AWSより速いIaaSベンダーはあるか?調査結果から見るパフォーマンス比較

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どうやってIaaSベンダーを選べばよいのか?結局、どれが一番速いのか?IaaSベンダーの比較は困難を極める。俯瞰的に機能やビジョンを見比べる方法と、特定の条件下での定量評価を用いる方法によって、IaaSのパフォーマンス比較を行った。

■IaaSベンダーにおけるパフォーマンス比較の視点

IaaSベンダーの選定は難しい。IaaSに関する技術やビジネスモデルが洗練されるにつれ、基幹系システムへのIaaSの採用も増えてきたが、いざ導入しようとすると、考慮するべき課題が少なくない。ベンダー選定はIaaS導入における大きな課題の一つであり、各社のパフォーマンスなどの提供内容を比較するのは困難を極める。ベンダー選定が難しい理由は、各社で用語や単位が統一されていない点が挙げられよう。CPU、メモリ、ネットワークなどの全ての設定を合わせなければ公平なパフォーマンス比較は不可能であるが、実際に全ての設定をベンダー間で合わせることはできない。比較を行う場合、より俯瞰的に機能を見比べるか、特定の環境下に限定して定量評価するか、いずれかの方法を選ばなければならない。

 

■ガートナーのマジック・クアドラント分析

調査会社ガートナーは俯瞰的な比較に定評がある。市場内で競合するベンダーを四つの象限に分類して比較するマジック・クアドラントという手法はガートナーの得意とするところだ。実行能力とビジョンの先進性という二つの軸でベンダーを分類し、市場を牽引するリーダー企業、製品が成熟していない概念先行型企業、実行能力は優れているが価値提案に不足があるチャレンジャー、そして特定市場で存在感を示すニッチ型企業の四種類が提唱されている。IaaSベンダーについても、このマジック・クアドラント分析が行われた。

リーダーに分類されたのはAmazon Web ServicesとMicrosoftだ。AWSは言わずと知れたIaaSの旗頭であり、先進的で柔軟なプラットフォームを提供し続けている。基幹系システムも採用されるパフォーマンスの高さであり、圧倒的なシェアを誇る。一方、Microsoftの強みはIaaS、PaaSからオンプレミスまで一貫してサービス提供できる点にあり、企業ユーザーからの信頼が厚い。

概念先行型企業にはGoogle、IBM Softlayer、VMWare等が分類された。Googleのビジョンは顧客企業がGoogleのようにサーバー資源を柔軟に活用できることであるが、実際は基幹系システムとして企業にそこまで浸透しているわけではない。IBM Softlayerはアウトソーシング事業として顧客企業におけるIT部門の最適化を目指している。パフォーマンスの高い“ベアメタル”サーバーの提供など、これからの躍進が期待されるサービスだ。そして、仮想化技術のリーダーであるVMWareもIaaSの提供を開始しており、その動きには注目が集まっている。

ニッチ型企業としてRackspace、富士通、NTTコミュニケーションズ等が選ばれた。Webホスティング企業であったRackspaceはパブリック、プライベート双方のクラウドサービスを展開し、開発者コミュニティから高い評価を受けている。富士通はアジア・ヨーロッパを中心としたアウトソーシング事業者としてポジションを確立した。NTTコミュニケーションズは既存のデータセンターの代替としてクラウドサービスを提供し、NTTグループとの連携を通じてアジアでの活躍が見られる。

なお、チャレンジャー型に選ばれた企業は存在しなかった。IaaSの導入を検討する際には、ガートナーの比較を考慮して、自社との相性を探ることができるだろう。実績を重視する際にはリーダー企業、将来性を期待して先進的な機能を享受するには概念先行型企業が合っている。自社の特殊な要件を優先する場合にはニッチ型企業に可能性がある。

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■クラウドハーモニーのスペック比較

俯瞰的な分析を行うガートナーと異なり、調査会社クラウドハーモニーは特定の環境下でのパフォーマンスを測定し、IaaSベンダーのパフォーマンス比較を行った。まず、CPUのパフォーマンス比較では、SPEC CPU2006と呼ばれる標準的なベンチマーク手法を用いて、同程度のIaaS製品同士の数値を算出した。高い数値を叩き出したのはAmazon Web Services(154.19)、中程度であったのはIBM Softlayer(132.64)とRackspace(138.61)だ。比較対象となったIaaSベンダーの中で低い数値となったのはGoogle(111.82)、Microsoft(75.82)だった。

クラウドハーモニーはCPUの他にもメモリ、ディスク、ネットワークといった各項目で比較を行っている。ベンダーによって一長一短があるが、Amazon Web Servicesは安定して高い評価を得た。ガートナーに概念先行型と評価されたGoogleやIBM Softlayerは数値にばらつきがあるため、ガートナーとクラウドハーモニーの分析には一定の整合性があると見てよいだろう。ガートナーでニッチ型企業とされたベンダーの多くはクラウドハーモニーの分析には入っていないが、これらのIaaSベンダーも得手不得手があると見て差し支えない。ベンダー選定の際には、自社が求める機能要件と非機能要件を明らかにし、それに合ったサービスを選択するのが良いだろう。

さいごに

IaaSベンダーの選定は、各社の用語や設定が異なるため、簡単な作業ではない。調査会社の比較によるとAWSのようなリーダー企業は、GoogleやIBMのような概念先行型の企業よりもパフォーマンスが安定している。

編集:ビジネスon IT運営事務局、クラウドインフラ班

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