ITサービス基盤に関する調査|上場企業のIT リーダーへの意識調査レポート

ITサービス基盤に関する調査|上場企業のIT リーダーへの意識調査レポート

 DX推進の観点から急速に進む企業のクラウドシフト。コロナ禍でテレワークが進んだ結果、その勢いはさらに増しています。

 そこで伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は、上場企業におけるITサービス基盤の取組みや今後の方向性・課題を把握する独自調査を2020年8月に実施しました。そこで明らかになった結果をもとに、2021年2月に第2回目となる調査を実施。新たにDXの推進体制に関する設問を加え、現在の最新状況を確認しました。

 調査は、上場企業の情報システム部門の管理職・主任・リーダー以上を対象に実施し、362名が回答。回答者を「製造業(コンピュータ関連、その他、建築・土木)」「非製造業(商社・卸、小売、運輸・倉庫、学校、その他)」「金融業」「SIer」「情報・通信業」の5つに分類し、売上規模を500 億円未満、~ 1,000 億円未満、~ 5,000 億円未満、5,000 億円以上の4つに分けて全体の傾向を分析しました。



目次
ITサービス基盤に対する、クラウド(IaaS)適用の現状と将来、課題
ITサービス基盤の配置モデル
セキュリティ対策の現状と将来、課題
DX推進体制と情報システム部門への期待





1. ITサービス基盤に対する、クラウド(IaaS)適用の現状と将来、課題

 クラウド化が加速していると言われている現在、実態はどうなっているのでしょうか。今回の調査では、オンプレミスとクラウドの併用(ハイブリッド型)が主流と答えた企業が最も多く、全面的にクラウドへ移行している企業は10%未満に留まりました。

 年商別では5,000億円以上が最もハイブリッドクラウド化率とフルクラウド化率が高く、年商が高くなるほど採用比率が高い傾向にあります。

 業種別では、オンプレミスを採用し続けている企業は製造業が多く、クラウド化は社内向けシステムの一部に留まります。クラウド化が進んでいる業種は、SIerや情報・通信業が中心で、IT環境を整備しやすい業態であることが影響しているようです。

 3 年後(2024 年)に目指すクラウドの活用度合いはどうでしょうか。最も多いのは、社内向けシステムの一部はオンプレミスで残るものの、ほとんどのシステムはクラウド化したいという回答です。基幹システムやデータ保護が求められるシステムは、オンプレミスに残し、移行できるものはクラウドへという考えが見て取れます。すべてをクラウドへという回答も2 倍以上に増えています。

 年商別でも、社内向けの一部を除いてほぼクラウド化したいとする回答がほとんどで、5,000 億円以上になるとフルクラウド化率が高くなります。業種別ではほとんどがクラウド化を目指しているものの、金融業のみオンプレミスとクラウドのハイブリッド型を挙げており、機密データを扱う業界の特色が反映されています。

 これらの結果を踏まえて将来の理想形を聞いてみましたが、こちらも社内向けの一部を残してほぼクラウド化するが最も多い回答でした。僅差で社内外ともにハイブリッド型が続きます。ただし、フルクラウド化が理想と回答した企業も多く、資産を保有することなく運用負荷を軽減できるクラウドのニーズは多いようです。


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図 1. クラウド活用度合いの現状と将来




 理想形に至るまでに必要な期間については、3 ~ 5年以内、5 ~10年以内の回答が多く、今後10年以内にクラウド化を加速していく方向性が明らかになりました。経済産業省が指摘するITシステムの「2025 年の崖」まであと数年に迫り、各種調査で指摘されている状況とほぼ同じ傾向にあることがわかります。





2. ITサービス基盤の配置モデル

 クラウド化といっても複数の配置モデルがあります。そこで、ITサービス基盤の配置モデル(プライベートクラウドとパブリッククラウド)を掘り下げてみました。

 リソースをユーザーが専有するプライベートクラウドは、ハードウェアの設置場所、調達形態、資産所有者によって、ユーザー企業が資産として所有する「オンプレミス/ホスティング」「エンタープライズプライベートクラウド」と、クラウド事業者が自社の設備資産を特定のテナントに貸し出す「ローカルクラウド」「ホステッド・プライベート・クラウド」に区分することができます。現段階で、サービス事業者の資産をユーザー指定の場所に設置する「ローカルクラウド」を採用している企業が最も多く、次にサービス事業者の資産をサービス事業者の場所に設置して利用する「ホステッド・プライベート・クラウド」が続きました。

