WEBオンラインサービス企業のクラウド導入事例

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Webオンラインサービス企業はプログラムやデータが自社の製品そのものであるため、クラウド環境へ全てを委託するのに不安を覚えるかもしれない。しかし、クラウド環境の導入は、資源を戦略的に自社サービスに投入し、競争力を強化する効果がある。既にクラウド環境を導入しているリーダー企業を紹介する。

■クラウド普及の要因は競争力の強化

クラウド導入は競争力の強化につながる。企業戦略の肝は選択と集中なので、自社の得意領域に集中して資源を投入すると、他社と差別化でき、市場で独占的な地位を築けるようになるのだ。逆に言うと、差別化につながらないものは積極的にアウトソースし、時間や人的資源を無駄に費やさないようにした方が良い。今やサーバーやストレージといったコンピュータ資源は差別化にならないコモディティであるとの認識が広がっている。そのため、クラウド導入を通じて、コンピュータ環境に対するコスト・時間・人的資源を最適化する取り組みが、ひいては競争力の強化につながるのだ。特に、Webオンラインサービス企業では、この傾向が顕著になるだろう。Webオンラインサービス企業の競争力の源泉は、考え抜かれた顧客体験や、独自に分析して見つけ出した知見にある。インフラをクラウドベンダーに任せれば、新たなサービス開発も、急激な利用者の増減にも対応が容易になり、顧客との接点に力を注げるようになる。

IaaSやPaaSと呼ばれるクラウド環境の市場は急激に成長している。矢野経済研究所 の調査によると、2014 年には国内の売上高ベースで前年比 49.3%増の 906 億円の市場規模に成長しており、今後も40%以上の年平均成長率が見込まれた。利用企業の増加はもとより、既に利用している企業についても利用範囲が拡大している。特に、センサー技術を活用して自動制御や遠隔操作を行うIoT技術の発展がクラウド環境を活用したサービス拡大に寄与すると見られている。また、クラウドベンダーのサービス成熟化も見逃せない。ベンダー間の競争が激しくなる中で、各社が導入や運用を容易にする機能を提供するようになり、ユーザー企業としてはクラウド導入への敷居が下がってきている。では、実際にどのような企業がクラウド導入を行ってきたのだろうか。次項ではWebオンラインサービス企業におけるクラウド導入事例を紹介する。

Webサービス系企業とクラウド事業者の担当範囲

Webサービス系企業とクラウド事業者の担当範囲

 

■Webオンラインサービス企業の導入事例4選

  • モバイル向けニュースアプリのリーダー企業
    A社は幅広いジャンルのニュースをスマートフォンに届けるキュレーションアプリを開発している。数百万人以上に上るユーザー数は業界トップクラスだ。スマートフォンへの情報配信はもちろん、話題のニュースや重要な情報を自然言語処理によって自動的に判断する人工知能技術をクラウド環境で運用している。小規模な組織で多数のユーザーへのサービスを運用するにはクラウド環境が欠かせないものだったのだ。
  • 3Dプリンタを用いた新規事業開発
    B社は3Dプリンタ等に使用される三次元モデルデータを共有するための新規サービスを立ち上げた。新しい分野であるため需要予測が困難であるのに加え、最大100MBにもなるモデルデータが急激にアップロードされると、サーバーが負荷に耐えられない懸念があった。B社はクラウド環境を導入し、インフラの柔軟性を担保しながら、スピード感を持って新規事業の立ち上げに成功した。
  • グローバル展開を見据えたソーシャル・ゲーム開発
    オンラインゲームは需要が予測しにくいWebサービスの代表例と言えよう。普及前はほとんど利用がないものの、一度人気に火がつくと、想定を超えるほどのアクセスが要求される。ソーシャル・ゲームは利用者間のコミュニケーションがあるため、利用者の増加に対して指数関数的にサーバーへの負荷が増えてしまうのが特徴である。C社は新作ゲームタイトルにクラウド環境を採用し、ゲーム開発そのものへ自社資源を振り向けるよう努めた。クラウド環境の柔軟性はグローバル展開への対応にも高い期待がかけられている。
  • 全世界を網羅するオンライン予約
    D社は、ホテルや航空券のオンライン予約を行う旅行代理店サービスを世界24か国に展開している。海外旅行業界においては、より広い範囲を網羅する企業が優位であるため、D社のサービス展開において、どの国からアクセスしても高いユーザー体験が提供できる点は欠かせない要件だった。この要件は、オンプレミス環境ではなく、世界的にサービス展開するクラウド環境によって満たされた。

最後に

Webオンラインサービス企業の競争力の源泉は独自のアルゴリズムや優れたユーザー体験であるため、コモディティであるインフラ環境はクラウドベンダーに任せるのが得策だ。新規事業開発やグローバル展開などにメリットを感じた業界トップのWebオンラインサービス企業は既にクラウド環境を導入している。

編集:ビジネスon IT運営事務局(基幹特化型IaaS班)

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