パフォーマンス不足を感じたことはありますか?クラウドでの打開案
~ ベアメタルサーバーのメリットとデメリット ~

図1

クラウド環境のパフォーマンスに不満を抱くユーザーは少なくない。仮想化によるオーバーヘッドにより想定された性能が達成できない場合があるからだ。物理サーバーを貸し出すベアメタルサーバーに、性能問題の解決への期待が向けられている。

 

クラウドへの代表的な不満:パフォーマンス不足

ベアメタルは直訳すると“むきだしの金属”を意味し、OSやソフトウェアが導入されていないハードウェアを指す。クラウドサービスにおいて、ベアメタルサーバーが提供されるようになり、注目が高まってきた。ベアメタルサーバーが注目されるようになってきたのは、どういった背景があるのだろうか。

多くの企業が情報インフラとしてクラウド環境を利用するようになっている。必要なときに必要な分だけコンピューティング資源を利用できる柔軟性とコスト最適化が評価されたのが、その理由だ。しかし、クラウド環境が広まるにつれ、クラウド環境に対する不満も聞かれるようになってきた。

代表的な不満が、パフォーマンス不足だ。クラウド環境では、仮想サーバーの技術を用いるため、処理にかかるオーバーヘッドが大きく、想定よりも処理速度が出ないケースが散見された。ビッグデータ、IoTといった大規模計算に対するニーズが高まるにつれ、パフォーマンスへの懸念が見過ごせないものになっている。そこでパフォーマンスに優位性のあるベアメタルサーバーが取り上げられるようになったのだ。

性能、法令順守、サーバー集約に強みのあるベアメタル

ベアメタルサーバーは物理サーバーをクラウド上で貸し出すサービスであるため、従来用いられていた仮想化技術によるオーバーヘッドが発生しない。パフォーマンス要件を満たすために大量の仮想サーバーを立ち上げていた場合には、一台の物理サーバーに集約できるため、コスト的な利点もある。物理サーバーを管理するハイパーバイザーと呼ばれる仕組みがあるため、コントロールパネルによってサーバー管理ができる点は、これまでのクラウド環境と同じだ。クラウド環境の柔軟性と、物理サーバーの性能を両立させるのがベアメタルサーバーの特徴と言えるだろう。

物理サーバーが分離されている点もパフォーマンスに好影響をもたらす。パブリッククラウドでは、他のアプリケーションの負荷が高まった場合に、自社のパフォーマンスが低下するケースがある。物理サーバーが適切に分離されているベアメタルに、この問題は存在しない。企業によってはセキュリティ上の懸念によって利用できなかったクラウド環境でも、ベアメタルであれば活用できるという場合もあるだろう。

セキュリティと共に法令順守・内部統制の観点からもベアメタルの評価は高い。J-SOX法などではデータの消去が完了した事実をデータ消去証明書などで示すことが要求される場合がある。従来のクラウド環境ではデータが分散して保存されるため、データ消去の証明が理論上困難になるのだ。ベアメタルサーバーの場合、物理的に保存された環境が明らかであるため、データ消去の証明が容易になる。

サーバー管理機能は、これまでのクラウド環境と同等のレベルで提供されているが、ベアメタルのスナップショット機能は特に効果が高い。物理サーバーでありながら、データの保存が可能であり、障害時の復旧などに利用できる。ホットスタンバイの環境を作成したり、テスト環境を作成したりする場合でも、保存と複製がコントロールパネルから実施できるため、担当者の負荷は非常に低い。

ベアメタル市場ではIBMのSoftLayerが先行している。2013年に買収によってSoftLayerを傘下に収めたIBMがグローバルな取り組みによって市場を牽引している。その他にも、Rackspace、ビットアイルといった事業者が参入してきた。物理サーバーを用いたサービスは、クラウド事業者にとっても新たな試みであるため、参入障壁は高い。それでも、クラウド事業で先行するAWSと差別化を図るため、クラウド事業者のベアメタルへの投資は続いていくだろう。

高負荷処理に特化した利用を推奨

パフォーマンスと管理の容易性を両立するベアメタルサーバーであるが、従来の仮想サーバーと比べて、サーバー1台あたりのコストが高いというデメリットがある。一台あたりのパフォーマンスが向上するのだから、価格設定が高くなるのも当然かもしれない。そのため、ベアメタルサーバーの利用には、その目的を明確にする必要がある。

開始した直後のWebサービスのように負荷が明確でない場合は、ベアメタルを利用するメリットは小さい。少ない規模で稼働率が低ければ、ベアメタルのコストが仮想サーバーの場合を上回ってしまうからだ。ベアメタルに軍配が上がるのは、計算負荷が高いアプリケーションになるだろう。ビッグデータの分析処理のような高いパフォーマンスが要求される場合が良いだろう。また、一定のアクセスが見込まれるソーシャルゲーム等においても、複数台のWebサーバーを集約する方法によってベアメタルが活用できる可能性がある。

今後は仮想サーバーかベアメタルサーバーかの二者択一ではなく、それぞれを適材適所に配置する構成が増えていくだろう。いずれにしても管理が容易であるというクラウド環境の利点が活かせるため、併用する構成に問題は生じない。ビッグデータやIoTという大規模計算が必須になる時代にあって、パフォーマンスの要求に応えられるベアメタルから目が離せない。

最後に

ベアメタルサーバーは、性能に不満を持ったクラウドユーザーを満足させる期待の技術だ。管理を容易にするクラウド環境の利点を保ちながら、高いパフォーマンスを達成できるのがベアメタルの魅力である。

編集:ビジネスon IT
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