プライベートクラウド導入を成功に導くための3つのポイント(第1回)
~クラウドへの誤解と理解すべきプライベートクラウドの意義~

pexels-photo-335907-1

パブリッククラウドとプライベートクラウド(ホステッドプライベートクラウド)の違いは「共有」と「専有」という言葉だけではクラウドの本質を理解するためには不十分です。
パブリッククラウドとプライベートクラウドの本質的な違いを整理しつつ、プライベートクラウド導入の意義と成功に導くためのポイントを解説します。

ハイライト
● ITインフラの利用形態の変遷
● クラウドインフラ(IaaS)が浸透しないワケ
● 成功に導くための3のカギ

ITインフラの潮流

2000年代を振り返るとインターネットが世界的に広まり、ITシステムは急速なオープン化の波を迎えます。企業内にある様々な業務アプリケーションごとにITインフラが構築され、サイロ型の基盤が多数作られました。

2000年代半ば、サーバー仮想化の技術が成熟し、サイロ化されたITインフラを統合化する取組みが増えました。さらに企業内や特定の利用部門(アプリ担当)に対して、仮想化統合された共通ITインフラを「サービスのように見せる」というサービス化の動きがはじまります。これが2000年代末に広まった「プライベートクラウド」の興隆です。

「サービスのように見せる」という流れは、サービス事業者においても進みます。近年「IaaS(Infrastructure as a Service)」という言葉でおなじみのように、ITリソース(CPU、メモリ、ストレージ、仮想マシンなど)をインターネットを通じて提供する、さまざまなパブリッククラウドが展開されています。

2000年代のITインフラの潮流

図2

クラウド利用の実態

クラウド時代へ進んできていますが、さまざまなIT調査会社を通じて実際の利用実態をみるとパブリッククラウドの企業利用の範囲は限定的で本格利用には至っていないようです。

IaaSの本格的な普及が進んでいない要因は、さまざまですが情報システム部門のITインフラの作り方に一つの大きな要因があると考えられます。

従来のサイロ型のITインフラでは、可用性やデータ保護方式、セキュリティ等への対処に多大な労力をかけて、システム個別に設計・構築・テストし、運用をしてきました。こうした状況に対してIaaSを利用することで、情報システム部門はITインフラの面倒を一切見る必要がなくなる・・・ IaaSにはそんな期待があったと思います。

しかしながら、その期待にIaaS単体で応えることはできません。一般的なIaaSでは、サーバーやストレージ等のITリソースの提供はされますが、基幹系システムを例とするミッションクリティカルなシステムに求められるバックアップやセキュリティ対策などの多様な非機能要件や、OS・ミドルウェア監視や障害対応などの運用業務は提供されないため、引き続き情報システム部門にて設計・構築・運用が求められるためです。

その結果、IaaSを利用しても従来のITインフラの作り方と本質的には変化せず、都度設計・個別運用が必要とされることが、クラウド利用の阻害要因の1つになっていると考えています。

プライベートクラウドの意義

さて、IaaS単体では十分に情報システム部門の期待に応えられない理由を考察してきましたが、もう1つのクラウド形態である「プライベートクラウド」はどうでしょうか。

プライベートクラウドはパブリッククラウドと異なり、「ITインフラ資産を自社で所有し、その設置場所が自社サーバールームになる」と解釈されがちです。

しかし本質的な違いは「サービス提供仕様を自社で定義できるか、できないか?」にあります。

パブリッククラウドの場合、ITインフラはクラウドサービス事業者が規定したサービス仕様に基づいて提供されます。一方プライベートクラウドは、自社の特殊な事情を踏まえて自社仕様のサービスを定義することができるため、一般的なIaaSでは不足しがちな可用性のパターンやバックアップ、監視、セキュリティといった様々な要件についても標準仕様を設けることができます。

このような「プライベート・デザイン」でITインフラサービスを仕様化できるため、プライベートクラウドは、基幹系システムを例とするミッションクリティカルなITインフラ基盤の多様なニーズに応えられるクラウドになりえるのです。

プライベートクラウドとパブリッククラウドの違い図1

3つの“プライベート・デザイン”が成功のポイント

プライベートクラウドのCritical Success Factors (CSF:成功に導くためののポイント)は、

① ITインフラアーキテクチャの標準化

② ITインフラ運用の階層化

③ ITインフラの社内サービス化

の3つです。この3つのテーマに対し、いかに自社事情に沿ってプライベート・デザインができるかが重要な成功要因となります。

プライベートクラウド導入の3つのCSF20150629_図版③

次回はプライベートクラウドのCSFに関して詳細に解説していきす。

関連記事:
プライベートクラウド導入を成功に導くためのポイント(第2回)
プライベートクラウド導入を成功に導くためのポイント(第3回)

編集: ビジネスonIT

Pocket

コメント

「基幹特化型IaaS」のイベント・セミナー

開催
基幹システムの選定セミナー