クラウド化の”最後の難関”とも言われる移行作業。オンプレからクラウドへの移行ノウハウとは!?
~正確で効率的な移行作業を行うためのノウハウ~

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移行作業は常に細心の注意を伴う。オンプレミスからクラウドへ移行する場合には、どのような注意が必要になるだろうか。正確で効率的な移行作業を行うためのノウハウを紹介する。

 

複雑性を増すクラウド移行

移行作業はクラウド化の“最後の難関”と言われる。どんなに慎重に移行計画を立てたとしても、人為的なミスや不測の事態が発生し、業務やシステムに損害が生じてしまうリスクはゼロにならない。オンプレミスからクラウドへ移行する場合には、複数の異なるアーキテクチャが混在するイレギュラーなシステムと作業が発生するからだ。移行がうまく行えなければ、せっかくのクラウド化によるメリットが享受できない。移行については、最もセンシティブな対応が求められるのだ。

基幹系システムなどの本格的な移行を行うまでに、クラウド移行のノウハウを蓄積しておくことが推奨されている。企業システムをクラウドへ移す際には、ある一部の業務を選定し、パイロットプロジェクトとして実施するケースが多いだろう。小規模なプロジェクトとして、オンプレミスからクラウドへ移行する体験を通じて、どのような点にリスクがあり、どのような注意を行えばリスクを軽減できるのかを理解するのが移行を成功させる秘訣と言われている。

移行計画を作成する手順は、従来の知見が活用できる。オンプレミスからクラウドへ移行する場合でも、新旧システムの対応関係や、移行データの特性、変換ツール、監視項目、スケジュール、体制などをチーム内で文書化し、明確化しなければならないのは変わらない。では、クラウド移行に特有の要件はどのようなものがあるのだろうか。

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データ移行、システム連携、ネットワーク設定に注意が必要

移行作業を行う際には、複数の環境を用意するケースが多い。新しい本番環境に加えて、テスト目的等に使用する開発環境などが考えられる。そして、環境構築はクラウドのメリットが活かせる部分だ。本番環境をコピーすれば開発環境がすぐに作成できる上、移行が完了すれば停止するだけで良い。クラウドの柔軟性が活かせるのが移行作業と言える。一方で、データ移行作業には特別な注意を要する。

オンプレミスからクラウドへデータを移す際には、ネットワーク越しにデータを転送しなければならない。基幹系システムのように膨大なデータを転送するには、予想以上に時間がかかってしまうケースもある。ある企業では2か月間かけてオンプレミスからクラウド上の本番環境・開発環境・移行用環境にデータ転送を行っていた。移行作業を行う際には、マスターデータの差分だけをオンプレミスからクラウドへ転送する手法を採用し、データ移行の時間短縮を実現した。

顧客データのように機密性の高い情報については、移行作業の最中であっても、データを閲覧できる権限を守る必要があるため、誰がどのようにデータ移行するのか、慎重な計画が求められるだろう。また、データ変換が求められる場合は、さらに移行作業の難易度が増す。他社システムとの連携がある場合にも注意が必要だ。SBPS(ソフトバンクペイメントサービス)などの決済管理会社と連携し、クレジットカードを使った支払い手段を提供しているWebシステムも多いだろう。定期購入などを行っている場合、支払いシステムの変更は容易ではない。クレジットカード情報を他社に移せるかどうか、事前の確認が求められる。

オンプレミスからクラウドへ移行作業を行う際には、ネットワーク設計にもコツがいる。具体的にはIPアドレスの重複に気を付ける必要がある。移行作業中にオンプレミスとクラウド環境を並行して運用する時間帯がある場合、それぞれに同じ固定IPアドレスを設定してしまう問題が発生する可能性がある。多くのサーバーを運用する場合でも、使用しているIPアドレスを洗い出し、移行作業中でも重複がないようにするのがノウハウだ。

クラウド事業者が提供する移行支援ツール

オンプレミスからクラウドへの移行に課題がある点はクラウド事業者も認識している。そのため、各社が移行支援ツールの開発を進めてきた。Amazonは2015年8月に最小のダウンタイムでオンプレミスからクラウドへデータベースを移行するツールである「AWS Database Migration Service」を発表した。継続的なデータのコピーを行うため、容量の大きな基幹系システムにも対応が可能だ。また、同時に発表された「AWS Schema Conversion Tool」を使えば、自動データ変換などの機能により、異なるデータベース間の移行が容易に行える。“OracleからMySQL”などのベンダーの異なるデータ移行を行い、よりオープンな環境へ移行できる。

クラウドサービスのリーダーであるAWSが移行支援ツールを導入したため、各社も同様のサービスを提供するようになるだろう。IBMはクラウド間のデータ移行を支援するソフトウェアを開発しているという発表もあった。ただし、現在はツールよりもコンサルティングサービスによる移行支援が主流だ。NTTコミュニケーションは「オンプレミス接続サービス」を展開し、独自のネットワーク管理技術によりIPアドレスの重複を回避しながら、シームレスにネットワークの設定を変更する手法を提供している。仮想ネットワークを使用するため、データ移行においても専用回線は不要であり、クラウド移行にかかる作業が軽減できるのが強みだ。クラウド化を進める際には、移行支援の方法を確認しておくのが必須と言えるだろう。

最後に

クラウド化において移行作業は最後にして最大の難所である。データ移行、システム連携、ネットワーク設定には特に注意を要する。移行支援ツールやコンサルティングサービスを活用するのが得策だ。

編集:ビジネスon IT

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