビジネスデータ分析の邪魔になる! 佐藤課長を襲った衝撃の事実とは?

 


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