クラウドによる価値創造の要諦はDevOpsの推進にあり!

クラウドによる価値創造の要諦はDevOpsの推進にあり!

 2017年5月30日からの4日間、東京で「Amazon Web Services(AWS)」の総合イベント「AWS Summit Tokyo 2017」が催され、スピーカーの一人として、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)のクラウドインテグレーション部  部長 小岩井 裕が演壇に立ちました。AWS活用によるアジャイル開発とDevOpsの必要性と重要性を訴えました。ここでは、同講演のエッセンスを報告します。



▼ ハイライト
1. クラウドで進むサービスの内製化志向
2. DevOpsは、「文化」「プロセス」「人」「技術」から成る
3. SIerに課せられたミッション




1. クラウドで進むサービスの内製化志向

 「クラウドの成熟に伴い、自社の競争優位やスピード経営の確立/実現に向け、ITを活用しようとする動きが活発化しています。それはITサービス事業者に限った話ではありません。非IT企業も“ビジネスの武器”としてITサービスを活用し始めているのです」──CTCの小岩井 裕は、講演の冒頭、こう話を切り出す。


aws summit



 確かに、クラウドには、多大な手間と時間、そして初期費用をかけずに、最新のテクノロジーの活用を可能にするというメリットがあり、それがITによるビジネスモデル革新、あるいは新事業創出の流れを加速させている。また、その流れの中で、企業の情報システム部門のあり方にも変化が起こり、組織の中に「新しい機能を持つチーム」を置く企業が増えていると、小岩井は指摘する。


 「このチームは、“イノベーション”、“新規事業化”、“新技術への取り組み”をキーワードに、“新しい価値創造”という漠然としたビジネス要求への対応を迫られています。目指すのは新規事業開発であるがゆえに周囲の期待も大きく、使命は重大です」


 そんなITの現場で高まっているのが、内製化志向だ。


 周知のとおり、ITによるビジネスモデル変革や新事業開発を推進するうえでは、ビジネスアイデアを早期にサービス化し、その開発をエンハンスし続けることが必要となる。というのも、画期的なアイデアをサービス化して、他社よりも早く市場に投入し、顧客からのフィードバックを得る事が重要だからだ。


 したがって、いわゆる『Systems of Record(SoR)』に類するエンタープライズITの場合と同じようなアプローチ──つまりは、ウォーターフォール型の開発手法の下、開発の実務を外部に委託するというスタイルを踏襲していては競争上の優位を確保することは難しくなる。


 「ですから、内製化によってシステムやサービスの開発・展開の速力を増すことが不可欠となります。より具体的には、アジャイル開発の手法やCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)オートメーションの仕組みを導入し、ビジネス要求に応じてサービス開発・運用を一体で回す『DevOps』の実現が必須となるのです」(小岩井)。






2. DevOpsは、「文化」「プロセス」「人」「技術」から成る

 CTCでは、DevOpsを、市場の変化・要求に対する対応スピードの向上、自動化による開発・運用効率の最大化、一貫性のあるコード化によるソフトウェア品質の向上、さらには、長期的なTCO(所有総コスト)の削減などを可能にするソリューションと定義しており、その実現には、「文化」「プロセス」「人」「技術」という4要素の変革が必要であるとしている。このうち、「文化」とはプロセス・人・技術が互いにプラスの影響を与え合う組織の風土を意味し、「プロセス」とはビジネスと従業員の要求に対応するための業務フロー、「人」は知識やスキル・プロセス遂行の能力、さらに「技術」は、コミュニケーションの活発化と業務効率化を実現するためのツールを指している。


 「DevOpsを実装するに当たっては、これらの4要素の変革を同時並行で進めなければなりません。どれか一つが欠けても、継続的な変化をもたらすことはできないからです」と、小岩井は説明を加える。


 とはいえ、多くの企業では、ビジネス・開発・運用のそれぞれの部門がサイロ化されており、DevOpsを実現する4要素のすべてが不足しているのが現実と言える。


 「したがって、まずは組織横断的なチーム(COE=Center of Excellence)を組織化し、その組織が中心となってアジャイル開発を前提とした文化・プロセスを形成していくのが先決です。それと並行して、開発の効率化とCI/CDを実現するツールを導入し、スモールスタートで何らかのプロジェクトを始動させ、成功体験を積み上げていく。そうしたアプローチが、DevOps実装のポイントになります」(小岩井)。






3. SIerに課せられたミッション

 このようなDevOps実現の取り組みの中で、CTCのようなシステムインテグレーター(SIer)には、2つの役割が求められると、小岩井は指摘する。


 一つは顧客企業のビジネス・開発・運用のつなぎ役として機能し、顧客のデジタルトランスフォーメーションを加速させる幅広い支援を提供することだ。またもう一つは、クラウドに精通した戦略パートナーとして、顧客のサービスを継続的に拡張しうる優れた人材を育成・確保・アサインすることである。


 こうした考え方の下、CTCでは、北米を中心にクラウドインテグレーション/コンサルティングを展開する米国Solinea社とパートナー契約を締結し、同社が持つ高い技術力と豊富な経験に基づくソリューションとインテグレーションを日本市場で展開している。


 「DevOpsを導入し、ビジネス上の新たな価値創出と俊敏性を追求することは、多くの企業に共通した課題です。CTCでは今後、そのための文化・プロセスを組織に定着させるためのアジャイル開発/DevOpsコンサルティングを、Solinea社のパートナーシップをフルに活用しながら提供していきます。また、CI/CDインテグレーションのサービスとして、Amazon Web Services(AWS)の基盤上にパートナー各社のツールを適用した環境構築も支援していきます」(小岩井)。


 ITを活用して新しい価値を創出するには、アプリケーション/サービスの企画からリリースまでの速力を上げなければならない。それには、継続的なデプロイメントを可能にするプラットフォームの構築と新技術・新機能の積極的な活用はもとより、開発・運用の無駄を徹底的に排除し、より多くのリソースをサービスの拡張・強化に集中投下できる環境を整えることが必要とされる。


 「それらの課題を一挙に解決するための土台として、AWSのようなクラウドはまさに最適なプラットフォームです。ただしそれでも、アジャイル開発/DevOpsの実現には乗り越えるべき障壁がいくつもあります。その障壁を乗り越えるための最適なソリューションを提供できるのが、CTCの強みです。CTCではこれからも、クラウドを土台にしたアジャイル開発/DevOpsの環境作りを、文化・プロセス・人・技術のあらゆる側面からトータルにサポートしていきます」(小岩井)。

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