健康とビッグデータ 頑張らなくても効果が上がるダイエット方法?

Ernhrungslehre

 

ダイエットが必要と分かっていても、健康的な食習慣・運動習慣を貫くのは難しい。頑張らなくても効果が上がるダイエット方法があればいいのだが・・・。そのような夢のような方法はあるのだろうか。

◎政府・産業界から注目が集まる健康とビッグデータ

高齢社会において健やかに過ごせる時間を増やすため、健康への関心が高まっている。特に、主観的な観察ではなく、客観的に判断できるデータを基にした取り組みが広まってきた。Apple Watch、Fitbitを始めとするウェアラブル機器の登場により、これまで取得できなかった個人のデータが得られるようになったため、データ分析による新たな発見が期待されている。

2016年4月、経済産業省と厚生労働省は、日本糖尿病対策推進会議と提携し、会社員の健康情報を蓄積するプロジェクトを開始した。歩数、血圧、体重などの行動データ・生体データを計測し、糖尿病のリスクが高い社員に通知し、疾患を予防する。多数の企業を参加させ、合計30万人規模のデータベースを開発する狙いだ。日立製作所やテルモなどが参加を検討しており、社員の健康維持により、会社の生産性を高め、医療コスト削減などの効果が期待できる。データが蓄積されるに従い、他の疾患予防にも手を広げていくだろう。

産業界でもビッグデータを健康に活用する取り組みが広がっている。日立製作所が開発した健康支援サービス「はらすまダイエット」は、90日間で体重の5%減量を目標にダイエットを行うクラウドサービス(SaaS型)だ。どんなにデータを分析しても、健康管理については、個人の生活習慣を変えなければ意味がない。各人が健康に良い生活を行うモチベーションを維持し、かつ、正しい取り組み方を伝えるツールは高い効果が期待される。データは全てクラウドに集積されるため、指導者がデータを閲覧し、サポートも容易になる。

生活習慣と疾患の違いについて理解が深まれば、その治療方法の発展にも期待が高まる。同様に、ダイエットに効果的な食生活や運動習慣など、ビッグデータの応用が考えられる。ダイエットは日々の生活との関連性が強いため、自動的にデータが収集される仕組みを導入し、膨大なデータの中から意味のある知見を見出すビッグデータの手法が応用される余地が大きい。ウェアラブル機器やスマートフォンが一般的になった今だからこそ、健康・ダイエット分野が発展しているのだ。

◎食習慣を記録するアプリによってダイエットに効果がある食品を特定

ダイエットの第一歩は自分の食習慣を知ることと言われる。不摂生や栄養の偏りは健康を害するため、食習慣の記録をつけると、2倍の速度で体重を落とせるという研究もある。しかし、毎回食べたものを記録し、カロリー計算をするのは非常に煩わしく、多くの人は継続して行えない。そこで、1クリックで食べた履歴を記録でき、カロリー計算を容易にするアプリとして人気を集めるのがMyFitnessPalだ。

MyFitnessPalは、420万人のデータから体重と食事の履歴を分析し、優れた食習慣の理解を進めている。一般的には摂取カロリーを減らすために、炭水化物や脂肪を控えるのがダイエットには良いとされるが、MyFitnessPalの結果は異なっていた。ダイエットに成功した人たちは、そうでない人に比べ、29%多くの食物繊維を摂取していた。肉や卵を控えつつも、ヨーグルトやアーモンドといった他の食べ物から、たんぱく質と脂質を得ている。その他にもオリーブオイルや果物などの摂取がダイエット成功者に目立つ。

食習慣を記録するアプリとしてはMealSnapも人気のアプリだ。このアプリがあれば、食べ物の写真をスマートフォンで撮影するだけで、50万以上の料理が登録されたデータベースの中からカロリー情報が呼び出され、自動的にカロリー計算が行われる。データ記録の手続きが簡素になるほど、ユーザーの利用が促進され、蓄積されるデータが増加し、より精度の高いデータ分析が行えるようになるだろう。

MyFitnessPalの仕組みMyFitnessPalの仕組み

◎人工知能によってリアルタイムに最適なパーソナルトレーニングを提供

カロリー摂取を管理すると同時に、カロリー消費の記録も管理しなければ、ダイエットは成功しない。運動した量や、その状態を計測するウェアラブル機器やアプリは多数開発されてきたが、人工知能(AI)を搭載したアプリが遂に登場した。2016年6月に米国LifeBEAM社が、「Vi」というパーソナルトレーニング機器を発表し、クラウドファンディングでの資金調達及び、予約販売を開始している。

Viの特徴はトレーニング内容のリアルタイム分析にある。心拍数、心拍変動、昇降運動、位置情報、天気、速度、歩調などをセンサーで計測し、データベースに蓄積した運動履歴や目標と照らし合わせる。AI技術によってリアルタイムにコーチングの内容を決定し、励ましの声をかけたり、最適な目標に変更したりする。

ユーザーとAIは声で会話できるため、運動中の妨げにならない。人工知能はユーザーの声を学習するので、Viを使用するほどに、音声認識の精度が向上するのが魅力だ。運動に関する用語を覚えるにつれ、より運動に特化したコミュニケーションが可能になっていく。また、運動時でも不快にならないよう最適化したイヤフォンを搭載しているため、AIからの声は聞きやすく、運動のモチベーション向上に大きく寄与する。

アーキテクチャの観点からは、ウェアラブル機器とクラウドでの情報処理の組み合わせによって、ユーザー体験が向上されているのが特徴として上げられる。音声認識のような高い反応速度が求められる処理はウェアラブル機器で行い、目標設定などの時間をかけても問題ない処理はクラウド側で実施している。リアルタイムで無数のデータを取り扱うビッグデータの代表的な例と言えるだろう。

Viの仕組み

Viの仕組み

◎さいごに

生活習慣の改善は、生活習慣の記録から始まる。ウェアラブル機器の登場によって、医療機関が手を出せない普段の生体データ・行動データが計測可能になってきた。新たなデータの収集・蓄積がビッグデータ分析・人工知能技術によって、正しい健康管理手法の考案につながるだろう。

 

著:ビジネス on IT運営事務局、データ活用班

メールマガジンを購読する

Pocket

コメント