クラウド最新動向 2018|シリコンバレーの駐在員はミタ

 米国におけるデジタルディスラプター(テクノロジーを活用して新たなビジネスを作る企業)の状況やベンチャーキャピタルによる投資の推移、重要テクノロジーとみなされているAIやIoTの現状を踏まえつつ、ハイブリッドクラウドの動向について、CTC アメリカでビジネス開発を担当する松本氏が語ります。




1. 1件あたりの金額が増大しているデジタルディスラプターへの投資

 ここ数年のシリコンバレーや米国におけるホットワードはデジタルトランスフォーメーション。この言葉の登場は2007年頃まで遡るそうなのですが、注目されるようになったのは2014年からです。その背景となったのがUBERの大躍進だといえます。同社は2009年に創業しましたが、この頃は今とは異なるビジネスモデルでした。しかしUBER-Xが爆発的にヒットしたことで世界のベンチャーキャピタルから次々と資金調達し、世界各国の市場へと進出。ここからデジタルトランスフォーメーションという言葉が語られるようになったのです。
 UBERはあっという間に世界のタクシー業界を席巻しましたが、これと同じようなディスラプター(破壊者)は他にも次々と登場しています。2017年の米国ベンチャーキャピタル(VC)の投資額は2015年以来の7兆円超えを記録。その一方で件数は3年連続減少しており、2012年以来の最低水準になっています。これは1件あたりの投資額が巨額になったことを意味しています。



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 これまでの投資対象の多くはテクノロジー企業でしたが、今ではデジタルディスラプター(テクノロジーを活用して新たなビジネスを作る企業)が中心になっています。この傾向は欧州やアジアにも飛び火しています。最近特に目立つのが小売業界です。2015年には世界の小売業の中でWalMartがダントツの1位となっており、この年に初めてAmazonがトップ10にランクインしました。その翌年にはAmazonは6位に上昇。成長率もWalMartに比べて圧倒的に高い数字になっています。2017年にはAmazonがWhole Foodsを買収すると発表。その一方でWalMartも楽天と提携するといった対抗を行っています。

 どちらにも共通する特徴は最新のテクノロジーを使っていることです。米国のForrester Researchは世界を変革するテクノロジーをいくつか挙げていますが、その中でも中心的な役割を果たすと考えられているのがAIとIoTです。






2. 着々と広がっているAI活用、IoTは多くの案件が実証実験止まり

 まずAIは「最大の競争力の源泉」になると注目されており、実際にAIの活用度が高い企業ほど経営のパフォーマンスが高い傾向にあります。米国経済を牽引するハイテク大手も「AIファーストカンパニー」を目指しています。米国VCによるAI分野への投資額も、2017年に初めて5,000億円を突破しており、件数も6年連続増加しています。累計投資の内訳では、インフラへの投資が5,000億円、アプリケーションは2兆円となっています。当初はプラットフォームを提供する企業が主な投資対象でしたが、現在ではソフトウェアベンダーが自社製品にAIを取り入れるケースが増えています。



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 例えばNVIDIAの創業者であるジェン・スン・ファン氏は「AI Everywhere」と述べており、その意味を「AIはソフトウェアを作る際の新しい方法に過ぎない」と語っています。大手ベンダーの動きを見ても、新しいインテリジェントアプリケーションを作りやすくする手段としてAIが組み込まれています。

 現在のAI活用はまだ「可視化」のレベルですが、これからは「自動化」での活用も進んでいくでしょう。実際にいま多くのスタートアップが取り組んでいるのも、ホワイトカラー業務の自動化です。

 次にIoTですが、2020年までに500億台のモノがコネクテッド化するといわれており、大きな注目を集めています。2017年には公開されているものだけで1,600のプロジェクトが動いており、それ以外のものも含めれば2~3万件に上ると言われています。しかし公開プロジェクトのうち60%は実証実験(PoC)にとどまっており、完了したプロジェクトのうち1/3は成功していません。

 このような状況もあってか、創業企業数やそのファンド金額も2015年をピークに低下傾向にあります。2018年は5月末までに3社しか創業していません。またIoTプラットフォームベンダー450社のうち、2016年に10億円以上の売上を上げたのは、全体のたった7%です。一部の大手企業に収益が集中していることがわかります。

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3. デジタルトランスフォーメーションによって進むクラウドのハイブリッド活用

 これら2つのテクノロジーに加え、もう1つ注目されているのがブロックチェーンです。これはトランザクションベースの産業を根本から変える可能性があります。仮想化通貨のみならずあらゆる産業を破壊し、新たなビジネスを起こすという取り組みが進んでいくでしょう。その1つとして挙げられるのが、電力業界でP2P取引を行っているLO3ENERGYという企業のケースです。ここではブロックチェーンを活用し、電力売買の新たな流れを作り出しています。これまで電力会社が握っていたところを分散化しているのです。
 これらのテクノロジーによって、デジタルトランスメーションを行いやすい環境が整いつつあります。その一方で、ITトランスフォーメーションも求められています。企業のITインフラの環境は、どんどんクラウドへと移っています。しかしクラウドには課題もあります。クラウドへと移行したあと、再びオンプレミスに戻すケースも出ています。その結果、ハイブリッド化が起きているのです。
 ハイブリッドクラウドを実現するには、様々な要件を満たす必要があります。これを可能にするため、各社のパートナーシップも進んでいます。ここで重要なのは、アプリケーションレベルでサービス利用を担保できるようにすることです。複数の環境を相互に行き来するには、コンテナなどの技術によってポータビリティを確保することや、それらの管理やオーケストレーションといった機能の実装が欠かせません。実際にクラウドからオンプレミスに戻すサービスを提供する企業も登場しています。

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 これから日本でもハイブリッド環境へのシフトが進むと思われますが、ここで重要になるのがパフォーマンスとコストの観点です。セキュリティのみならずこれらも意識しながら、ハイブリッド化に取り組んでいくことをお勧めします。

 システムの特性や用途に応じてクラウドを使い分けるハイブリッドクラウド形態へ移行する上で、注目されている移行技術「VMware NSX Hybrid Connect( 旧: VMware Hybrid Cloud Extension ; HCX)」。伊藤忠テクノソリューションズはハイブリッドクラウドを検討されている企業のニーズに応えるために、VMware HCX をいち早く検証しました。詳しい内容は下記よりご覧いただけます。

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