Excelによるデータ活用の課題・限界への気づき(第1回)
それは、ある日、突然訪れた! Excelによるビジネスデータ分析の限界

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Excelによるデータ活用の課題・限界への気づき

Excelは、現在、ビジネスで最も活用されているツールです。各種の書類作成はもちろん、売上などのデータ分析に活用しているビジネスパーソンも少なくないでしょう。しかし、いまや、ビッグデータと呼ばれる巨大データを一瞬で処理できる時代です。そうした時代に、はたしてExcelをデータ分析ツールとして使い続けることは、正解なのでしょうか。

売上アップや生産性向上に必要なもの、それは経験と勘+客観的なデータ分析

「売上を向上させたい」「コストを削減したい」「顧客満足度を高めたい」「ヒット商品を開発したい」企業の現場で活躍する担当者は、つねにこうした思いを持って仕事をしています。特に部門をまとめるマネージャクラスのビジネスパーソンにとっては、それこそが求められている仕事といってもよいでしょう。彼らの多くは、経験と勘を大切にしつつも、できるだけ客観的なデータに基づいて分析を行い、効果的なアクションにつなげたいと考えています。

食品製造業A社の企画部門につとめる佐藤課長も、その一人です。毎月の売上データ、商品ごとの売上推移、地域ごとの人気商品の違い、ライバルの動き……などをつねにウォッチしながら、売上向上やヒット商品につながる施策を、日々、考えています。そこで佐藤課長の強い味方となっているのが、長年使い続けている最強のビジネスツール Excelです。

ある日、突然訪れた、Excelを駆使した営業戦略の限界

佐藤氏とExcelのつきあいは、営業職として駆け出しのころから、もう10年以上におよびます。請求書や領収書の作成、交通費や出張費の精算書類の作成からはじまり、関数を組み込んだ経費管理シートの作成など、そのスキル・経験はプロレベル。関数やマクロは専門の書籍で独学で勉強し、現在は、ピボットテーブルやマクロを駆使して、独自のビジネスデータ分析を行っています。

佐藤氏の分析は、毎月はじめ、前月1ヶ月分の売上データを基幹システムから取り込むことから始まります。基幹システムのデータをCSVファイルとして抜き出し、Excelに取り込んだら分析開始です。データには金額の他に商品名、担当者、納入先などのデータも含まれているため、ピボットテーブル・ピボットグラフを駆使すれば、商品別や地域別など、さまざまな軸でデータの傾向を分析し、視覚化して見ることが可能です。

佐藤氏は、ここ数年、毎月欠かさずこの分析を行い、結果をグラフ化し、概要をまとめたレポートを作成してきました。A社の営業担当者にとって、”佐藤レポート”への信頼は絶大です。各地域の営業チームは、毎月配布されるレポートをもとに営業戦略を立て、具体的な活動に落とし込んでいます。

佐藤氏のレポートが配布されるようになってからは、A社の売上は着実に伸びています。だからこそ、佐藤レポートへの信頼も厚かったのです。ところが、今から数ヶ月前、異変が起こりました。

ライバルの売上急伸、その背後には謎のシステムの存在が……

きっかけはA社のライバルであるB社の売上急伸でした。B社はA社の長年のライバルであり、よき競争相手です。佐藤氏自身、つねにB社の動向には注意を払ってきましたが、数ヶ月前に確認されたB社の売上急伸には驚きました。つねにB社の動きを見ていたつもりでしたが、そこには売上急伸を示唆する材料は、何もありませんでした。「何が起きているのか」というのが、正直な感想だったのです。

そこで佐藤氏は、独自に調査を開始。その結果、B社が半年前に何らかのシステムを導入したことがわかりました。システムの詳細は不明ですが、佐藤氏が驚いたのは、B社の営業担当者全員がタブレット端末を携帯し、佐藤氏が毎月作成しているレポート以上に詳細な資料を見ていることでした。しかも、過去数年分の売上データとともに現在の売上データもリアルタイムに把握でき、かつ営業担当者自らが自由に分析して、さまざまなグラフを作成していることも わかってきたのです。

これでは勝てない! 謎のシステムの正体を究明せよ

以前のB社は、どちらかというと経験と勘を優先する企業でした。実際にベテランの営業担当者が多く、彼らの長年の経験は、けっしてあなどれないと佐藤氏は見ていました。ただし、Excelを駆使できるようなIT人材には乏しく、その点での脅威はないと判断していたのです。

しかし、調査の結果、佐藤氏はB社への評価を一変させました。これでは勝てない! それが、佐藤氏の正直な感想です。Excelによるデータ分析がわかっているからこそ、佐藤氏には、B社で行われている分析の凄さが理解できたのです。月に1回の静的な”佐藤レポート”の限界が訪れた瞬間でした。

ところが、佐藤氏の分析に頼り切っていた他のメンバーには、なすすべもありません。B社が導入した謎システムは何か? ことの重大性に気づいた経営層が、大至急、佐藤氏に詳細な調査を命じたのはいうまでもありません。

 

次回、Excelの限界とB社が導入した謎のシステムの真相に迫ります。

 

※Excelの限界とデータ分析ツールへの気づき(第2回)
Excelマスターが会社のビジネスデータ分析の邪魔になる! 佐藤課長を襲った衝撃の事実とは?

 


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