Amazon Redshiftのエコシステムがデータウェアハウスのイノベーションを加速する

Amazon Redshiftのエコシステムがデータウェアハウスのイノベーションを加速する

 2017年5月30日(火)から4日間にわたって開催された「AWS Summit Tokyo 2017」。来場者は、4日間で19,000名を超えたそうです。さっそくですが「Amazon Redshift」についての講演レポートをまとめました。

 近年、オンプレミスで稼働していたデータウェアハウスの移行先、あるいは新しい分析基盤として、「Amazon Web Services(AWS)」が提供する「Amazon Redshift」を選ぶ企業が増えています。それに伴って拡大しているのが、Redshiftのエコシステムです。Redshiftと、そのエコシステムがユーザーにもたらすメリットについて、「Amazon Redshift」について知りたかった方、ご検討中の方へご参考となるレポートとなりましたのでご紹介します。

<講演者>
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
エコシステム ソリューション部 パートナー ソリューション アーキテクト
相澤 恵奏氏

1. クラウドでデータウェアハウスを実現する「Amazon Redshift」

 これまでのデータウェアハウスは、処理性能やコストに課題を抱えていた。例えば、処理性能の問題を解決するために、データウェアハウス(以下、DWH)のワークロードに特化したアプライアンスも数多く登場したものの、それらの多くが非常に高価な製品だった。

 「ご存知のとおり、ビッグデータ分析はROI(投資対効果)が非常に見えにくいものです。ですから、高額なDWHアプライアンスの導入に踏み切れるのは、ごく一部の企業に限られていたのです」と、AWSパートナーソリューションアーキテクトの相澤  恵奏氏は言う。

 そうした処理性能やコストの課題を解決すべく、次のイノベーションとして登場したのが、列指向型データベースやMPP(Massively Parallel Processing)などのソフトウェア技術だ。これらを、x86サーバやLinuxなどのコモディティ化されたハードウェア/OS上で稼働させることでDWHを安価に実現することが可能になった。そして、こうしたソフトウェア技術をクラウドに取り入れた新世代のDWHとして登場したのが「Amazon Redshift」である。

 Redshiftには、「より速く、よりシンプルに、より安価にDWHが実現できる」(相澤氏)という特徴がある。

 「クラウド上で提供されるRedshiftは、多額の初期投資が不要なうえ、最大128ノード/ペタバイト級までスケールアウトが可能なシステムです。DWH用途に最適な列指向型データベースの採用と圧縮技術によって、処理のボトルネックとなるディスクI/Oを徹底的に切り詰め、圧倒的なスピードを実現しています。しかも、Redshiftはフルマネージドのサービスですので、ユーザー企業はデータウェアハウス基盤の設計・構築・運用の手間をかけずに、アプリケーションの作成だけに注力することができるのです」

 さらに、2017年4月にリリースされた最新のRedshiftでは、AWSのオブジェクトストレージ「Amazon S3」上のデータを外部表としてアクセスできる「Amazon Redshift Soectrum」などの新機能が実装された。これにより、DWHがさらにシンプルに利用できるようになっている。


2. ユーザーの多様な課題に対応する、Redshiftのエコシステム

 Redshiftにはもう一つ、大きな優位性がある。それは、Redshiftを取り巻くエコシステムが充実していることだ。

 例えば、RedshiftにおけるDWH運用の一般的な流れは、さまざまなデータソースのデータをETLツールで抽出・変換・加工したうえで、Redshiftに流し込み、分析し、その結果をBIツールで可視化するというものだ。そのため、「Redshiftと連携できるETLツールやBIツールは何かという問い合わせがよく寄せられます」と、相澤氏は語り、次のように続ける。

 「こうした質問の背景には、『今使っているツールをそのまま使いたい』、あるいは『新しい環境を構築するので連携できるツールを教えて欲しい』というニーズがあります。Redshiftには、ワールドワイドで提携している数多くのパートナーがあり、各社が提供するETLツールやBIツールと連携して利用することが可能です」

 このパートナーの一覧はRedshiftのホームページに掲載されており、そこから無償ダウンロードできる「ESP(Ecosystem Solution Pattern)カタログ」には、AWS上で稼働が確認されている270以上のソフトウェア製品が紹介されている。このほか、Redshiftのホームページからは、多種多様な業種・業界で活用されている豊富な導入事例を入手することも可能となっている。

3. AWSが太鼓判を押すソリューションパートナー

さらにAWSでは、「既存のDWHをRedshiftに移行したい」「ビッグデータの新規基盤を構築したい」「すでに利用しているRedshiftをチューニングしたい」といった移行・構築・運用に関する支援も行っているという。

「AWSはマネージド型のデータベース移行サービス『Database Migration Service』、およびデータベースのスキーマ変換サポートツール『Schema Conversion Tool』を提供し、既存のDWHからRedshiftへの移行を支援しています。また、移行・構築・運用のサポートを望む企業に対しては、『AWSサービスデリバリープログラム』の認定を取得したソリューションパートナーを紹介しています」(相澤氏)。

このうち、AWSサービスデリバリープログラムは、複数案件のサポート実績に加えて対象サービスに関するソリューションを公開しているなど、厳しい要件をクリアしたパートナーを認定する制度だ。

現在、Redshiftのサービスデリバリープログラムを取得したパートナーは、日本国内に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)など9社しかない。

amazon-redshift

「Amazon Redshiftサービスデリバリープログラムは、AWSが『Redshiftの案件を依頼するならこのパートナー!』と太鼓判を押している各社です。RedshiftでDWHを構築したいが、技術的に不安が残り、最初の一歩がなかなか踏み出せない──。そうしたお客様は、ぜひこれらのパートナー各社に相談を寄せていただき、RedshiftによるDWHイノベーションのメリットを最大限に享受していただきたい」と、相澤氏は語り、講演を締めくくった。

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