AWS前年同期比58%成長により過去最高の営業利益達成

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AWSは、2016年第二四半期の決算において、過去最高の業績を記録した。7億ドルの営業利益は北米事業を上回り、前年同期比58%の大幅成長だ。拡大するクラウド市場と、AWSの確固たる優位性が浮き彫りになった結果と言える。

Amazon全社が稼ぐ利益の半分以上を叩き出したAWS

AWSが過去最高の利益を記録した。Amazonが発表した2016年2Qの決算では、AWSの驚くべき成長が明らかになっている。AWS事業における営業利益は7.18億ドルに上り、北米地域の7. 02億ドルを上回った。その他地域で1.35億ドルの損失があったのを考慮すると、AWSはAmazonの半分以上の利益を稼いでいる。

AWSが突出しているのは、その利益率の高さだ。AWSの営業利益率が24.9%であるのに比べ、Eコマース等を運営する北米地域の営業利益率は、わずか4.0%に過ぎない。売上高で比較すると、北米地域がAWSの6倍程度に及ぶものの、業績への貢献はAWSの方が遥かに大きい。

決算発表においては、AWSの取り組みが紹介された。インド・ムンバイへのリージョン追加、メモリ最適化されたX1インスタンスの導入、ファイル管理機能のElastic File Systemの発表、政府向けシステムの認可等が新たな動きとなっている。また、SalesforceやSAPの推奨クラウドとして位置づけられ、AWS成長への貢献が期待された。

AWSに限らず、Amazon全体での業績でも、株主からの期待を上回った。2016年第二四半期の1株当たり純利益は1.11ドルの予想に対し1. 78ドルを記録している。また、2Qの売り上げでも、295億ドルの予想に対し、304億ドルだった。AWSの成長に牽引され、Amazonは成長を続けている。

AWS営業利益の推移
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3割以上の市場シェアを獲得し、支配的なポジションを確保

AWSの成長は目を見張るものがあり、前年同期比58%の増加となった。MicrosoftやGoogleとの競争が激化するクラウド市場において、これほどまでの成長が見られるのは、AWSが業界における優位性を確保しているのに加え、市場全体が拡大している証しと言えるだろう。

世界におけるクラウド市場は2016年に2040億ドルに達するという予測があり、これは38.4%という大幅な成長を意味する。米調査会社のガートナーは「デジタル戦略を追求する企業の増加によって、レガシーシステムからクラウドシステムへの移行が続き、クラウド市場の成長につながっている」と分析した。

成長するクラウド市場において、AWSは最も大きな市場シェアを握っている。シナジー・リサーチ・グループの調査では、2015年の市場シェアはAWS(31%)、Microsoft(9%)、IBM(7%)、Google(4%)、Salesforce(4%)と続いている。AWSは市場に大きな影響を与える支配的なポジションを確保したと言って良いだろう。

2015年第四四半期の世界クラウド市場シェア(シナジー・リサーチ・グループ)
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6年連続でガートナーが発表するリーダー企業に選定

AWSが業界リーダーであることはガートナーの分析でも証明された。ガートナーは、2016年8月、クラウド事業者の位置づけを、ビジョンの先進性と実行力の2軸で評価する「マジック・クアドラント」として発表している

AWSは2軸共に高い評価を獲得したリーダー企業に6年連続で選出されており、同様にリーダー企業に分類されたのはMicrosoftだけだ。

Googleはビジョンはあるものの実行力の評価が低くビジョナリー企業と評価された。その他のクラウド事業者は全てビジョンも実行力も高くないニッチ企業だ。NTTコミュニケーションズ、富士通、VMWare、IBM(Softlayer)、Rackspaceなどが続いている。

ガートナーの調査では、AWSの強みは顧客企業の幅広さにある。企業システムや基幹システムから小規模なアジャイル開発までユーザーとして抱えている。さらに、市場シェアが圧倒的であるため、AWSで利用可能なオープンソース・ソフトウェアやパートナー企業が無数に生まれ、一つの経済圏を築いてきた。また、そのシェアと高い利益率を活かして、新たなサービス投入への投資も怠っていない。AWSが全ての企業のニーズに応えているわけではないが、「AWSを選べば間違いない」という認識がユーザー企業に広がっているのも事実だ。

ガートナーが指摘した課題として、ユーザー企業に相応の技術力を求めている点が挙げられた。AWSを使いこなすには、AWS固有の知識・ノウハウが必要になるため、技術パートナーの支援を要する場合も多い。また、価格体系も複雑になっているため、サードパーティの価格管理ツールを利用しているユーザーも少なくない。

AWSは次々と新サービスを投入しているため、技術力の高くないユーザー企業には使いこなせない側面がある。結果として、最新のサービスではなく、古くなって価格が安くなったオプションを活用するのがベストプラクティスとなってしまった。さらに、新サービスはリージョンごとに導入されていくため、米国以外のユーザーは高度な技術をすぐに利用できないというデメリットがある。

AWSのような規模とシェアの大きい事業者がより高い価値を発揮するクラウド業界

ガートナーはユーザー企業に対して、長期的な視点に立ったクラウド事業者の選定を推奨している。AWSとMicrosoftが支配的な地位を獲得した一方で、世界に数千社のクラウド事業者が競争を繰り広げているのが現状だ。競争に敗れたニッチ事業者はサービスを急に変更したり、停止したりするリスクもある。幸い、仮想マシンを移行すれば別のクラウド事業者に移るのも容易なので、ベンダー・ロックインは発生しにくいが、十分な注意が必要だ。

クラウド事業は「規模の経済」が働く分野だ。規模の大きな事業者は効率的な運用を実行する技術力がある。また、多くのパートナー企業を抱える事業者は、様々なサービスの連携を実現しているため、提供するサービスの幅広さにもつながる。AWSのように、ブランドとシェアの高い事業者が、高い価値を提供できるのがクラウド事業の特徴と言える。

最後に

AWSの優位性は圧倒的であり、少しのビジネス環境の変化では揺るぎそうにない。広い顧客基盤と高いシェアを背景に、新サービスを次々と投入する姿勢は、まさにリーダー企業としての戦略と言えるだろう。

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