
SAP、基幹システムクラウド
CIOも微笑むITインフラのコスト節約術とは
今日のビジネスにおいて、基幹系システムは欠くことのできない重要なファクターである反面、常にコスト削減の対象として見られています。
某企業のCIOによると、自社の基幹系システムのインフラリソースの稼働率が、年平均で約10%だったことが判明したものの、必要な投資として諦めているそうです。
では、基幹系システムの安定稼働とコストの最適化を両立することはできないのでしょうか?
本記事では、基幹システムのコストに課題を抱えている方に向け、安定稼働とコストの削減といった相反する課題を実現する方法を解説します。
▼ 目次
・基幹系システムのインフラ投資コストの課題
・安定運用だけでなくコストも配慮する場合は、従量課金方式のIaaSが鉄板
・従量課金のIaaSが基幹系システムのコストを削減した事例
・ROIが重視された従量課金型のIaaSとは
1. 基幹系システムのインフラ投資コストの課題
企業活動の中核を成している基幹系システムは安定した稼働や性能の確保が重視されるため、それを支えるITインフラのリソース設計は、年度末や繁忙期などのピークに合せて十分な余裕を持たせられています。
基幹系システムの停止はビジネスにおける大きな損失に直結するため、業務で想定される最大の負荷に備えてリソースサイズを決定するのが一般的ですが、余裕を持たせたリソース設計は ROI(投資利益率)の観点で課題になります。
実際、多くの企業においてサーバのリソースコミット量の上限に迫るような業務は、年度末の決算処理や繁忙期対応など、処理突発的に発生するケースがほとんどであり、普段のリソース実使用量は上限に達することはありません。
- システムが実際に利用する IT インフラのリソースサイズ
- 突発的な処理実行の際にのみ必要とされるリソースサイズ
- システム設計時に余裕をもって調達しているリソースサイズ

図 1. 基幹システムのサーバのリソース設計と実使用量
余裕をもったインフラリソースの調達はリスク回避になりますが、反面では基幹系システムの投資効率を下げる要因となっています。
こういった過剰投資の傾向はオンプレミスでサーバを個別構築・運用する場合に多く、CIOの悩みの種でしかありません。
2. 安定運用だけでなくコストも配慮する場合は、従量課金型IaaSが鉄板
繁忙期や障害発生時のリスクを回避するともにサーバへの過剰投資を抑える解決策として、従量課金方式のIaaSに注目が集まっています。
従量課金方式のIaaSとは、下記のシステムリソースの使用量に基づいて課金が発生する仕様のIaaSになります。
- CPU
- メモリ
- ネットワーク帯域
- ストレージI/O
結果、企業は繁忙期、新サービスやクラウド移行の検証時にのみ、サーバリソースを増やすことができるためROIを最大化することができます。
従量課金を実現する技術はいくつかありますが、その代表としてGartner社から高い評価を獲得している「Virtustream社」があります。
Virtustream社は、SAP ERPの導入などにおいて実績を伸ばしている米国のクラウドサービスプロバイダーです。
- 2008年に創業された新興クラウド事業者で、世界展開を果たしており、米国アトランタ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンDC、アイルランド(ダブリン)、イギリス(ロンドン)にオフィスを構え、また、米国・イギリスにデータセンターを設置
- 2015年には大手ハードウェア企業EMCに買収されている。さらに、EMCがデルに買収されたのに伴い、現在、Virtustream社はデル・テクノロジーズの一部となった
- 米国調査会社ガートナーに技術力の高さを認められ、2012年より、IaaS部門のマジック・クアドラント・レポートに名を連ねるようになった。同レポートはビジョンと実行力の2軸から事業者を分類する。世界的に見てレベルの高い企業のみが掲載されるため、同分野でVirtustream社のような新興クラウド事業者がニッチ企業としてガートナーに認められるのは驚くべきことだ
- ビジョンの観点では、VMWareや富士通と同レベルの評価を獲得
- 実行力の観点では、VMwareや富士通を上回り、Rackspace等に近いレベルにあり、ニッチ企業の中でも極めて上位の実力を持っている
-
SAP ERPに関しては既に200社以上の実績があり、大規模なERPシステムを移行する際のパートナーとしてVirtustream社が選ばれている

Virtustream社の強みは、従量課金を可能とする特許技術「μVM(マイクロVM)」です。
マイクロVMを備えたIaaSは、基幹系システムのように入出力が頻繁に行われるアプリケーションでも安定してパフォーマンスを発揮でき、計算機資源の利用率を極限まで高められるため、30%の性能改善に加えて、30%~50%のコスト削減が実現されます。

図 2. Virtustreamのアーキテクチャ
従量課金のIaaSを実現する「μVM(マイクロヴイエム)」の詳細については、下記よりご覧いただけます。
3. 従量課金のIaaSが基幹系システムのコストを削減した事例
「μVM(マイクロヴイエム)」を有する従量課金型のIaaSが、米国の菓子メーカー「Domino Sugar」の基幹システムのコストを削減した事例を紹介します。
同社は消費者向け製品、工業製品、フードサービスからなる3つの事業領域で国際的に事業を展開しており、国際展開を拡大していく過程で新たなシステムが繰り返し追加されてきたため、システム環境は極めて複雑になっていました。そして、オンプレミス環境に構築してきたSAP ERPの製品管理システムは改修の必要がありました。また、Domino SugarはIT関連予算を売り上げの1%以下に抑える方針があったため、複雑さを増し続けるシステム環境を単純化しつつ、コスト削減を実現する方法が求められました。
そこで、Domino SugarはVirtustream社のクラウド環境へ移行する決断をしました。
90日間の移行作業の後、Virtustream社はコスト・性能の両面で下記の効果を見せ始めました。
- 安定したパフォーマンスと頑健性により、SAPシステムは最大で2倍の速さで稼働
- 3年間のTCO(総所有コスト)を40%削減
この事例の様に、従量課金型のIaaSを利用することで、企業はハードウェア資産を購入する必要がなく、必要に応じて必要な分だけ基幹システムにかかるコストを支払えばよくなったのです。
4. ROIが重視された従量課金型のIaaSとは
CTCは、Virtustream社のIaaS技術と特許技術「μVM(マイクロヴイエム)」をベースに、Virtustream社、SAPジャパン株式会社と従量課金型のIaaSを共同開発し、これをSAP ERPや基幹系システムに特化したクラウド「CUVICmc2(キュービックエムシーツー)」としてリリースしました。
特許技術「μVM(マイクロヴイエム)」を有するCUVICmc2は、サーバーリソースの実使用量を基に課金額が計算されるため、一般的なクラウドと比較してROIが配慮されたIaaSです。

図 3. 一般的なクラウドとCUVICmc2の従量課金の違い
実際、CUVICmc2は国内企業のSAP ERPや基幹系システムの安定稼働とコスト削減を支えています。その代表的な事例を以下よりご覧いただくことができます。

また、CUVICmc2の課金方式の仕組みについての詳細は、以下よりご覧いただけます。