 年商別では500億円以下の企業がオンプレミス/ホスティングを選択し、5,000 億円以上になるとホステッド・プライベート・クラウドやパブリッククラウドを積極的に採用しています。業種別でも製造業ほどオンプレミス/ホスティングの採用率が高く、SIerほどパブリッククラウドの採用率が高くなる傾向にあります。

 今後5年の間に積極的に採用を進めたい配備モデルを聞いた質問では、どの業種もホステッド・プライベート・クラウドとパブリッククラウドの2つで50%以上を占め、オンプレミス/ ホスティングの比率は大幅に減っています。



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図 2.最も積極的に採用している配備モデル






3. セキュリティ対策の現状と将来、課題

 社内向け・社外向けシステム基盤のクラウド化が可能になるための課題で、トップを占めたのはセキュリティでした。セキュリティのどこに不安があるか、その中身を見ると、施策/完全な保証/完璧さ/保持するシステム/セキュリティレベルの準拠などさまざまです。

 注力すべきセキュリティ対策では、「脆弱性診断・管理」「サーバ保護」「次世代ファイアウォール」の3つが他を引き離して上位を独占。3 年後の2024 年に注力する対策も、順位こそ変わるものの先の3つが上位となることは変わりません。ただし、旧来型の対策に比べてコンテナなどのクラウドネイティブセキュリティや、エンドポイントを守るサイバーハイジーンなど新たな脅威に対する対策が増加傾向にあります。

 今後のセキュリティ対策に関する運営体制を聞いた質問では、自営と外部委託が50%ずつとなりました。マルチクラウド環境の運用に対する外部委託率が約70%に達している現状と比べると、セキュリティに関しては極力自営で対応したいと考えている企業が多いことがわかります。



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図 3.今後のセキュリティ対策に関する運営体制




 セキュリティ対策の取組みを進めていく上での課題は、コスト・予算確保に続いて、人材の育成・確保、セキュリティ知識・スキルの向上が上位に食い込んできています。このことから、多くの企業はクラウド化に向けたセキュリティの重要性は認識しつつも、既存の対策で手一杯で、新たな脅威に向けたセキュリティ人材の育成や社内教育の強化に課題を感じていることがわかります。課題解消に向けて、セキュリティの外部委託をより積極的に進めるフェーズに入っているといえます。





4. DX推進体制と情報システム部門への期待

 DXを推進する社内部門は、どこが主体になるかを聞いた質問では、情報システム部門がDX推進部門やビジネス部門を大きく引き離してトップとなりました。年商が少ない事業者ほど、情報システム部門にDXを任せたい比率は大きくなっています。情報システム部門に期待される役割は、「デジタルを活用したサービスの企画と実装」と「ビジネス部門で企画されたサービスの実装」がほぼ同比率となりました。

 これらのことから、DXの推進主体は売上規模によって異なるものの、どの企業も情報システム部門の存在は大きく、DXに対して新しい役割が期待されています。とはいえ情報システム部門が既存の業務で手一杯の中、クラウドやセキュリティの運営を高度化しながらDXを加速させるのは容易ではありません。外部のベンダーを有効活用して負担を少しでも軽減することが重要であることがわかります。




さいごに

 以上が今回の調査で得られたエグゼクティブサマリーです。

 CTCでは今後も定期的に同様の調査を実施し、IT基盤のクラウド化、セキュリティ強化、DXの推進の参考となる情報を発信してまいります。

 また、今後さらに複雑化していくIT基盤全体を任せられるクラウドサービス事業者、ITサービス基盤事業者として、 IT システムのコンサルティングから、設計、導入、保守、運用サービスを提供いたします。

 調査資料の本編については、以下よりダウンロードいただけます。


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