プライベートクラウド導入を成功に導く3つのカギ(2/3)

図31

業務系システムを支えるITインフラとしてクラウドはふさわしいのか?

採用企業が増えているプライベートクラウドについてクラウド基盤構築の経験豊富なITインフラコンサルタントが3回に分けて解説します。今回は2回目です。

前回ではクラウド利用の実態に触れつつ、基幹業務系システムなどミッションクリティカルなITインフラ基盤の多様なニーズに応えられるプライベートクラウドの意義について解説しました。

ここからは、本題となるプライベートクラウド導入を成功に導く3つのカギについて話を進めます。

~3つの“プライベート・デザイン”が成功のポイント~

筆者は、多くのプライベートクラウドのコンサルティング・構築・運用をご支援してきました。その経験から、様々な企業・プロジェクトに共通する課題を見出し、そこからプライベートクラウドを成功に導くためのポイントを導き出しました。

プライベートクラウドのCritical Success Factors (成功に導くためののポイント、以降CSF)とは、

① ITインフラアークテクチャの標準化

② ITインフラ運用の階層化

③ ITインフラのサービス化

の3つです。この3つのテーマに対し、いかに自社事情に沿ってプライベート・デザインができるかが重要な成功要因となります。

では、それぞれのCSFを解説していきましょう。

① ITインフラアーキテクチャ標準化

1つ目の成功のポイントは、アーキテクチャの標準化です。

プライベートクラウドのITインフラ基盤は、さまざまな業務システムが稼働する共通ITインフラ基盤となります。業務システムごとに重要度は異なるため、標準化 ≒ 単一化と捉えてしまうと要件を満たせない(または過剰)なケースが発生します。一方、システム単位にバラバラの設計を行ったのではコスト削減効果が出ません。

そのため、ポイントとなるのはITインフラアーキテクチャに複数のデザインパターンを持つことです。

下図はサーバーの可用性に基づき、複数のデザインパターンを定義したものです。高可用性のデザインAからシングル構成のDまで用意することで、重要システムの本番環境から周辺システムや検証・開発環境までのITインフラを、網羅的に提供することができます。プライベートクラウドでは、サーバー以外にもデータ保護(バックアップ)、セキュリティ対策、ジョブ運用などについて、アーキテクチャの標準パターンを準備しておくことが有効です。

図1

それでは、ITインフラのすべての領域を事前に標準パターン化し、利用者が必要なタイミングで即時提供することができるでしょうか。

残念ながら、すべての領域について標準テンプレートを活用して容易に構築することはできません。たとえば、ネットワークについてはシステムごとにアクセス要件が様々であり、導入時に都度ネットワーク設定変更作業が必要とされます。こうしたケースには、サーバー同様にデザインパターンを複数用意し、パターンごとに構築手順までを整備しておくことが有効です。これにより、利用者との要件調整の負荷削減をはじめ、構築リードタイムの短縮を見込むことができます。

図

② ITインフラ運用の階層化

2つ目の成功のポイントは、運用です。

筆者が関わったプライベートクラウドに関するコンサルティング実績では、プライベートクラウドに関するコストのうち、サーバーやラインセンス、データーセンター内ラック費用は全体の半分以下で、運用コストが6割のコストを占めていました。仮想化統合の事例ではサーバーやラック数を大幅削減するなど、コスト削減効果が謳われていますが、実際の削減効果は極めて限定的であり、運用コスト削減こそ真に手がけるべき領域であることがわかりました。

図31

プライベートクラウドの運用の特徴は、運用体制が1対N型になることです。ITインフラは共通化され一つの体制となり、複数の業務システムを担当するチームに対して横断的に運用サービスを提供する体制となります。

この時、クラウド提供者と利用者側の運用責任分解点を明確にすることが重要です。クラウド提供者の運用スコープは、2つのアプローチで検討を進めることができます。

プライベートクラウド導入を成功に導く3つのカギ(3/3)につづく

著:金森 亮太
ITインフラコンサルタント。長年大規模システム構築案件における設計、提案、企画を経験。仮想化基盤、クラウドインフラを軸としたITのサービス企画を得意とする。

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