中小企業見聞録 : 実務経験から知り得た業務(会計、販売、給与)システムの定着パターンとは!?

クラウドが拡大期に入ってきた理由

本コラムでは、筆者が実務を通して中小・中堅企業の各社様から見聞きした情報を赤裸々に綴ります。企業経営で必須ともいえる会計・販売などの業務システムですが、満足度が必ずしも高くないシステムでもあります。ところが、ここ最近では満足されている企業が増えてきています。どういったことでしょうか?

皆様の会社で使われている業務システムは、どのような手法・形態で構築されましたか?

従来の業務システム構築といえば、

  • 過去のプログラム資産を活かしつつ、汎用機を継続して利用している
  • パッケージソフト、ERPを導入して使っている
  • スクラッチ(手組み)で、EXCEL、ACCESSやVB等で開発したシステムを使っている
  • スクラッチ(手組み)で、Webシステムを独自開発して使っている

ここ数年の動きとしては、

  • クラウド上で・・・・・・・・
  • SaaSを月額利用料を払うことで・・・・・

といったことが、多くなってきました。

上記のようにいろいろな導入形態がありますが、業務システム導入において昔からある課題は置き去りになっており、その解決が進んでいないように見受けられます。

 

業務システム導入で昔からある課題・失敗ケースとしては、大きく二つがあげられます。

 

一つ目は、パッケージソフトを安さにつられて購入したものの、自社の業務や取引形態には合わず、無理をしてパッケージ機能に業務を合わせていこうと取り組んでみたが、現場では使いにくいということで利用が定着しなかった。

 

二つ目は、逆に、自社の業務に合わせて、こだわりのあるシステムを作ろうと外部の開発ベンダーへ依頼したが、要求したことが、きちんとシステム機能として実装されてこない、あるいは、バグや不具合が多くて結局使えるものにはならなかった。

さらに、完全な失敗ではないものの、成功したとも言えない、おしいレベルでも大きく二つがあげられます。

一つ目は、パッケージを導入して、ある程度効率化はできたが、そこからの継続的な改善や拡張には全くつながっていかず、何年も前から利用の拡大は完全に止まったままになっている。

二つ目は、外部の開発ベンダーへ依頼したシステム自体は要求したものが一旦納品されたが、その後の変更、改修の度に大きな費用が掛かり、トータルの費用対効果としては大きな不満が残っている。

といったことがあると思います。

 

クラウド型Webデータベースを使った「持たない」「開発しない」というコンセプトでの独自業務システムの構築です。

こうした昔からある課題を解決するために、私が各社様に向けて真正面から取り組んでいるのが、クラウド型Webデータベースを使った「持たない」「開発しない」というコンセプトでの独自業務システムの構築です。わたしは、このクラウド型Webデータベースを「業務改善クラウド」と呼んでいます。

業務改善クラウドは、パッケージソフトのように予め決められた業務機能は実装されていません。

自社の業務に合わせて処理機能を実装していくことから始まります。

この実装には、プログラムの知識もコーディングのスキルもほとんど必要ありません。

業務上の要求事項を、一つ一つそのまま管理システムから設定していき、設定していくと自動的に出来上がるシステムの挙動をその場で確認しながら進めることができます。

業務改善クラウドは、法令等に基づいて運用することが必要となる財務会計、給与計算といった業務や計算ロジックの塊のようなシステムはあまり得意ではありません。しかし、顧客管理、販売管理、在庫管理、工程管理、人事管理といったデータベースへのデータ蓄積と操作、データ処理・分析を基本とする多くの様々な業務領域のシステム構築で威力を発揮するプラットフォームです。先に述べた不得意な分野は、パッケージソフトの標準機能を使う方が運用面やコストの面からも適切です。

クラウド型Webデータベースで検索してみてください。いくつかのクラウドサービスが見つかります。ご興味のある方は参照してみてください。

業務改善クラウドは、前述したように、業務改善をしたい特定の業務だけに部分的に活用することができます。例えば、複数のネットショップやリアル店舗の全データ一元管理用のシステムとして利用されている企業がありますし、一方で、基幹システムと連携させて必要なデータを取り出し、一部門専用のデータ活用システムとして利用されているお客様もあります。

2つの企業に共通しているのは、事業成長に合わせて継続して業務を改善していきたい、そして、日々改善、変更される業務に追随していけるように「迅速に」「柔軟に」「低コストで」システムの対応もしていきたい、という経営と現場、両方含めて強い欲求をお持ちになっている点です。

最近、業務改善クラウド=クラウド型Webデータベースの活用が進み業務システムに対する企業の満足が上がってきていることから、普及期に入ってきた感じがしています。特に、中小企業から中堅企業へと拡大、浸透が進んでいます。

業務改善クラウドの拡大・浸透の3つの理由とは

理由としては、大きく以下の3つが挙げられるかと思います。

一つ目は、「クラウド」に抵抗感のない企業が急速に増えてきたこと。

むしろ、手のかからないクラウドを探しているという企業も増えてきました。自社でシステムを運用する事による運用コストがバカにならない、何とかしたいというニーズは従来からもあり、

加えて、アカウントの管理やシステムへのパッチ適用作業などまでを踏まえて考えると、クラウドの方がセキュリティ面においても安全と判断する企業が増えてきたのだと思います。

二つ目は、自社の業務のやり方(処理や帳票、データ分析)や自社の業務の流れに合わせた、何よりもユーザが使いやすいシステムがほしいという根強いニーズがあることです。

特に、自社のビジネスやサービスの付加価値となるような業務領域では、現場の創意工夫が反映された自社独自の業務システムこそが競争力の源泉ともなり得ます。業務改善クラウドは、管理ステムからの設定でユーザーが使いやすいシステムを実装できることが受け入られている要因と思います。

三つ目は、通常費用がかさむ独自システムにも関わらず、業務改善クラウドはコストがかなり安くすむことです。

企業自身でも比較的容易に設定できるよう工夫されたプラットフォームを活用した構築は、プログラム開発と比較して開発生産性が高く初期の導入コストが抑えられます。

また、そのプラットフォーム自体がクラウドとして提供されるため、サーバ運用などのランニングコストも抑えられるという訳です。

さらには、技術面も理解している企業には下記のようなメリットもあります。

  • 正しく設定することでプラットフォームとしてのシステムの挙動が保障されるため、プログラムを一からコーディングするのに比べて、バグの発生や障害発生のリスクが大幅に低減できる。
  • 利用開始後の機能追加や将来的な拡張も、データベースの追加や設定の追加作業によって、既存の機能に影響を与えることなく安心してスピーディーに追加実装(機能拡張)できる。

業務システムへの満足の高まり

これらは、近年、一部のベンチャー企業での取り組みが進んでいるインソーシング*やスパイラル開発*にも非常に相性の良い特長でもあり、これもビジネスの成長における業務システムの役割を重視している中堅企業やベンチャー企業に業務改善クラウドが広がっている大きな理由と言えると思います。

「クラウド」や「クラウド型Webサービス」などの新しいテクノロジーの積極的な活用と、業務改善を進めることで自社の成長・競争力強化に恒常的に取組む企業において、業務システムへの満足が高まっています。

 

* インソーシング・・・システム開発の内製化

* スパイラル開発・・・要件定義→設計→開発→・・という直列の開発工程ではなく、短期間でシステム実装と検証確認を並行的に繰り返す開発手法

Mitsumoto-san

[氏名]光本 茂樹

[経歴] 1990年:大手シンクタンク入社

1999年:ITを活用した業務改善コンサルタントとして独立

2002年:株式会社インターメッセ 代表取締役社長に就任

「ビジネスコンシェルジュ」をサービスコンセプトにITを活用した業務改善サービスを展開。IT投資やITマネジメント、プロジェクトマネジメントに関しても多くの企業のアドバイザリーを務める。

Pocket

コメント